ニュースリリース
JFEスチール株式会社
建築構造用高強度厚鋼板「HBL®385B-L」の製造拠点拡大
当社はこのたび、建築構造用550N/mm2級TMCP鋼『HBL®385B-L』(*1,3)の製造拠点を西日本製鉄所(福山地区)に拡大し、国土交通大臣認定(*2)を取得しました。「HBL®385B-L」は最適な化学成分と熱加工制御の組合せによって従来の「HBL®385B,C」と同じ性能(降伏比80%以下、降伏耐力385N/mm2以上、引張強度550N/mm2以上)を実現した薄肉(厚さ12~19mm)の板厚の鋼材です。
建築構造用550N/mm2級TMCP鋼シリーズ「HBL®385」は、2002年に当社が業界に先駆けて大臣認定を取得しており、板厚範囲は12mm以上100mm以下です。鉄骨重量や鉄骨コスト軽減を図る目的で、主に超高層の大型建築物等に使用されており、優れた耐震性と溶接性を有した高強度厚鋼板として幅広く普及していることが評価され、2010年度第42回市村産業賞貢献賞を受賞しています。
「HBL®385」はS造(鉄骨造)の梁に使用される溶接組立H形鋼のウェブ(*4)にも使用されていますが、近年では経済的な観点から、建築物の軽量化のために板厚をより薄肉化するニーズが高まっております。この需要に応えるため、当社は2010年に東日本製鉄所(京浜地区)にて「HBL®385B-L」を商品化しましたが、更なる需要拡大を踏まえ、2021年6月に製造拠点を西日本製鉄所(福山地区)にも拡大し、2拠点での製造を可能としました。
西日本製鉄所(福山地区)でも「HBL®385B-L」の製造が可能になったことで、従来以上の安定供給が可能になり、お客様のニーズに柔軟に応えられるようになりました。既に設計事務所やゼネコンなどのお客様からは様々な物件で本認定材の採用を検討いただいており、当社は今後「HBL®385」の更なる拡販を図ってまいります。
当社はこれからも、革新的な生産技術、およびS造建築物の軽量化と施工性向上の両立に資する高性能な建材商品の開発を通じて、今後も増加が見込まれる高強度建築構造用鋼材の需要に応えていくとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
【写真1 溶接組立H形鋼のサブマージアーク溶接】
写真提供:株式会社 桂スチール(2021年7月撮影)
(*1)TMCP鋼
Thermo-Mechanical Control Process(熱加工制御)を施した鋼板で、鋼の強度、靱性の向上を狙いとして開発された。
「HBL®385」は優れた溶接性と高強度化の両立を可能にした高付加価値TMCP鋼材。鋼材強度あたりの経済性が最も優れており、従来同用途で主に使用されていた490N/mm2TMCP鋼の「HBL®325」と比較した場合、高強度化のメリットにより鋼材の厚さを約15%低減することが可能。
「HBL®385B-L」は最適な化学成分と熱加工制御の組合せによって従来の「HBL®385B,C」と同じ性能(降伏比80%以下、降伏耐力385N/mm2以上、引張強度550N/mm2以上)を実現した薄肉(厚さ下限19mm→12mm)の板厚の鋼材である。
(*2)国土交通大臣認定
建築基準法第37条に基づく国土交通大臣認定。建築基準法で指定されたJIS材と異なる鋼種(高強度鋼等)の使用については、大臣認定の取得が必要となる。
(*3)「HBL®385」の規格、機械的性質
■製造範囲
種類の記号 | 適用厚さ |
HBL385B-L | 12~19mm |
HBL385B HBL385C |
19~100mm |
■機械的性質
種類の記号 | 降伏点 N/mm2 |
引張強さ N/mm2 |
降伏比 % |
HBL385B-L | 385~505 | 550~670 | 80以下 |
HBL385B | |||
HBL385C |
■化学成分
種類の記号 | 化学成分 % | ||||
C | Si | Mn | P | S | |
HBL385B-L | 0.20以下 | 0.55以下 | 1.60以下 | 0.030以下 | 0.015以下 |
HBL385B | |||||
HBL385C | 0.020以下 | 0.008以下 |
(*4)溶接組立H形鋼のウェブ