ニュースリリース
JFEスチール株式会社
豪州ブラックウォーター製鉄用原料炭事業への出資について
JFEスチール株式会社(以下、当社)は、豪州の製鉄用原料炭サプライヤーであるWhitehaven Coal Limited(ホワイトヘイブンコール、以下、ホワイトヘイブン社)が保有するブラックウォーター炭鉱の権益10%分を取得し、長期オフテイク契約を締結することを決定しましたので、お知らせします。
- 本投資の背景
ホワイトヘイブン社は豪州証券取引所に上場する鉱山会社です。保有するブラックウォーター炭鉱が生産する高品質原料炭は不純分が少ないため、製鉄プロセスにおける温室効果ガスの排出を一般的な原料炭と比較して低減でき、長期にわたり当社の主力の製鉄用原料炭の一つとして使用されています。
今後、インド、東南アジア地域において高炉法による粗鋼生産に伴うコークス需要の高まりが想定される一方、製鉄用原料炭炭鉱の新規開発や拡張が困難となりつつあり、将来的に原料炭の供給タイト化が懸念されています。本投資は、このような環境下において、権益の一部取得により高品質のブラックウォーター炭を安定的に調達し、当社の収益安定化に寄与することを期待しています。
- 本投資の概要
当社は、100%子会社のJFE Steel Australia Resources(以下、JStAR社)を通じて、ブラックウォーター炭鉱権益10%分を360百万米ドル(約540億円)にて取得する権益譲渡契約をホワイトヘイブン社と締結しました。これにより、当該製鉄用原料炭事業運営の意思決定に参画するとともに、同炭鉱が生産する製鉄用原料炭の長期的な安定調達を行います。
【ブラックウォーター炭鉱の概要】
・所在地 | : | 豪州クイーンズランド州東部ボウエン地区 |
・生産量 | : | 年間1,010万トン(2024豪州会計年度実績) |
・採掘方法 | : | 大規模露天掘り |
・積出港 | : | グラッドストーン港(炭鉱より約300km) |
・資源量 | : | 8億トン※(30年以上の採掘が可能)※Measured、Indicatedベース |
【ホワイトヘイブン社の概要】
・社名 | : | Whitehaven Coal Limited |
・本社 | : | 豪州ニューサウスウェールズ州 シドニー市 |
・社長 | : | ポール・フリン(Paul Flynn) |
・主要事業 | : | 鉱山業 |
【ブラックウォーター炭鉱の位置】

【今回投資の概要】
・取得権益比率 | : | ブラックウォーター炭鉱権益の10% |
・JV出資構成 | : | 当社(JStAR社) 10% ホワイトヘイブン社 70% Nippon Steel Australia Pty Ltd.(以下、NSA社) 20% |
・取得金額(当社分) | : | 360百万米ドル(約540億円) |
【今回投資の概念図】

- 当社の製鉄プロセスにおけるCO2排出量削減の取り組みとの関連
当社は、2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、製鉄プロセスにおけるCO2排出量削減に取り組んでいます。グリーンイノベーション基金事業を活用し、「超革新高炉(カーボンリサイクル高炉)」「直接還元製鉄法」「革新電気炉(高効率・大型電気炉)」の超革新技術を複線的に開発し、早期実装を目指しています。特に、当社独自技術であるカーボンリサイクル高炉は、炭素資源として回収したCO2をメタネーション技術によりメタンに変換し、これを高炉プロセスの還元材として活用することで、カーボンを繰り返し利用できる超革新技術です。このカーボンリサイクル高炉にCCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)を組み合わせることにより、実質CO2排出ゼロを目指しています。このカーボンリサイクル高炉による製鉄プロセスにおいて、安定した効率の良い操業を実現するためには、今回権益を取得するブラックウォーター炭鉱から産出されるような高品質な原料炭が、一定量必要になります。
【カーボンリサイクル高炉の概念図】

当社は、今後も、さまざまな超革新技術の開発に複線的に取り組み、気候変動問題の解決に向けた取り組みを続けるとともに、必要不可欠な製鉄原料の長期安定調達の実現により、変化の激しい環境下においても安定した収益基盤を確立することで、長期的な持続的成長に取り組んでまいります。
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