INTERVIEW

自動車用鋼板の
最先端研究と、
テーマを選べる
先導研究を両輪に。

技術系
研究開発
楊 霊玲
LINGLING YANG

2013年入社
基幹理工学研究科
電子物理システム学専攻修了

CAREER STEP

1年目 スチール研究所 缶・ラミネート材料研究部
(現:薄板研究部)
高強度缶用鋼板の開発に従事。
4年目 スチール研究所 薄板研究部
高強度自動車用鋼板の開発に従事。

JFEスチールに入社した
動機を教えてください。

大学時代は、電気メーカーへ就職することを意識して、電気・電子分野を専攻していましたが、大学院では一転してステンレス鋼の研究を始めました。というのも、電気製品はコピーされやすく、長期にわたって競争力を維持するのが難しいと考えたからです。一方、鉄鋼分野は組成成分を分析しても、それがどのように製造されたかまではわかりません。実際、JFEスチールの工場見学に訪れた際には、敷地内に交差点まである工場の大きさや、流れる鉄の熱さ、自動で圧延方向を変える設備のスケール感に圧倒されました。こうした巨大なものになると、そう簡単にマネできるものではありません。JFEスチールがグローバルにプレゼンスを発揮しているのは、研究の先進性に加え、研究成果を実現する製造技術の高さや規模も含めてのことだと改めて確信し、入社を志望しました。
また、面接時に感じた人柄や企業風土も入社を決意した理由のひとつです。JFEスチールはダイバーシティが進んでおり、就活中に接したリクルーターは、私の国籍や性別をまったく意識する様子がありませんでした。福利厚生制度も充実しており、将来、結婚・出産しても復帰しやすい環境が用意されています。ここでなら将来にわたってキャリアを重ねていけると強く感じました。

現在の仕事内容と
やりがいは?

入社当初は缶・ラミネート材料研究部に配属され、変形しにくい高強度缶用鋼板の開発を担当しました。現在は、薄板研究部で自動車用の超高強度鋼板の開発に携わっています。自動車用鋼板は、いつかは担当したいと思っていた製品であり、お客様からの要求水準が高いこともあって挑戦しがいがあります。現在参画しているプロジェクトにおいては、ラボ検討、実機試作、お客様提案まで一連の業務を担当しています。
スチール研究所では定期的に、自動車メーカーの研究所や開発部署とコンタクトを取っています。そこでお客様から強度や延びなど、自動車用鋼板に求められる詳細なニーズを吸い上げ、各研究員が担当製品の研究開発を推進。鋼板の利用技術も含めてお客様に提案するまでが一連の流れです。
例えば、私が初期に担当したのは延性が高く、かつ溶接性に優れた980MPa級鋼板の開発でした。延性を高めるために加えていた複数の元素を、溶接性を阻害しないものに変更するために、まず各種文献を参考にしながら成分設計を行い、圧延や熱処理条件等を示した作業手順書を作成します。これを実験スタッフに依頼しラボレベルで試作品を製造し、各種実験を実施してその結果を解析。これを要求性能が得られるまで何度も繰り返します。ラボスケールで結果が得られても、実機試作で同じ結果が得られるとは限りません。上記のケースでは実機試作も1回でクリアし、1年未満という短期開発となりましたが、場合によっては数年に及ぶ研究開発も珍しくはありません。

研究開発の
面白さと魅力、
苦労と難しさを
教えてください。

自動車分野は常に進化しており、開発サイクルが短いため、最先端の研究ができることが大きな魅力だと思います。そして、自分が開発した鋼板が実際に採用されて、街を走る自動車に使われていくことに一番やりがいを感じます。現在、私は世界最高クラスの強度を実現する超高強度鋼板の開発を進めていますが、これも実証試験を経て自動車メーカーでの採用が決まれば、衝突時に乗員を守る自動車骨格部品に広く適用されていくことでしょう。
また、JFEスチールの研究者はこうしたユーザー起点の研究開発を進めるほか、将来を見据えた先導研究を行うことが求められています。研究テーマは担当分野に限ることなく自分の興味や関心に基づいて設定することができるため、研究者にとって大きなモチベーションとなっています。
難しさを感じるのはやはり、思い通りの結果が出ない時です。例えばある元素を変更した場合、従来研究ではこうなるはずなのにそうならない。そんな時は、実験中にミスがないかを確認し、問題なければあらゆる可能性を考えて検証します。どうしても解決できない場合は上司や先輩社員と議論し、解決の糸口を探ります。研究開発は時間的な自由度の高い仕事ですが、解析が上手くいかない時は寝ても覚めても仕事のことばかり。食事中も入浴中も考え続けてしまいます。これは苦労というより研究職の習性でしょうね。ただし、結婚してからはオンオフの切り替えが重要だと思い、会社にいる時間を効率的に使うようにして、会社を出たら仕事を忘れるように努めています。

現在の目標、
将来ビジョンを
教えてください。

今の仕事をもっともっと深く追い求めて、鋼板のプロフェッショナルになることが目標です。そのために、鋼板その物の開発だけでなく、加工や溶接といった鋼板の利用技術についての知見も含めた総合力を身につけたいと考えています。
今後は自動車分野に限らず、高強度鋼板の市場拡大についても考えていきたいと思っています。

オフの過ごし方

結婚してから、仕事とプライベートの両立に奮闘中。オンとオフをしっかり切り替え、家族と過ごす時間を大切にしています。一緒に散歩したり、料理を作って食べていたりする時が、いちばん自分を解放でき、一日の疲れを吹き飛ばしてくれます。

一日のスケジュール

08:30
出社
メールチェック・朝のミーティング参加。
09:00
実験
実験の立ち合い。
10:00
部内打合せ
実験結果を上司に報告し、今後の実験計画を議論。
12:00
昼食
会社の食堂でランチ。
12:45
資料作成
作業指示書及び報告資料を作成。
15:00
お客様と打合せ
17:30
退社
晩御飯の支度、おいしいご飯を食べて疲れを吹き飛ばす。