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ニュースリリース


JFEスチール株式会社

2025年 JFEスチール社長年頭挨拶

代表取締役社長(CEO)広瀬 政之
代表取締役社長(CEO)
広瀬 政之

新年にあたり、ご挨拶申し上げます。

最初に、安全につきまして、昨年はグループ会社において2件の重大災害が発生し、尊い仲間の命が失われました。誠に残念でなりません。ご冥福をお祈りするとともに、このような災害を二度と起こさぬようJFEグループ全体で再発防止の徹底を図っていきます。

さて、昨年を振り返りますと、国内での鋼材需要は人手不足や資材高騰などの影響もあり減少しました。海外での鋼材需要においても、中国経済の停滞の影響が大きく、減速感が強まりました。

このような中でも、構造改革効果の発現や社員の皆さんがそれぞれの職場で成果を出したことにより、7次中期最終年での収益目標へは届かなかったものの4年連続で黒字を達成する見込みです。社員の皆さんが7次中期の施策を中心としたさまざまな取り組みに尽力してくださったことによるものであり、お礼を申し上げます。

7次中期においては、構造改革を中心とした「量から質への転換」の取り組みを行ってきましたが、それぞれの効果が発現され実力は確実に向上してきています。また、昨年はインドでの電磁鋼板事業会社の買収、豪州での原料権益の獲得、福山での新CGL建設の決定などの長期的に成長するための新たな事業展開を行ってきました。カーボンニュートラルに向けたCO2削減も着実に進め、2024年度末に目標としていた▽18%削減を達成する見込みです。

2025年の重点課題と長期ビジョン

今後、人口減にともなう国内鉄鋼需要の減少傾向は続いていくと考えられます。当社にとって厳しい需要環境が続くこともあり、需要環境に合ったさらなるコスト削減や競争力強化を図り、稼ぐ力を向上させることが必要です。

本年は8次中期をスタートさせる年となりますが、8次中期策定にあたっては、カーボンニュートラルや国内鋼材需要の減少などの当社の長期的な課題に対応し、会社と社員がともに挑戦しながら成長していくために、「2035年長期ビジョン」を描いています。この長期ビジョンに向けて、8次中期に国内製鉄事業で稼ぐ力の向上を図り、海外や成長分野での成長戦略を進めることで、会社としての成長と収益最大化を実現していきます。

特に本年は、より社会ニーズに合致した商品戦略の展開、海外を中心とした成長戦略投資のさらなる拡大、カーボンニュートラル実現に向けた投資や研究開発の実施、新事業への挑戦なども行っていきます。これらの取り組みにより、高い技術と競争力を持ち、常に成長を続け、カーボンニュートラル世界をけん引するサステナブルな最先端企業を目指します。

このような中、皆さんに重点的に取り組んでいただきたい課題は次のとおりです。

1.「生産・販売体制の強化による収益最大化」

鋼材需要を着実に捉えて競争力の高い生産・販売体制を実現するために、計画的な設備管理などによって安定操業に努めるとともに、効率的な操業を追求してください。また、販売面においては、需要減少下でも戦略分野などの高付加価値品の販売拡大に取り組み、引き続き、コストや付加価値に見合った販売価格の確保に取り組んでください。

2.「カーボンニュートラル世界実現へのけん引」

2050年カーボンニュートラル実現に向けて、超革新技術であるカーボンリサイクル高炉法、直接水素還元製鉄法、高効率・大型電気炉の開発が本格化し、順次試験が開始されます。当社の将来を担った技術開発に向けて、社内の力を結集して挑戦していきましょう。倉敷地区では高効率・大型電気炉へのプロセス転換を予定しております。千葉で建設中のステンレス用電気炉など、これらのGX投資の着実な実行に努めてください。また、グリーン鋼材「JGreeX®」の高い環境価値の魅力をお客様へ伝え、販売先の開拓や拡大に向けた取り組みを引き続き推進していきます。

3.「成長分野への挑戦」

会社が持続的に成長していくために、海外の成長地域での事業の拡大や原料メーカーとの協業をさらに推し進めていきます。また、当社が保有している高い技術やノウハウを活用したソリューションビジネスの拡大のほか、新たな挑戦として新規事業にも取り組んでいきます。

