ニュースリリース
JFEスチール株式会社
福ビル街区建替プロジェクト(ONE FUKUOKA BLDG.)に
高施工性溶接技術「J-STAR®溶接を活用した裏波狭開先溶接技術」が初採用
このたび、福ビル街区建替プロジェクト(ビル名称:ONE FUKUOKA BLDG.、2024年12月竣工)※1のうち、溶接組立H形鋼の板継溶接に、当社が開発した溶接工程の省力化・工期短縮が可能な高施工性炭酸ガスアーク溶接技術「裏波狭開先溶接技術※2」が採用されました。
ONE FUKUOKA BLDG.の梁材には、図1に示すように耐震性能向上を目的とした梁端部を拡幅した溶接組立H形鋼が採用されており、フランジ平行部と拡幅部は板継溶接が行われています。この溶接部は、通常両面溶接で施工されますが、図2に示すように両面溶接では、表面側を溶接した後に、鋼材の反転、裏はつり、裏側溶接といった複数工程が必要でした。
これに対し、当社が開発した裏波狭開先溶接技術は、J-STAR®溶接※3を用いており、開先角度を0°として必要溶着量を削減するとともに、初層溶接においては、セラミック製裏当材を用いて裏波ビードを形成させる溶接技術開発に成功しました。本施工技術では、表面側溶接工程のみで施工を完了させることができるため、溶接パス数と工程数を同時に削減可能であり、溶接工程の省力化・工期短縮が可能な工法です。
溶接組立H形鋼の板継溶接部への施工技術は、(株)永井製作所と共同で実用化し(図3参照)、同技術を適用した梁材がONE FUKUOKA BLDG.建設工事に採用されました。本溶接技術は、溶接施工時間の短縮および溶接材料の使用量低減により、SDGs目標の達成にも寄与するものです。
当社は、今後ともお客様の様々なニーズにお応えできる付加価値の高い溶接技術の開発を通して、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
(※1)ONE FUKUOKA BLDG.
福岡市中央区天神一丁目において西日本鉄道(株)が開発を推進する大型複合ビル。
施工者は、鹿島・安藤ハザマ・松本・西鉄建設 特定建設工事共同企業体(JV)。
プロジェクトの詳細につきましては、以下URLよりご参照ください。
https://onefukuoka-building.jp/
(※2)裏波狭開先溶接技術
従来の開先(溶接によって接合する母材間に設ける溝)に比べてより狭い開先で行われる溶接であり、表側の溶接によって、裏波ビード(裏面の溶接金属)を形成する技術。
(※3)J-STAR®溶接
J-STARはJFE Spray Transfer Arcの略。アーク安定剤として適量のREM(Rare Earth Metal:希土類金属)を添加した溶接ワイヤを用い、極性を従来とは逆のワイヤ側をマイナスとした炭酸ガスアーク溶接方法。指向性が強く安定した円錐状アークの形成と、溶融ワイヤ(溶滴)の微細化による連続的かつ安定した溶接(微細スプレー移行)の実現により、スパッタ(溶接時に周囲に飛散する金属粒)発生量の大幅な低減と深い溶込みを得ることができ、作業時間や工期の短縮に寄与する特徴がある。

図1 梁端拡幅溶接組立H形鋼の板継溶接部

図2 従来両面溶接と裏波狭開先溶接の工程
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(a)継手外観 | (b)断面マクロ |
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