ニュースリリース
JFEスチール株式会社
固体酸化物形燃料電池(SOFC)のインターコネクタ用の
フェライト系ステンレス鋼 『JFE-FC1』 を開発
~コーティングレスによる耐酸化性と導電性の両立~
当社はこのたび、コーティングレスで高温水蒸気中での耐酸化性と導電性を両立する、固体酸化物形燃料電池(SOFC、※1)のインターコネクタ(※2)用フェライト系ステンレス鋼『JFE-FC1』を開発し、サンプルの提供を開始いたしました。『JFE-FC1』は、セラミックスコーティングに要するコストと作業工程を削減することができるステンレス鋼です。
燃料電池は水素と空気を反応させることで発電を行う電池であり、持続可能な社会の実現に必要とされる、二酸化炭素を排出しないグリーン電力の供給装置として今後広く普及することが期待されています。
従来のステンレス鋼を用いたインターコネクタでは、約700℃の高温水蒸気中での使用時に生成するステンレス特有の酸化皮膜が、長期間の使用によってそのバリア機能を失い、鉄そのものの酸化物である赤さびを生成することで電池性能の低下が生じます。そのため、現行のインターコネクタは、ステンレス鋼にあらかじめセラミックスコーティングを施すことで酸化皮膜のバリア機能を長期間の使用後にも維持できるようにしていますが、希少元素を含むセラミックスコーティングの原料コストや製造にかかる作業工数が普及促進の大きな課題となっています。
このたび開発した『JFE-FC1』は、長期間の使用後にもバリア機能を持ち続け、かつ発電効率を低下させないよう導電性も維持できる特殊な構造を持った酸化皮膜が生成する、新たな材料設計に基づいて開発されたステンレス鋼です。『JFE-FC1』を適用することで、セラミックスコーティングに要するコストと工程を削減することができ、カーボンニュートラル実現に向けたSOFCの普及促進に大きく貢献します。また、『JFE-FC1』はSOFCの逆反応であるSOEC(※3)のインターコネクタにも同様に使用することができるため、SOECの普及による水素活用社会の実現にも大きく貢献します。
当社は今後も、燃料電池技術の深化ならびに普及に寄与する技術開発を続け、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
※1:Solid Oxide Fuel Cell.水素を空気と反応させることで発電する燃料電池。
※2:燃料極/電解質/空気極から構成される部品(セル)をスタック(積層)するため電気的に接続する部品です。
※3:Solid Oxide Electrolysis Cell.電気で水を分解して水素を製造する装置。
【図】 インターコネクタ用ステンレス鋼の高温酸化挙動の模式図
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