ニュースリリース
JFEスチール株式会社
「厚鋼板の高品質化を実現した連続鋳造の凝固完了位置自動計測装置」が
第59回機械振興賞 経済産業大臣賞を受賞
当社が開発した「連続鋳造における凝固完了位置測定装置」が、このたび一般財団法人機械振興協会(会長:釡 和明)から第59回機械振興賞 経済産業大臣賞を受賞しました。
機械振興賞は、我が国機械工業における技術開発の一層の促進を図るため、優秀な研究開発およびその成果の実用化によって、機械産業技術の進歩・発展に著しく寄与したと認められる企業・大学・研究機関および研究開発担当者に対して毎年与えられるものです。当社の機械振興賞の受賞は13回目、経済産業大臣賞は3回目となります。
1.受賞技術名
「厚鋼板の高品質化を実現した連続鋳造の凝固完了位置自動計測装置」
2.受賞者
西澤 佑司(スチール研究所 サイバーフィジカルシステム研究開発部 グループリーダー)
外石 圭吾(スチール研究所 製鋼研究部 主査研究員)
田中 智紘(西日本製鉄所(福山地区) 製鋼部 第2製鋼工場 工場長)
礒崎 健二(DX企画部 主査)
竹中 秀同(西日本製鉄所(福山地区) 制御部 制御技術室 主査)
飯塚 幸理(スチール研究所 主席研究員)
3.開発の概要
当社は、連続鋳造プロセスにおける凝固完了位置を自動的に測定する「凝固完了位置測定装置」を開発しました(図)。
連続鋳造における凝固完了位置は、生産性及び品質上非常に重要な指標でありながら、従来それを連続的に精度よく把握することは困難でした。そこで超音波を非接触で送受信できる電磁超音波法にハルバッハ配列(特殊な磁石配列)とデジタル信号処理を適用することで感度を飛躍的に向上させ、非接触での超音波計測を実現するとともに、縦波超音波と横波超音波を組み合わせた凝固完了位置の計測技術を開発しました。また、高温の鋳片とセンサの距離を一定に制御し、センサの接触・破損を防ぐ自動制御機構も開発した結果、表面温度900℃を超える連続鋳造鋳片の凝固完了位置の自動計測、および適切な位置に制御することが可能となりました
本装置はすでに西日本製鉄所(福山地区)製鋼工場に導入され、操業改善に活用しております。
また、本技術の開発により、中心偏析の発生を抑制し、水素誘起割れへの耐久性を向上させ、過酷な腐食環境下で使用されるパイプライン向け鋼材をはじめとした高級厚鋼板を製造できるようになりました。本装置を利用して製造した高級厚鋼板は、東南アジアでの天然ガス開発パイプラインプロジェクト向けの鋼材としてお客様に採用いただいております(※)。当社では、これらの高級鋼材を通じて、世界の資源・エネルギー開発に貢献してまいります。
図:凝固完了位置測定装置

【関連URL】
(※)表層硬さ厳格仕様サワーラインパイプ用UOE鋼管を初出荷(2024年5月30日)
https://www.jfe-steel.co.jp/release/2024/05/240530.html
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