ニュースリリース
JFEスチール株式会社
木材を利用した鋼管柱の耐火被覆工法「アーキテツト®木耐火柱」の認定取得
~木+鉄混合構造「アーキテツト®」シリーズ~
当社はこのたび、木材を耐火被覆材として活用した鋼管柱の耐火被覆工法「アーキテツト®木耐火柱」を開発し、1時間耐火構造(認定番号FP060CN-1012)および2時間耐火構造(認定番号FP120CN-1006)の認定を国土交通大臣より取得しました(※1)。建築業界では、森林循環や建築物へのCO2固定効果への期待から、脱炭素社会の実現に向け木材利用が推奨されています。当社は鋼構造建築物における取り組みの一つとして、新たに木+鉄混合構造「アーキテツト®」を展開し、この柱耐火被覆工法は第一弾となります。
今回開発した工法は、木材が有する高い断熱性に着目し、柱の耐火被覆材(※2)として木材を活用したものです。山佐木材株式会社(本社:鹿児島県)との共同研究により、当社製の鋼材を使用した鋼管柱に強化せっこうボードと木材を組み合わせることで、2時間の耐火構造認定を取得しました。これにより、より階数の高い建物に鋼管柱の耐火被覆材として木材を利用することが可能となります。
本工法は、木造と鉄骨構造の混構造建物への適用も可能です。現在中高層建築物の木造化においては、耐震性など構造上の観点から鉄骨造や鉄筋コンクリート造を組み合わせるケースがあります。これまで、意匠面で木造にしたくても構造上鉄骨造にする必要があった柱に本工法を用いることで、構造と意匠の両立を図ることが可能です。また、内装材としても機能することで、木材特有の調湿効果やストレス低減効果(※3)など、良質な室内環境の形成にも寄与します。
当社は今後、柱耐火被覆工法をはじめとする木材利用による意匠性、環境負荷低減効果、室内環境改善効果などが付与された鉄骨構造に関連する製品・技術の研究開発を進め、木+鉄混合構造「アーキテツト®」シリーズのさらなる拡充を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
【図】柱耐火被覆工法の構成

(※1)・耐火構造とは火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために、建築物に必要とされる耐火性能を有する構造のこと。要求される耐火時間は建築物の部分・階数で異なり、柱に要求される耐火時間は下記の通り。
1時間:最上階および最上階から数えて、4以内の階。
1.5時間:最上階から数えて、5以上9以内の階。
2時間:最上階から数えて、10以上14以内の階。
・この柱耐火被覆工法の対象はJFEスチール製の冷間ロール成形角形鋼管(STKR、JFEコラムBCR)、JFEスチール製の鋼板による冷間プレス成形角形鋼管または溶接組立箱形断面で、下記サイズに該当する柱
1時間耐火:□250×250×9以上~□550×550×16以上
2時間耐火:□250×250×16以上~□550×550×22以上
建築構造用冷間ロール成形角形鋼管JFEコラムBCRの規格
種類の記号 | 認定番号 | 厚さ mm |
降伏点 N/mm2 |
引張強度 N/mm2 |
降伏比 % |
BCR295 JBCR®295 |
MSTL-0495 MSTL-0142 |
6以上12未満 | 295~ | 400~550 | - |
12以上 | 295~445 | 90以下 | |||
JBCR®385 | MSTL-0524 MSTL-0539 |
6以上12未満 | 385~ | 520~670 | - |
12以上 | 385~535 | 90以下 |
「BCR」は一般社団法人日本鉄鋼連盟の登録商標です。
(※2)耐火性が要求される鉄骨造建築の柱に火災時の温度上昇を抑制するためのもの。吹付けロックウールなどが施されることが一般的。
(※3)木材は湿気を吸収・放出するため、室内を快適な湿度に保つ調質機能があります。また、木材の香りには体をリラックスさせる、ストレスを軽減するなどの心理面での効果があると考えられています。
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