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JFEスチール株式会社

令和5年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)を受賞
~超大型コンテナ船の建造を実現した極厚高強度鋼板の開発~

このたび当社は「超大型コンテナ船の建造を実現した極厚高強度鋼板の開発」の成果が認められ、令和5年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰(※1)科学技術賞(開発部門)を受賞しました。当社の同賞受賞は6年連続となります。

 

受賞案件:「超大型コンテナ船の建造を実現した極厚高強度鋼板の開発」

受賞者:

長谷 和邦 常務執行役員 スチール研究所副所長
植田 圭治 スチール研究所接合・強度研究部主任研究員
竹内 佳子 知的財産部主任部員
半田 恒久 JFEテクノリサーチ(株)構造材料ソリューション本部構造材料評価センター長
衞藤 太紀 西日本製鉄所鋼材商品技術部厚板室長

案件概要:

このたびの受賞案件は、超大型コンテナ船に適用可能な高強度極厚高アレスト鋼(※2)に関する技術です。コンテナ船は、コンテナを数多く積載するため、デッキ上部に大きな開口部を有する特徴的な構造の船です。海上を航行する際、船体に大きな波の荷重を受けるため、デッキ上部やハッチコーミングと呼ばれる船体側面には、極厚かつ高強度の鋼材を使用する必要があります。近年、輸送効率の向上を目的に、コンテナの積載量が20,000個を超える超大型コンテナ船が登場しており、それに合わせて鋼板は板厚が50mmから100mmまで拡大し、降伏強度で460MPa級までの高強度化が求められるようになりました。

一方、鋼材の板厚が厚くなるほど、脆性き裂の進展を停止するために必要なアレスト性能がより高くなります。国際船級協会連合(※3)は、急速に大型化する船体の安全性確保のため、2019年12月、構造上の安全確保とともに、ハッチサイドコーミングに使用される板厚80mm~100mmの鋼材において、アレスト靭性値(Kca)8,000N/mm3/2以上の性能を義務付けました。

これに対し当社は、加熱温度や圧延温度を精緻に制御するTMCP技術(※4)を活用し、鋼板の板厚中央部にき裂の伝播に抵抗する向きの結晶比率を高める独自の技術を確立し、世界最高厚となる100mmの極厚高強度鋼板においても、高アレスト性能の確保を可能にしました。これにより、超大型コンテナ船の実現に大きく寄与したことが評価され、今回の受賞に至りました。

なお、本技術は、平成24年度「溶接学会 溶接構造シンポジウム2011 シンポジウム論文賞」、平成27年度「中国地方発明表彰 岡山県知事賞」、平成29年度「日本金属学会 技術開発賞」、平成30年度「全国発明表彰 発明賞」、令和元年度「大河内記念賞」を受賞しています。

今後とも当社は、高機能・高品位な鋼材の供給を通じ、船舶のさらなる経済性、安全性と信頼性向上に努めるとともに、地球環境課題への対応など多様化するお客様のニーズに応え、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

(※1)科学技術分野の文部科学大臣表彰
科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的としています。

(※2)高アレスト鋼:溶接部に万が一発生した脆性き裂の伝播を止め、船体の損傷被害を最小限にとどめる性能に優れた鋼板。

(※3)国際船級協会連合:船舶の検査機関である船級協会の集まりで、1968年に創設された。日本海事協会を含む、世界の主要12船級協会で構成されている。

(※4)TMCP技術:Thermo-mechanical Control Process(熱加工制御)のこと。制御圧延、加速冷却を駆使して、オンライン製造で鋼材の強度や靭性を向上させる技術。

本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール(株)総務部広報室 TEL 03(3597)3166

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