ニュースリリース
JFEスチール株式会社
令和4年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)を受賞
~電気機器の省エネに貢献する省資源型Si傾斜磁性材料の開発~
このたび当社は「電気機器の省エネに貢献する省資源型Si傾斜磁性材料の開発」の成果が認められ、令和4年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰(※1)科学技術賞(開発部門)を受賞しました。当社の同賞受賞は5年連続となります。
受賞案件 | : | 「電気機器の省エネに貢献する省資源型Si傾斜磁性材料の開発」 | |
受賞者 | : | 専務執行役員 スチール研究所 副所長 | 花澤 和浩 |
スチール研究所 電磁鋼板研究部長 | 尾田 善彦 | ||
スチール研究所 機能材料研究部 主任研究員 | 平谷 多津彦 | ||
スチール研究所 サイバーフィジカルシステム研究開発部 主任研究員 | 浪川 操 | ||
スチール研究所 電磁鋼板研究部 主任研究員 | 財前 善彰 |
案件概要:
電磁鋼板(※2)はモータや変圧器等の電気機器の鉄心材料として広く用いられており、電気機器の性能を左右するキーマテリアルです。近年、機器小型化の観点から駆動周波数の高周波化が進展しており、電磁鋼板には高周波域での鉄損(※3)の低い材料が求められるようになっています。高周波域での鉄損を低減するためには、電気抵抗増加元素である珪素(以下、Si)濃度アップが有効ですが、同時に飽和磁束密度の低下を招くという課題がありました。
当社は、この課題を克服するために、独自開発したCVD(化学気相蒸着)連続浸珪プロセス技術を用い、表層部のSi濃度分布を高く、板厚中心部のSi濃度を低くした板厚方向のSi濃度分布コントロールにより高周波鉄損を低減した『JNHF®』を開発しました。さらに、浸珪処理前の母材成分適正化に取り組み、浸珪処理中にSiの拡散速度が遅いオーステナイト相(γ相)となる成分とすることにより、鋼板の表層部にSiを局在化させた『JNSF®』を開発し、一層の高周波鉄損低減に成功しました。また、集合組織制御と板厚方向のSi分布制御により磁束密度を高めた『JNRF®』も開発しました。
開発鋼は、高周波鉄損が低くかつ飽和磁束密度が高いことから電気機器の高効率化、小型化に大きく貢献しており、太陽光発電用リアクトルや高速モータの鉄心材料として使用されています。
なお、開発技術は、平成26年度「日本金属学会表彰 技術開発賞」、平成28年度「中国地方発明表彰 文部科学大臣賞」、平成28年度「市村産業賞 貢献賞」、令和元年度「全国発明表彰 発明協会会長賞」、令和元年度「ものづくり日本大賞 内閣総理大臣賞」、令和2年度「世界鉄鋼協会Steelie Awards Innovation of the year 」を受賞しています。
当社は今後も高機能・高品位な電磁鋼板の開発を通じ、電気機器の高効率化、小型化に貢献するとともに、多様化するお客様のニーズにお応えできるよう最先端の技術革新、商品開発に注力してまいります。
※『JNHF®』、『JNSF®』、『JNRF®』はJFEスチール㈱の登録商標です。
(※1)科学技術分野の文部科学大臣表彰
科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的としています。
(※2)電磁鋼板
鉄にSiを添加した材料であり、モータ、変圧器等の鉄心材料として広く用いられており、絶縁被膜を表面に塗布した薄鋼板が積層されて使用される。別名、珪素鋼板。
(※3)鉄損
鉄心を交流で励磁した際に生じる損失。主に熱として失われる。鉄損が低いほど電気機器は高効率となる。
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