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建築構造用鋼材の特徴

建築物においては、鋼種を適正に使い分けることで、建物の構造信頼性を向上させることが可能となります。
「建築物の構造関係技術基準解説書」では、建築構造用鋼材に求められる性能が示されており、JIS G 3136 SN鋼材やTMCP鋼、590N/mm² 級鋼材はこれら性能を満足しています。

TMPCとは
構造計算仮定との整合性確保
マイナス側の厚さ許容差を厳格化
変形能力確保
降伏点、降伏比の上限値規定
溶接部の品質確保

●化学成分規定の厳格化
・ C量上限値規定
・ P量、S量の上限値規定
・ Ceq、PCM の上限値規定

●シャルピー吸収エネルギーの下限値規定

板厚方向特性
●絞り値の下限値を規定
●P ≦ 0.020%、S ≦ 0.008% 規定

表 技術慣行に示される鋼材の要求性能と鋼材規格の対応

種類の記号/企画 構造計算仮定
との整合性
溶接部の品質 変形能力確保
保有耐力接合
板厚方向特性
マイナス側
板厚公差
厳格化
C上限規定 シャルピー
規定
P≦0.030%
S≦0.015%
Ceq
PCM
規定
降伏比
規定
降伏点
上限値
P≦0.020%
S≦0.008%
絞り値
規定
SS400 × × × × × × × × ×
SM400A,
SM490A
× × × × × × × ×
SM400B,
SM490B
× × × × × × ×
SN400A × × × × × × ×
SN400B,
SN490B
× ×
HBL®-
H355B
× ×
HBL®-
JH325B
× ×
HBL®-
JH355B
SN400C,
SN490C
HBL®-
H355C
HBL®-
JH325C
HBL®-
JH355C

備考)規定を満足するものは”○”、オプション規定あるいは一部不適なものは”△”、規定のないもの、あるいは満足しないものは”×”としています。

鋼材の種類

厚板(SN・大臣認定材) 円形鋼管(STKN・大臣認定材)
H 形鋼(SHH・H 形鋼・極厚H・SN・大臣認定材) 角形鋼管(BCR・大臣認定材)

SN鋼材の使用区分

種別 A種 B種 C種
使用区分 小梁、間柱、母屋、胴縁等、主要構造部以外の一般に弾性範囲で使用する部位に使用。 C種の使用区分以外で広く一般の構造部位に使用。 溶接四面ボックス柱のスキンプレートやダイアフラムのように大入熱溶接や板厚方向に大きな引張応力を受ける部位に使用。
A種 ・ 塑性化しない
・ 溶接をしない
B種 ・ 塑性化する
・ 溶接をする
C種 ・ 板厚方向に力が作用する
・ 塑性化する
・ 溶接をする
SN鋼材の使用区分

SN材の特徴

JIS G 3136 に規定されている建築構造用圧延鋼材の特徴です。

鋼種 板厚
mm
規格性能
400N/mm²鋼 490N/mm²鋼
A 6〜100 ほぼ従来のSS材と同等材であるが、
Cの上限(0.24%以下)を想定
B 6〜100
降伏点のレンジ: 厚12mm以上で120N/mm²、ただしウェブ厚9mm以下のH形鋼は除外
降伏比: 厚12mm以上で80%以下、ただしフランジ厚が16mm以下でウェブ厚9mm以下のH形鋼は85%以下
シャピー吸収エネルギー: 厚12mm超えで27J(0℃)以上
Ceqを規定: 受渡当事者間の協定によって、炭素当量の代わりに溶接割れ感受性塑性を適用することができる。
Sの上限: 0.015%
その他: 厚13mm以上の鋼板ではオプションにより超音波探傷試験の実施が可能
C 16〜100 B鋼種規定に加え
Z方向の絞り値: 25%以上
Sの上限: 0.008%
その他: 超音波探傷試験の実施

STKN材の特徴

JIS G 3475-1996 に規定されている建築構造用炭素鋼管の特徴です。

鋼種 使用区分 規格性能
400N/mm²鋼 490N/mm²鋼
W 弾性範囲内で使用 Cepを規定:受渡当事者間の協定によって、炭素当量の代わりに溶接割れ感受性塑性を適用することができる。
Sの上限:0.030%
B 部材の塑性変形能や溶接施工性を確保した鋼材で、一般の主要構造部位に使用する
降伏点のレンジ: 厚12mm以上で150N/mm²
降伏比: 厚12mm以上で80%以下
シャピー吸収エネルギー: 外径400mm以上で、厚さ12mm越えで27J(0℃)以上
Ceqを規定: 受渡当事者間の協定によって、炭素当量の代わりに溶接割れ感受性塑性を適用することができる。
Sの上限: 0.015%

SNR材の特徴

JIS G 3138 に規定されている建築構造用圧延棒鋼の特徴です。

鋼種
mm
使用区分 規格性能
400N/mm²鋼 490N/mm²鋼
A 6〜100 溶接を行わない
弾性部位に使用する
ほぼ従来のSS材と同等材であるが、C,P,Sの上限を規定
B 6〜100 部材の塑性変形能や溶接施工性を確保した部材で一般の主要構造部位に使用する
降伏点のレンジ: 径12mm以上で120N/mm²
降伏比: 径12mm以上で80%以下
シャピー吸収エネルギー: 径16mm超えで27J(0℃)以上
Ceqを規定: 受渡当事者間の協定によって、炭素当量の代わりに溶接割れ感受性塑性を適用することができる。

BCR材の特徴

建築構造用冷間成形角形鋼管(BCR)の特徴です。

規格 厚板
mm
規格性能
400N/mm²鋼 490N/mm²鋼
BCR295
※(JBCR295)
6〜28
F値: 295N/mm²
降伏点: 厚12mm以上で295~445N/mm²
降伏比:: 厚12mm以上で90%以下
シャピー吸収エネルギー: 径12mm超えで27J(0℃)以上

JBCR295はBCR295の範囲外である板厚28mmにも対応したJFEスチール独自規格です。

関連リンク

大臣認定品一覧

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