ニュースリリース
JFEスチール株式会社
2026年 JFEスチール社長年頭挨拶
広瀬 政之
新年にあたり、ご挨拶申し上げます。
「安全は全てに優先する」の決意を新たに。
昨年はグループ会社において4件の重大災害が発生し、尊い仲間の命が失われました。被災者の方のご冥福をお祈りします。二度と悲劇を繰り返さぬよう、安全最優先の決意を新たにしたいと思います。そして、本年もルール遵守やリスクの早期発見と改善を進め、安全の力をグループ全体で引き上げてまいります。
26年度は8次中期の中間年度。早く成果を出すことにこだわり、精力的な挑戦と実行を。
当社は昨年、長期ビジョンである「JFEビジョン2035」と「第8次中期経営計画」を公表し、ねがう未来に向けた一歩を踏み出しました。国内生産体制の再構築、販売戦略の強化、海外事業戦略やソリューション事業の拡大、カーボンニュートラルやDX戦略の推進等、それぞれの取り組みが進展しています。
26年度は8次中期の中間年度です。何を実行すべきかよく考え、いま試行錯誤を積み重ねることが明日の稼ぐ力と成長につながります。早く成果を出すことにこだわり、26年度の収益目標の達成、そして最終年度に大きな成果が得られるよう、精力的な挑戦と実行をお願いします。
今年は、稼ぐ力を取り戻すことにこだわり抜く。
7次中期(21~24年度)は構造改革の完遂や販売面の努力などにより、当社の実力連結利益は約1,350億円(4年間の平均)と一定水準の収益を確保しましたが、24年度下期から経営環境が急速に悪化しました。中国から廉価な鋼材が大量に輸出されて国内・海外ともに市況が低迷し、そこへトランプ関税を始めとする各国の保護主義的な通商政策が状況を更に悪化させました。
一時期の大きな混乱は収まりましたが、需要や市況の回復を楽観視できる状況になく、リーマンショックやコロナ禍を前例に見立て「今回も一過性である」と捉えることは大変危険です。当社の収益は大変厳しい状況であり、このような状況を打開し、8次中期の達成や2035年長期ビジョンを実現する力を蓄えるために、今年は特に「稼ぐ力を取り戻すことにこだわり抜きたい」と考えています。25年度の残り3か月と26年度の1年間、前向きにしっかり取り組んでいきましょう。
販売に関わる皆さんへ。
まずは、高付加価値商品の拡販、スプレッドの維持・拡大、GXスチールの販売など、当社の製品価値をお客様に認めて頂けるよう、販売戦略や営業活動を更に強化していきましょう。
そのうえで収益面積の最大化に注力します。当社の生産能力は倉敷地区の高炉バンキングにより、足元の実需を踏まえた水準へ移行しました。現在の生産能力と実際のオーダーをよく見ながら、そして市場の変化やお客様の利益を敏感に捉えて、“収益面積を最大化するため、汎用品を含め、いつ・何を・どのように売るべきか”これまで以上によく考えて販売につなげるようにしてください。営業部門の本分であり、今は徹底した取り組みが必要ですので期待しています。
生産に関わる皆さんへ。
まずは、安全・安定操業の実践をお願いします。安全・安定操業は生産量や能率のみならず、コスト、品質、納期、そして労働災害や事故防止の観点も含め、生産現場全体に安定感をもたらします。そしてトラブルが減れば、考える時間やマンパワーを創造的な活動に集中させることができます。皆さんの力を結集し、安全・安定操業の実践を通じて、会社全体を良いサイクルに導いてください。
次にコスト管理についてです。製造業である当社の収益は、購買や外注管理を含め、生産現場に関わるコスト管理が肝です。今年は稼ぐ力を取り戻すため、より一層のコスト削減を進めるとともに、どこに・どのような費用をかけるべきか“限りある資源を最も効果的に活かす”という本質を捉えた取り組みを進めてください。資源はお金だけではありません。人、物、金、時間、情報、知的財産。生産現場や関連する業務に携わる方は、研究所や管理部門、グループ・協力会社の協力も得ながら、着実な足取りで進めていただくようお願いします。
研究業務をはじめ、成長分野に取り組む皆さんへ。
当社は、研究業務や商品開発をはじめ、設備投資や事業投融資、海外事業やソリューション事業、カーボンニュートラル対応やDX戦略など、様々な成長分野に取り組んでいます。経営環境の見通しは不透明ですが、将来の成長に向けた歩みを止めることはありません。戦略を綿密に練り上げ、今がチャンスと判断できれば意思決定と計画実行を着実に進めます。
新たな挑戦から成果を得るまでの道のりは険しいですが、目標を達成したときの充実感は格別です。会社の成長のために挑戦と成長を積み重ね、ねがう未来をともに切り拓いていきましょう。
業務プロセスのDXに取り組む。ツールはみなさんの目の前に。
DX戦略は他社に先駆けて取り組めば、会社の競争優位性を飛躍的に高める可能性を秘めています。会社全体として力強く推進したい成長戦略の1つであり“今がチャンス”です。
当社ではこれまで生産プロセスを中心に取り組み、現場の生産効率を改善し一部は外販するなど一定の成果を上げてきました。一方、スタッフ業務などの業務プロセスは、生成AIを含む様々なDXツールの導入により利用環境が整備されてきましたが、活用状況にはまだ濃淡があるのではないかと思います。各部においてコスト削減や収益拡大に向け「DXツールを用いた業務の効率化・高度化の取り組み」を具体的に始めてください。会社としても皆さんの取り組みを支援する体制を整備していきます。
まずは、1つのバリューを実践する。
パーパス・ビジョン・バリューを覚えていますか?仕事が忙しいと喫緊の課題に集中し中長期の目指す方向を忘れてしまいそうになります。このような時期こそ、当社の存在意義を定めた「パーパス」と、中長期的な目標を定めた「ビジョン」で目指す方向を確認し、社員一人ひとりが「バリュー」に則した行動を起こすことが益々重要になります。
新年を迎え今年の目標を考えるにあたり、6つのバリューを振り返っていただき、まずは1つ具体的な行動目標を立ててみてください。バリューの実践は新たな変化と成長を促し、仕事や生活にやりがいや張り合いをもたらしてくれると思います。会社は変化と成長を求める方を積極的に支援します。そして、会社と社員が共に成長する姿を社内外に示していきましょう。
【図】JFEスチールのバリュー
法令違反や不正行為によってもたらされる利益は「一切不要」。
コンプライアンスは企業活動の根幹です。法令違反や数値・書類の改ざんなどの不正行為は、たとえ会社のためと思って取った行動であっても絶対に許されるものではなく、必ず社会からの信頼を失い甚大な損害を招くことにつながります。私たちのねがう未来は、法令遵守と誠実な企業活動の上にしか築けません。不正による一時的な利益ではなく、社会から信頼される持続的な価値を創造することが、私たちの使命です。繰り返し述べてきたことではありますが、今一度、ご確認をお願いします。
結びに。
最後になりますが、足元の環境を乗り越えていくためには、労働組合のみなさんの存在は欠かせません。労働組合は、社員の声に真摯に耳を傾け、経営陣とも建設的な対話を重ねています。これまでの労使関係を土台に、今後もねがう未来を共有し、共に課題に挑んでいただくことをお願い申し上げます。
以上、年頭にあたり所信を申し述べました。2026年がみなさんとご家族にとって、実り多く健康で笑顔あふれる一年となりますよう心から祈念し、新年の挨拶といたします。




