INTERVIEW

技術への確かな
「目利き」を持ち、
自分なりの視点で
「改善」を進める。

技術系
設備技術開発
宮本 章弘
AKIHIRO MIYAMOTO

2010年入社
先進理工学研究科
物理学及び応用物理学専攻修了

CAREER STEP

1年目 東日本製鉄所(千葉地区) 制御部
冷延制御室
冷間圧延設備の老朽更新に従事。
2年目 東日本製鉄所(千葉地区) 制御部
制御技術室
冷間圧延設備の合理化・老朽更新を目的とした建設業務に従事。7年目からは制御技術室冷延グループサブリーダーに。
9年目 東日本製鉄所(千葉地区) 制御部
冷延制御室
冷間圧延設備の安定化・業務効率化のための保全業務に従事。また、補修費の予算策定等を含む利益計画と中期計画の策定、業務のRPA化推進、IoTデバイスの鉄鋼プロセスへの適用も担当。
12年目 東日本製鉄所(千葉地区) 制御部
制御技術室
制御技術室にもどり、冷間圧延設備の合理化・老朽更新のための建設業務に従事。

JFEスチールに入社した
動機を教えてください。

就職活動ではプラントメーカーや電機メーカーでの、設備や機器の仕様を決定する部署を志望していました。というのは、私は学生時代に心理物理学と呼ばれる人の認知に関する研究をしていたことから、適切な操作系を提供することで、ユーザビリティを改善し、ヒューマンエラーを削減する仕事にその知見を活かしたいと考えたためです。
内定をいただいた企業から就職先を最終決定しようとしていた頃、研究室のOBから工場見学に誘われ、実際の製鉄の現場を見る機会を得ました。それまでは、鉄鋼といえば重厚長大の極みで、緻密な制御などしていないだろう、と考えていたんです。ところが、実際に自分の目で見たプラントはさまざまな設備が緻密な制御によって動作しており、ゴロゴロの鉄鉱石から始まったプロセスが、最終の冷間圧延工程ではミクロンオーダーでの精度まで極められて製造されていることを知りました。その処理形態のダイナミックさと、処理設備の広大さ、緻密さに俄然興味が湧きました。その後、工場見学や懇親会等で、JFEスチールでは若いうちから数億~数十億円規模のプロジェクトに関わることができ、設備設計の裁量も大きいことを知って、「これら大規模な設備を、自分なりのアイデアで動かしてみたい」と思ったことが、JFEスチールを志望した最大の理由です。

現在の仕事内容と
やりがいは?

JFEスチールは鉄鉱石を原料に、最終製品の生産までを一貫して行う鉄鋼メーカーです。私はその中で冷延と呼ばれる工程の設備に関して、合理化・老朽更新投資の計画の申請から施工、保全引渡しに至る設備投資のフローを、主担当または管理者として、日々、実行しています。設備投資にあたっては、関係部署が数多く発生するため、関係各社でデザインレビュー等を通じて綿密な情報共有を図るとともに、他部署とも密に連携しつつ円滑な設備投資とその施工を実現していきます。鉄鋼設備は作って終わりではなく、その後の長いライフサイクルを考えて設備投資を行うため、保全部門との情報共有が欠かせません。建設部門と保全部門は、設備部門の両輪としていずれも欠けてはならないものですから、この辺りのコミュニケーションは特に重要と考えて実行しています。
また近年は鉄鋼業においてもIoT機器の導入や、DS設備の新設、AI技術の適用など大きなパラダイムシフトが生じています。現在制御部では機器をIoT化することにより、これまでは取得できていなかったデータを取得できるようにするなど、IoTデバイスの鉄鋼プロセスへの適用を進めており、こちらも重要なテーマとして注力しています。

これまでで
最も印象に残っている
プロジェクトは?

入社6年目から担当した、第2冷間圧延工場3TCM設備の主機更新が、思い出深いプロジェクトのひとつです。この主機更新は既設の2台がそれぞれ1970年代、90年代に製造されたもので、当時の計画に沿って、必要出力がはじき出されていました。しかし、当時と現在では市場ニーズも大きく変化しています。そこでここ数年の操業データを改めて解析し、真に必要な仕様を整理することにしました。この結果、更新する2台のうち1台の電動機の出力を半分程度まで縮退しても十分だと判断。これにより、機器の購入費用はもとより、施工費用の削減も達成することができました。また、事前に既設設備や既設回路を十分に検討し、関係部門と工程協議を幾度も繰り返すことによって、施工に伴う設備停止期間を類似工事の約15日から、3TCMでは9日と限界まで短縮することができました。
我々の仕事は、要求仕様を満たす設備を適切な予算で工期内につくり上げることですが、要求された仕様をそのまま作ればよいわけではありません。より機能性を向上する方法はないか、既存設備の転活用等により設備投資をより低廉化できないかなどを検討し、操業部門や設備部門等と協議することが大切です。このプロセスは非常に時間がかかり、関係者間の調整が困難なこともありますが、それら困難を克服して設備が完成したときの喜びは格別です。

今後の目標、思い描く
キャリアビジョンを
教えてください。

入社時の希望通り、当社は設備設計の裁量が大きく、仕様決めでは自分のアイデアや考えを広く取り入れることができます。また大学時代に学んだ心理物理学の知見も、各種設備の設計に活かされており、その点では大きな満足感を得ています。しかし一方で、自分自身が現状に満足せず、さらに進化しなくてはならないという気持ちも強く抱いています。
とりわけ現在は、IoT機器の導入に加え、データサイエンスの適切な展開、クラウド環境の活用や、AI技術の展開等への対応など、制御エンジニアにとっては大きなパラダイムシフトを迎えています。しかし既存設備の規模が大きい鉄鋼プロセスへの適用には十分な注意が必要です。たとえば現在流行しているソリューションやサービスも、数十年単位で考えれば陳腐化する可能性は十分にあります。最悪の場合、採用した機器のサプライヤーが将来消失してしまうといったリスクも考えられます。このようなリスクを最小化するために、我々制御エンジニアは、正しく技術選定ができるように研鑚を積まなくてはなりません。
今後、常に一線で活躍していくためには、いま生まれているパラダイムシフトに乗り遅れないよう、また、そのうねりに飲み込まれないよう、技術とその背景を正しく理解する必要があると考えています。その確かな「目利き」こそが私に求められているものでしょうし、そのためには日々自主学習を怠らず、自分自身が進化し続けることが必要だと考えています。

オフの過ごし方

2018年に第1子、2021年に第2子が誕生し、子どもを中心とした生活に変わりました。上の子は最近公園遊びに夢中で、年上の大きな子に負けないくらい元気にはしゃいでいます。年末は実家に帰ったのですが、実家近くの大型の滑り台がよっぽど楽しかったのか、私の尾てい骨が痛くなるまで、ずっと滑り続けました(笑)。

一日のスケジュール

07:30
出社
前日退社以降のメールチェック、当日のスケジュール確認。
08:30
グループ朝礼
当日の作業確認、伝達事項確認。
09:00
建設検討
建設業務に伴う技術検討を実施。
12:00
昼食
愛妻弁当で食事。
13:00
現場確認
検討時、不明であった点を現場で確認。
時に図面の不備を発見し修正することも。
15:00
調査結果まとめ
現場確認の結果を検討資料や工事資料に反映する。
16:30
スケジュール確認、および各種調整
必要に応じて打合せ資料準備や、関係者への調整を実施。
17:30
退社
退社後、自宅で子供と遊ぶ。子供が就寝した後、自主学習を実施。