4.「DX技術の活用」

デジタル技術を積極的に導入することで、効率的な業務の遂行や働きやすい職場環境を実現することが可能となります。本年も、製造部門だけでなく幅広い部門やプロセスへのデジタル技術の導入を進め、生産性向上を図っていきます。また、全社員のDXリテラシー向上に向けて、生成AIなどの最新技術の進化を踏まえた社内DX講座の刷新を行っていきます。皆さんも、最新のDX技術を業務に積極的に取り入れ、自身や部門の業務改善を行うことに取り組んでみてください。

2025年の行動指針

2025年はパーパスや長期ビジョンの実現に向けて、踏み出していく年としたいと考えています。会社は社員によってつくられているものであり、社員こそが会社を動かす原動力です。社員の皆さんが働きがいを持ちながら明るい未来を向いて成長していけるように、本年も「ReFuture PROJECT」を推進していきます。社員の皆さんも、一人ひとりが「ねがう未来」に向けて、以下の3点を意識して行動してください。

1.「自分ごとで考え、常に成長を目指す」

変化の大きい環境の中で当社が課題を乗り越えていくためには、社員の力を最大発揮していくことが不可欠です。そのために、「自分のこととして考える」「自らが変えていく」という意識を持つようにしてください。自分のこととして考え、意見を持ち、できることを広げるために前向きに学んでいってください。また、小さなことでもいいので挑戦してみてください。社員が挑み、ともに成長していくことを皆が喜び、応援する会社でありたいと思います。

2.「バリューを日々の業務で実行する」

昨年に社員全員で作ったバリューを実践することで会社が目指す姿への実現に向かい、価値観の共有により仕事のしやすい職場が実現できると確信しています。6つのバリューのうちの1つずつでもいいので、本年は「実際にやってみる」ということを心がけてみてください。既にできていることは自信にし、できていないことはバリューに合った行動となるよう意識して業務にあたってみてください。管理者の皆さんはバリューを活用して部下へアドバイスをし、バリューが実践できている部下を褒めて伸ばしていってほしいと思います。

3.「多様性を喜び、お互いの意見を尊重」

世界で起きている複雑な変化に対応するためにも、新たな分野や世界へ事業を広げていくためにも、DEI(多様な人材が、公正な機会を得て、受け入れられ活躍すること)により新たな価値を生み出していくことが必要だと考えています。社員の皆さんは自身の個性を理解したうえで、その個性を活かして仕事をどう発展させて成果を得られるか、考えてみてください。各職場では昔ながらのやり方にとらわれずに、異なる意見を言うこと、新しいことに挑戦することを称え、チームで実現した成果をともに喜ぶ職場をつくっていきましょう。そうすれば、身近なところから新たな発想や業務のイノベーションが生まれてくるはずです。

安全活動、コンプライアンスについて

安全活動

当社が家族や社内外に誇れる会社になるには、社員全員が安全で健康に働ける人づくりと職場づくりが不可欠です。安全活動においては、自主自立の安全活動を基本として、本音の対話を実践し、現場の実態を把握して埋もれているリスクの抽出と改善を進めてください。現場第一線で働く皆さんは、安全は「自分ごと」であることを心がけ、ルールの意義を理解したうえでルール遵守を徹底してください。健康面では、心身ともに長く健康に働けるように、健康づくりを展開してください。

コンプライアンス遵守の再認識

企業活動は社会からの信頼のもとに成り立っています。ひとつのコンプライアンス違反がものづくりに対する信頼の根幹を揺るがし、企業そのものの存続を脅かす事態になりかねないということを今一度、認識するようにしてください。

結びに

最後に、長期的な経営課題や変化の多い環境に対応していくためには、労働組合の皆さんと十分に意思疎通を図り、目指すべき未来を共有して結束力のある連携を行っていくことが不可欠です。この変革の中で会社も社員もともに成長を遂げて目指すべき未来へ進んでいきたいと思っています。引き続き、よろしくお願いいたします。

以上、年頭にあたり所信を申し述べました。本年が皆さんとご家族にとって実り多く健康で笑顔のあふれる一年となりますよう心から祈念し、新年の挨拶といたします。