INTERVIEW
2007年入社
経済学部 経営学科卒業
CAREER STEP
1年目 | 西日本製鉄所 労働人事部 倉敷労働人事室 現業職社員の昇進・配置転換等を担当。 |
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2年目 | 本社 原料部 鉱石室 鉄鉱石需給・配船、予算管理、副原料(石灰石等)の契約、鉄鉱石契約等を担当。 |
9年目 | フィリピン・シンター・コーポレーション(出向) 人事・総務担当として、フィリピン人労働組合との労使交渉や採用、IT開発等を担当。 |
14年目 | 本社 第2原料部 石炭室 石炭需給配船総括、コークス、無煙炭等を担当。 |
就職活動初期に固めた軸は「社会に付加価値を与えていることが、自分自身にとって明確な会社」でした。就職すれば職務に全力を傾けることが求められますが、そのためには社会の役に立っていると実感できることが重要だと考えたからです。この軸を突き詰める過程で、目に見えるモノを扱う製造業に注目しました。なかでも、日本企業が国際競争力を発揮している会社が魅力的だと思い、鉄鋼や化学、ガラスのメーカーをターゲットに考えていました。
JFEスチールは、大学時代の先輩が就職していた縁でコンタクトを取りましたが、製鉄所を見学させてもらった際、そのスケールの大きさに圧倒されて惚れ込みました。ひと口に鉄といっても多種多様な用途や形態があり、顧客ニーズに合わせて高品質な製品を生み出しているという点では、事業そのものが社会貢献に直結していて、当初に定めた軸と合致しています。また、先輩社員からは、JFEスチールでは若手のうちから大きな責任をともなう職務を任せてもらえるという話を聞きました。この点には大いに挑戦意欲を刺激されましたね。出会った社員の誰もが気さくだったこともあり、この会社なら成長の機会に恵まれながら伸び伸び成長していけそうだと感じ、入社を決意しました。
私が所属する石炭室では、文字どおり製鉄に使用する石炭の調達を担っています。室内には、主に価格折衝や契約などを担う需給チームと、輸入時の船舶手配を担うデリバリーチームがありますが、私は後者の総括を務めています。石炭はオーストラリアやロシアなどから輸入していますが、運搬には船舶を利用します。実務では、いつ、どの港でどれくらいの量の石炭を積むことになるのかを石炭サプライヤーや商社に確認し、それを国内の製鉄所にどう配分するかを決め、船会社へ配船計画を指示しています。石炭の生産量も、製鉄所側の消費石炭量も変動することが多く、なかなか事前の計画どおりには進みません。目まぐるしい変化に柔軟に対応しながら、製鉄所の安定操業や船舶の効率的な運用を実現させることが求められる職務です。
以前鉄鉱石配船担当をしていた際に、高炉設備が損傷し、修復まで操業を停止するという事態に直面したことがあります。届ける予定だった鉄鉱石の保管場所を探し出したり、サプライヤーに事情を説明して納期を遅らせてもらったりで対処しました。このように、発生した変動やトラブルに対処して無事に収められたときには自身の存在意義を実感できます。
先述のとおり、実務のなかでは毎日のように変化や大小のトラブルが発生します。関係者が多いうえ、採りうる選択肢の組み合わせは無数にありますから、対処法に「絶対の正解」はありません。そんななかで最良の道筋を見出さなければならない点が、この職務の難しさです。発生したトラブルによって、期日、石炭の量、コストなどにどのような変化が生じるのか、それが石炭サプライヤーや船会社、製鉄所にどのようなインパクトをおよぼすのかなどを想定することが重要だと思いますね。影響の大きさや範囲を俯瞰できれば、実施すべき対処法が見えてきますから。
また、調整役を務めるなかでは、各関係者から相反する要望が出て頭を痛める場面も多々あります。例えば、設備トラブルなどで製鉄所が石炭納入量の減量や納入時期の延期を希望する一方で石炭サプライヤーからは発注通りの量・時期を守ってほしいと希望されるケース、逆に製鉄所は石炭を必要としているのにサプライヤー側が予定通りに供給できないケースなどがあります。取り引きは単発ではなく長く続きますから、目先の利潤や自分の都合を優先するのではなく、お互いに譲り合い協力し合うことで、中長期的に良好な関係性を築くことを心がけています。
これまでのキャリアパスを通じて、原料の購買関連業務はひととおり経験し、引き出しを増やせたと思っています。いずれの部署でも、コストの低減やコストパフォーマンスの最大化が主目的でしたので、脱炭素の流れの中での原料安定調達実現のための投資関連業務も経験してみたいですね。
具体的には、海外の鉄鉱石や石炭、各サプライヤーなどへの投資を担う業務をイメージしています。投資案件を担当するには、今までの実務においては縁遠かったアカウンティングやファイナンスに関する知識が不可欠です。少し前に、投資業務に就いている社員に頼んで参考になる書籍を紹介してもらいました。今は、読書を通じて勉強を進めているところですが、ある程度知識武装できたら、現在の担当者に直接指導を仰ぐとともに、社内研修プログラムの一環であるMBA留学も目指したいと思っています。こんなふうにJFEスチールには、業務外のリクエストをぶつけられても気軽に力や知恵を貸してくれる社員が多くいます。また、さまざまな分野に頼れるスペシャリストがいるので心強いですよ。
当面は、JFEスチールの成長に貢献できるような投資業務のエキスパートを目指し、最終的には原料関連業務のオーソリティーになりたいですね。そのうえで、自身が後進から「頼れる心強い人」になれればと思っています。
フィリピンに出向した当初は家族そろって現地に行きましたが、コロナ禍で妻と息子を急きょ帰国させることになり、図らずも単身赴任の寂しさを経験しました。家族と過ごす時間の大切さを痛感したので、現部署に異動して国内に戻ってからは、妻とは晩酌を、少年野球チームに入っている息子とはキャッチボールを楽しんでいます。