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JFEスチール株式会社

橋梁の安全性向上に貢献する鋼構造物用の薄物耐疲労鋼を開発

当社は、このたび疲労損傷への耐久性を高めた薄物耐疲労鋼(商品名:『AFD®』鋼※1 以下、AFD鋼)を開発しました。AFD鋼の薄肉製造を実現したことで、疲労き裂の発生しやすい橋梁の薄肉部材向けなど、より広範囲の部位に適用可能となります。本鋼板は、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録(KT-220231-A)されています。

今回、2020年3月に稼働した東日本製鉄所(京浜地区)厚板工場の高度な冷却制御機能を特徴とする『Super-RQ』を活用し、従来の厚板と同等の機械的性質を維持しつつ、一般鋼と比べて疲労損傷への耐久性を高めた鋼板を最小板厚9mmまで商品化を実現しました。

なお、本鋼板は、橋梁に用いられる溶接構造用圧延鋼材(JIS G 3106 SM490)、橋梁用高降伏点鋼板(JIS G3140 SBHS500)の各規格を満たしています。

長期間にわたって使用される鋼構造物は、老朽化に伴うメンテナンスコストや更新コストの低減が求められています。特に橋梁は薄肉部材が多いことから、自動車等の交通荷重により疲労き裂が発生する場合があり、点検や補修までの期間において、き裂が進展するリスクがありました(図1)。今回、新しく薄物耐疲労鋼を開発したことで、これまで疲労き裂が問題となり易かった部材への適用が可能となるため、鋼構造物の耐久性向上を実現することができます。また、AFD鋼は一般鋼の上限値と比較して、疲労き裂伝播速度※2が1/2以下に抑制され、製品寿命についても、一般鋼に比べ約2倍に改善する結果が得られており(図2、3)、部材の長寿命化に伴うライフサイクルコスト低減にも貢献することができます。

当社は今後とも、橋梁・船舶・建設機械・産業機械等の鋼構造物のさらなる耐久性、安全性、経済性の向上に寄与する高機能・高品質な鋼材の開発・供給を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

※1 AFD:Anti-Fatigue-Damageの略。疲労損傷への耐久性を高めた鋼板。

※2 疲労き裂伝播速度:疲労損傷は、一回の大きな力ではなく、小さな力が繰り返し加わり続けることによって小さな割れ(き裂)が発生し、次第に大きくなって(伝搬)、最終的に破壊に至る現象のこと。き裂は繰返し回数ごとに少しずつ伝搬するため、1回あたりにき裂が伝播した長さを疲労き裂伝播速度という。鋼材の性質を改善して伝搬を遅らせることで、その後の破壊を未然に防止することができる。

 

【図1】薄物AFD鋼の好適用部位の例

【図1】薄物AFD鋼の好適用部位の例
 

【図2】一般鋼とAFD鋼の疲労き裂伝播寿命の分布

【図2】一般鋼とAFD鋼の疲労き裂伝播寿命の分布

※3 応力拡大係数ΔK:き裂先端付近の応力の分布を表しており、大きいほどき裂が進展しやすい。

 

【図3】一般鋼とAFD鋼の疲労き裂伝播寿命の試算

【図3】一般鋼とAFD鋼の疲労き裂伝播寿命の試算
本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール(株)総務部広報室 TEL 03(3597)3845

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