ニュースリリース
JFEスチール株式会社
横浜市との「豊かな海づくり」の取組みが令和3年度「土木学会環境賞」を受賞
当社と横浜市が連携して実施している『公民連携による「豊かな海づくり」共同研究プロジェクト ~鉄鋼スラグ製品による海域環境改善の実証と環境教育に向けた取組み~』が、公益社団法人 土木学会が主催する令和3年度「土木学会環境賞(Ⅱグループ)」(*1)を受賞しました。
本プロジェクトは、当社の「マリンブロック®」や「フロンティアロック®」(*2)等のスラグ製品を活用し、生物の着生基盤の造成が新たな付加価値を創出することを示した他に例のない画期的な取組みであり、環境保全・創造、信頼性、持続性、公民連携による地域一体となった推進体制が評価され、今回の受賞にいたりました。
当社は今後とも、カーボンニュートラル社会の実現に寄与するエコプロダクトの開発に注力し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
左から、横浜市環境創造局環境科学研究所長 百瀬 英雄 様、
当社常務執行役員 スラグ事業推進センター長 丸山 隆
手前は、つき磯を造成した山下公園前海域の海底地形モデル
(提供:横浜市)
【受賞案件】
「公民連携による『豊かな海づくり』共同研究プロジェクト
~鉄鋼スラグ製品による海域環境改善の実証と環境教育に向けた取組み~」
【受賞理由】
本プロジェクトは、製鉄プロセスで発生する鉄鋼スラグを用いたつき磯(人工的な磯)を造成し、着生した濾過食性動物(二枚貝やホヤなど)による環境負荷低減効果を定量化したものです。つき磯造成後の5年間で動物種の増加を確認しました。このつき磯にて確認された濾過食性動物により、1日当たり8,400kL(25mプール換算で17杯分)の海水を濾過していることが推計されました。さらにこれによるCOD(*3)削減量や下水処理場と比較したCO2削減効果を試算しました。これらの成果は地域住民などへの環境教育に多数活用され、啓発に貢献しています。本プロジェクトは、環境保全・創造、信頼性、持続性に優れた取組みであり、公民連携により地域一体となって大きな成果を上げている点が、環境賞受賞に相応しいと評価されました。
(*1)土木技術・システムを開発・運用し、環境の保全・改善・創造に貢献した画期的なプロジェクトに対して授与される。
(*2)「マリンロック®」より改称。
(*3)Chemical Oxygen Demandの略。海域や湖沼の汚染の度合いを示す指標で、水中の有機物などの汚染源となる物質を酸化するときに消費される酸素量(mg/l)を表したもの。
【公民連携による「豊かな海づくり」共同研究プロジェクトについて】
横浜市において、横浜のシンボルである海が、市民にとってもっと身近で、多様な生き物を感じることができる場になるよう、豊かな海づくりの取組みが進められています。
これまで、山下公園前の海域において、当社と横浜市は、鉄鋼スラグ製品を使用した浅場を造成し、海の生き物がすみやすい環境づくりの共同研究を行ってきました。
また、こうした取組みや横浜の海の環境を広く知って頂けるようにイベントや発表会などを通して普及・啓発活動を行っています。
【参考】
■共同研究概要
山下公園前に広がる海は、浅場においては良い環境が保たれていますが、海底付近はヘドロ(有機物を多く含む泥)が堆積しており、夏場には著しい水質の悪化がみられます。そのため、生物の産卵場や育成の場としての機能が失われた状態となっています。
共同研究では鉄鋼スラグ製品を用いて磯場(生物付着基盤)を造成することで、生物生息環境を改善し、海域が本来持っている生物による水質浄化能力の回復を図りました。
写真 共同研究の実験区域
■共同研究の成果
実験開始直後からヒトデやナマコなどの生き物が確認され、その後も生き物の増加が確認されています。
調査の結果、共同研究の期間において濾過食性生物(二枚貝やホヤなど)による濾水量を推計したところ、1日当たり8,400kL(25mプール換算で17杯分)の海水を濾過していることが推計されました。
【関連URL】
鉄鋼スラグ製品を活用した横浜市との共同研究の更なる推進
~山下公園前の海域の環境改善と賑わいづくりに向けて~
横浜市との山下公園前海域共同研究でアマモなどの生物種数の増加を確認
~鉄鋼スラグ製品が生物付着基盤として有効に機能~
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