ニュースリリース
JFEスチール株式会社
土留め用鋼製壁体「Jドメール®」が技術審査証明を取得
~市街地における薄壁・省スペース施工を実現し道路・鉄道の拡充に貢献~
当社の土留め用鋼製壁体である「Jドメール®」の壁体としての構造性能やコンクリート床版接合部の構造性能を実証し、2022年9月12日付で一般財団法人 先端建設技術センターの技術審査証明(※1)を取得しました。本証明の取得により、Jドメール®の更なる適用拡大を図ってまいります。
市街地で道路や鉄道を拡充するためには、既存の構造物の機能を維持した状態で新たな地下空間を構築する必要があります。この場合、隣接する構造物により施工スペースおよび施工時間の制約を受けるケースも多いことから、狭い場所や高さ制限がある難しい条件下でも、短工期で構築できる工法が求められています。
Jドメール®は、コンパクトで剛性の高い土留め用鋼製壁体です(図1)。仮設の土留め壁を本設の地下壁に兼用することで、従来工法と比較し、難条件下での急速施工を実現します。当社における設計計算例では従来工法と比較し、仮設を含む全壁厚を65%低減するとともに、壁体構築の工期の16%短縮することを確認しました(図2)。
【Jドメール®の概要】
1.特徴
① 従来の直線形鋼矢板より14%軽量化した「新直線形鋼矢板Jフラットパイル®」(※2)とH形鋼を一体化した高剛性土留め用壁体です。
② 一枚あたりの寸法は、幅Bs=500mm、高さH=350~1000mmと、設計条件に合わせた豊富なラインナップにより道路・鉄道・河川分野などで幅広く採用されています(図3)。
2.メリット
① 高剛性による薄壁化により、省スペースで施工を実現
従来の鋼管矢板による地下壁やソイルセメント(※3)連続壁と比べて、同じ壁厚で剛性が高く、また本仮設兼用の壁体とすることで、鋼管矢板壁などの従来の壁体と比較して、300~500mm程度壁厚を薄くすることができます(図4)。そのため、限られた敷地内で地下空間を最大限に確保できます。
② 施工工程の削減
仮設の土留め壁と本設の地下壁を兼用とすることで、従来の工法と比較して掘削土量や壁体を構築する部材量を減らすことができます。また、掘削工程や切梁などの支保工(※4)の数量も削減できることから、工期全体の短縮にも貢献し、さらに部材量の低減および工期短縮による重機の稼働量の低減によりCO2削減にも貢献します。
③ 多様な施工方法に対応
都市部の狭い場所かつ高さ制限のある現場において活躍する圧入工法や、施工が容易で壁体の打設(※5)能率が高い振動工法(バイブロハンマ工法)、ソイルセメント中にJドメール®を沈設して土留め壁体とするソイルセメント壁沈設工法など施工方法を選択することが可能となるため、さまざまな設計条件や現場状況に対応することができます。
当社は、今後もお客様のご要望に幅広くお応えすべく、付加価値の高い土木建材商品・工法の開発に努めるとともに、カーボンニュートラル社会の実現に寄与するエコプロダクトの開発に注力し、社会全体のCO2排出量削減に寄与していくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
(※1)依頼者の申請に基づき、第三者機関において学識経験者などが新技術の技術内容を審査するもの。Jドメール®は、一般財団法人 先端建設技術センターの技術審査証明を取得した。
(※2)従来の直線形鋼矢板(FL)と同等の性能を持ちながら、継手部の形状を小型化することで14%の軽量化を図った当社独自の直線形鋼矢板。
(※3)原地盤にセメントミルクを注入・攪拌した後、締固めて硬化させたもの。
(※4)地盤の掘削に際して、部材により横からの荷重を支えることで、地山の崩壊や落盤を防止するための仮設構造物。
(※5)矢板等の部材を、頂部に振動を与えたり打撃力を与えたりすることで、土中に埋め込むこと。
【図1】Jドメール®の概要
【図2】Jドメール®と従来工法の比較例
【図3】Jドメール®の寸法範囲
【図4】各土留め壁体の壁厚と断面二次モーメントの関係
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