ニュースリリース
JFEスチール株式会社
施工合理化と優れた耐震性能を両立する
ビルトH形鋼の梁端接合部における溶接工法「smarTABH®」を開発
当社は、ビルトH形鋼梁(以下、BH梁)の梁端接合部(図1(a))において、従来必要とされていたスカラップ(※1)の回し溶接および仕上げ処理(図1(b))を省略できる溶接施工合理化工法「smarTABH®(スマタブエイチ)」を共同開発し(※2)、構造性能と設計・施工方法について一般財団法人 日本建築総合試験所の建築技術性能証明(※3)を取得しました(図2)。
BH梁は、3枚の鋼板を溶接によりH形に組み立てて製作するもので、圧延H形鋼の製造範囲を上回る大断面を実現でき、高い耐震性能が要求される高層建築物などに適用されます。本工法はBH梁の製作方法である先組形式と開先先行形式(図3)のうち、開先先行形式で製作されたBH梁の梁端溶接部に適用可能です。
本工法では、スカラップ近傍に設置する固形タブ(図2(c))まで溶接を行い、梁フランジの可とう領域(※4)を従来よりも確保することで、地震時の応力・歪集中を緩和し、従来を上回る塑性変形性能を発揮します(※5)。本工法を適用したBH梁の梁端接合部の耐力および塑性変形性能は、構造実験および有限要素解析により確認しています(図4)。
本工法を適用するBH梁の鋼板には、当社製厚鋼板(SN490やHBL®385等)を使用します。梁断面寸法の適用範囲は、フランジ板厚は40mm以下、梁せい・梁幅は制約が無く、幅広い使用用途でご利用可能です。また、梁フランジ端部を拡幅したBH梁にも本工法の適用が可能です。
当社は今後も、安心・安全な生活づくりのための国土強靭化に向けて、お客様の様々なニーズにお応えできる付加価値の高い建築建材商品および利用技術の開発と普及に努め、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
※1 十字に鋼板を溶接する場合などに、溶接線が交差することを回避するために設けられる切り欠き部
※2 国立大学法人 宇都宮大学、株式会社日本設計、株式会社ヨネモリとの共同開発
※3 GBRC性能証明 第24-29号
※4 地震などの外力に対して、梁端フランジ溶接部と梁フランジ-梁ウェブ間隅肉溶部の止端間で、梁フランジ母材の塑性変形が生じる領域
※5 国土交通省「長周期地震動に対する鉄骨建造物の安全性検証方法に関する検討、平成24年度建築基準整備促進事業(2013.4)」による
| (a)梁端接合部の位置 | (b)従来の梁端接合部仕様 |
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| (a)不溶接領域無し | (b)不溶接領域有り | (c)施工時の一例 |
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【図3】BH梁の種別・製作手順の例
(a)先組形式:3枚の鋼板をH形に溶接により組み立てた後にスカラップ等の加工を行う
(b)開先先行形式:スカラップ等の加工を行ってから3枚の鋼板を溶接によりH形に組み立てる
| (a)載荷状況 | (b)実験結果と設計用疲労曲線 |
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| JFEスチール株式会社 | 総務部広報室 | TEL 03(3597)3845 |











