ニュースリリース
JFEスチール株式会社
高圧水素輸送用ラインパイプ材の研究開発について
~石油メジャーが参画する日本財団とDeepStarの
連携技術開発助成プログラムに採択~
石油メジャーなどが参画する「海洋石油・天然ガスに係る日本財団※1とDeepStar※2の連携技術開発助成プログラム※3」(以下、「本プロジェクト」)の水素関連技術開発において、当社製品の電縫鋼管(マイティーシーム®※4)を用いた、高圧水素輸送用ラインパイプ材の特性評価に関する研究開発が採択されました。本プロジェクトにおいて、DeepStarメンバーである石油メジャーのExxonMobil社(米国)、TotalEnergies社(仏国)と連携し、高圧水素輸送用の鋼管材料などの評価基準および方法を確立し、世界初の高圧水素輸送向けパイプラインの実用化を目指します。
水素は燃焼時にCO2を排出せず、2050年のカーボンニュートラルに向け、発電用燃料等での大規模利用が世界的に検討されています。水素受入基地から需要地への大量輸送の手段として、現在の天然ガスサプライチェーンと同様にパイプラインを利用することが考えられています。一方で、水素は鋼材を脆くする(延性を低下させる)性質があり、海外ではこの性質を踏まえ、安全基準や品質調査のための材料特性評価法の整備が進んでいます。今回の研究開発は、当社の千葉地区にあるスチール研究所で、高圧水素パイプラインに求められる必要特性についてECA技術※5などを用いた研究を実施すると共に、鋼管材料から切り出した材料試験片を用いて、高圧水素環境試験での性能評価を行います。石油メジャーのニーズを踏まえた技術開発を推進し、各社と共同で脱炭素化に貢献するべく、連携強化を図っていきます。
JFEグループはこれからも、水素社会の実現に資する研究開発を推進し、水素供給・活用の拡大を進めるお客様のニーズに応えていくことで、カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
注)
※1:国土交通大臣が指定する船舶等振興機関として、全国の地方自治体が主催するボートレースの収益金をもとに、海洋船舶関連事業の支援や公益・福祉事業、国際協力事業を主に行っている公益財団法人。
※2:海洋油田開発生産に関わるChevron(米国)、Shell(英国)、Equinor(ノルウェー)など、世界中の海洋石油・天然ガスの探査・開発・生産を担う企業や、これら企業に製品・サービスを提供する企業、大学、研究機関などから成る海洋技術開発のコンソーシアム。
※3:海洋石油・天然ガス分野における脱炭素化等推進に係る日本財団とDeepStarの連携技術開発助成プログラム。
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/information/2023/20230113-83742.html
※4:溶接部品質に優れたラインパイプ用電縫鋼管「マイティーシーム®」
https://www.jfe-steel.co.jp/products/koukan/mighty.php
※5:Engineering Critical Assessment:構造物に作用する力と材料試験から求めた材料靭性を比較し、力学的な観点で安全性を評価する技術。