INTERVIEW

徹底して図面と向き合い、
会話する中、
新たな設備建設
プロジェクトへ挑戦。

技術系
設備技術開発
泉山 拓也
TAKUYA IZUMIYAMA

2017年入社
工学研究科 人工システム科学専攻修了

CAREER STEP

1年目 西日本製鉄所(倉敷地区) 設備部
開発・設計室 圧延鋼材グループ
条鋼、厚板等の設備建設業務を担当。
2年目 同上。形鋼1号加熱炉建設に従事
4年目 同上。形鋼ミル(圧延機)
主駆動系増強に従事
大断面ハット形鋼矢板製造に対応。
5年目 同上。厚板3号加熱炉建設に従事
洋上風力発電向け大単重材製造に対応。

JFEスチールに入社した
動機を教えてください。

学生時代は材料の変形や強度に関する研究に携わっていました。特に力を注いだのは、材料をねじり加工した際に、変形が若干復元する現象である「ねじりのスプリングバック」の挙動解析です。新しい加工技術の確立を目指した研究でした。就職に際しては、これら学んだ知識を活かせる職種として、機械設計の仕事をしたいと考えていました。そのため就職活動で当初アプローチしたのは、重工系の企業。ただ話を聞く中で、配属される分野が多岐にわたるため、必ずしも「大型機械」に関わることができるとは限らないことを知りました。
やがて、所属していた研究室でJFEスチールの工場を見学する機会がありました。研究室で取り組んでいた「ねじり加工」の対象とする材料は「鉄」だったので、鉄鋼メーカーは決して遠い存在ではなかったのです。そして工場見学では、巨大な設備が高温の鋼を製造していく様に圧倒されました。志望していた「機械設計」の中でも、もともと規模が大きな設備に携わりたいという想いがありましたから、率直に「この設備を建設してみたい」という気持ちが湧き上がりました。また、大学のOBから、若いうちから大きな仕事を経験できること、大変ではあるが大きなやりがいが得られる仕事であるという話を聞き、入社を決めました。

現在の仕事内容と
やりがいは?

私が所属する開発・設計室では、主として各製造プロセス設備の建設業務・技術開発を行っており、その中での私の担当は、主に建設業務になります。具体的には、新設備の設計検討や課題検討、また建設工事についての工程・調整など多岐にわたる業務を担当しています。実際に工事が始まれば、現場の課題を施工者と共有し、適切な工事方法等の検討を行うほか、品質や進捗の確認、工事完了後は試運転を行い、目的の設備能力が達成されているかどうかを評価・確認します。
現在取り組んでいる設備は、新たな加熱炉。これは洋上風力発電所に採用される、大単重厚板と呼ばれる大きな厚板を量産するための設備です。現在、設計段階ですが、西日本製鉄所にとって一大プロジェクトに位置付けられており、2023年秋の製品供給を目指して急ピッチで進めています。通常、設計業務の多くは外部に委託することが多いのですが、当設備部では自社設計が盛んであり、設計に深く関わる機会が多くあります。設計の際は過去に建設した類似設備を参考にし、より良い設備をつくるためその構造や方式の弱点を調査し、対策を検討して設計に取り入れます。過去にも加熱炉建設のプロジェクトに携わったことがありますが、設計に基づき設備製作を進め、無事に建設工事が完了して思った通りに設備が動いてくれたときには、安堵とともに大きな達成感があります。

設備設計の難しさと
それを乗り越える
ポイントは?

私たちはプロジェクトの構想・設計段階から、設備製作、建設工事、立上げ試運転と、プロジェクトの最初から最後まで深く関わります。ポイントとなるのは、それぞれのステージの計画段階で、どれだけ深く検討し、想定されるリスクを潰していくか。それで設備のクオリティが決まってきます。
入社後、条鋼、厚板等の設備建設に関わりましたが、もちろん最初は、製造ラインの各工程や機械の仕組みなど何もわからず、ひたすら知識を吸収することに努めました。しかし設備というのは生き物にも似ていて、マニュアル通りに運ばないことが度々あります。経験が非常に重要であり、経験の積み重ねで適切な判断力が培われていく世界です。まだまだ経験不足ですが、最近思うのは、図面がすべてということ。設備製作も建設工事も、図面をもとに進んでいきます。設計の段階でどのようにケアし、リスクを排除していくか。図面には「勘所」ともいえる箇所が潜んでおり、それを押さえることが大切であり、難しいところです。したがって、経験を積み重ねることに加え、構想・設計段階で徹底して図面と向き合い、図面と会話すること。それが重要だと感じています。

今後の目標、
夢を教えてください。

入社4年目、形鋼ミル主駆動系増強というプロジェクトに参加しました。形鋼というのは、断面がH型やL型といった形状になっている鋼材で、ミルは圧延機を指します。圧延機は素材を伸ばす製造設備で、そのハウジングを改造する取り組みでした。一般に圧延機の改造は難易度が高いと言われており、加えてそれは約30年も稼働している設備だったので、なおのこと大変でした。ハウジングとともに油圧系の弱点を克服するための改造でしたが、試運転で思うように動いてくれない事態に。丸一日かけて原因を解明し改善を進めました。無事改造が終わり、形鋼製品が最初に生産される場に立ち会うことができて達成感を味わいましたが、こうした苦しい思いをした取り組みほど印象に残り、勉強になります。私が今、図面と向き合うきっかけになった取り組みでした。
現在の担当業務は加熱炉を含む、1次ミルと呼ばれる熱間圧延を行うラインの建設業務ですが、この中で圧延機はラインの心臓部であり、さまざまな技術が凝縮されています。一からの圧延機の建設・更新というのはそうそうあることではありませんが、今後機会があれば挑戦してみたいですね。
設備建設は技術者を映す鏡だと言われています。つまり担当者の技術力が如実に建設に反映されるということ。自信を持って、誰もが納得するものを生み出す技術者に成長することが、今の目標です。そのためにも多くの経験を重ねるとともに、広い視野を持って、貪欲に多様な知識・技術を吸収していきたいと考えています。

オフの過ごし方

休日は洗車をしてから、妻と出かけたり、ドライブしたりすることが楽しみです。最近は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、あまり遠出はできませんが、近場のカフェ巡りや観光をしてリフレッシュしています。また、ギターを弾くことや音楽を聴くことも趣味の一つ。妻と一緒に楽しんでいます。

一日のスケジュール

08:30
始業
体操、朝礼、メールチェック。
09:00
業務整理
プロジェクトやその他の課題、依頼業務の優先順位付け、実行。
10:00
設計検討会議
新設備の図面検討や問題点発掘&対策を行い、最終図面に反映する。
12:00
昼食
13:00
プロジェクト定例会議
プロジェクト実行部署間での調整や依頼、課題共有。
14:00
課題業務の調査、検討とそのまとめ
17:00
翌日の工事予定や現場作業の確認
17:30
退社