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ニュースリリース

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JFEスチール株式会社
国立大学法人広島大学

JFEスチール・広島大学
「SDGs推進に向けた鉄鋼スラグの海陸での活用と社会実装」
—JFEスチール・広島大学の共同研究講座の拡充について—

このたび、JFEスチール株式会社(以下、JFEスチール)と国立大学法人広島大学(以下、広島大学)は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成と社会貢献を目的として、「共同研究講座(第2期)」*1を開設しました。この共同研究において、循環資源である鉄鋼スラグの有効利用技術の実用化を加速し、社会実装の早期実現を目指します。

 

1. 共同研究講座の経緯と概要

JFEスチールと広島大学は、2011年9月に包括協定を締結し、鉄鋼副産物である鉄鋼スラグの海域環境改善資材としての研究開発を共同で進めてきました。鉄鋼スラグ製品「マリンストーン®」による海の底質改善などを確認し、共同で表彰されるなど、高い評価を受けてきました。*2, 3

更に、2018年4月からは、「共同研究講座(第1期)」を設置し、新たに陸域での肥料分野へも研究範囲を拡げ、両分野での鉄鋼スラグ資材の有用性について開発と検証を進めてまいりました。第1期の成果を踏まえ、今年度より「共同研究講座(第2期)」を以下の2分野で推進します。

① Green Field Project(陸域分野)
鉄鋼スラグに含まれるリンやケイ素などの有用元素を作物生産に活用するための鉄鋼スラグ肥料化の技術開発に関する事項

② Marine Forest Project(海域分野)
鉄鋼スラグ資材を基盤材として、高い生態系サービス(人々にとって有益な生態系の機能)が期待できる大型海藻による海中林を形成させるための技術開発に関する事項

 

2. 共同研究講座の取り組み

① Green Field Project(陸域分野)

作物を持続的に生産するためには窒素、カリウムと並んで肥料三要素であるリンは極めて重要です。しかし、リン酸質肥料の原料であるリン鉱石の枯渇が懸念されることから、安定供給に向けた技術開発が必要とされています。

鉄鋼スラグはリンを含有し、リンを濃縮することにより直接肥料化して活用することが期待されます。また、鉄鋼スラグ中にはケイ素など作物に有用な元素が多く含まれるため、これらの肥料としての効果も期待できます。

第1期では、JFEスチールが開発中のリン濃縮スラグ*4の肥料としての特性を調べました。有効に吸収できる作物種や土壌条件の検討などを進めた結果、植物がリン濃縮スラグ中のリン酸を吸収でき、生育向上の効果があることが明らかになりました(写真1)。第2期ではさらなる吸収効率化の検討を進める計画です。

また、JFEスチールの新製錬プロセス「DRP®*5によるスラグでは、ケイ素を多く必要とするイネ科作物においてケイ素の施用効果だけではなく、土壌pH改良効果が確認されました。第2期では実用化試験に着手し、肥料としての商品化を目指す予定です。

 

写真1 ポット栽培を行ったイネの生育の様子

写真1 ポット栽培を行ったイネの生育の様子

 

② Marine Forest Project(海域分野)

沿岸域の開発によって干潟・藻場を中心として多くの浅場が失われてきました。特に藻場は多様な生物の生息場となり魚類の産卵や仔稚魚が生育する再生産場でもあります。また、森林と同様に海藻などによるブルーカーボン(二酸化炭素の固定)が期待されます。

第1期では、塊状のスラグ資材(以下、スラグ資材)の生物付着基盤と水質浄化機能を調べました。瀬戸内海沿岸の海底に敷設したスラグ資材上には大型褐藻や小型海藻が着底・繁殖(写真2、写真3)し、海藻類の付着基盤となり得ることが確認されました。

スラグ資材には多くの動物の生息も確認され、とくにフジツボの高密度な付着が確認できました(写真4)。フジツボは、海水中に浮遊する有機物を含む懸濁物をろ過する働きを持っており、これらの除去による水質浄化効果が期待されます。さらに海中に溶けている有機物(溶存有機物)の浄化について、その主役となる生物膜(微生物で構成される層状の膜)による分解能力を評価し、天然石よりも高いことが確認されました。スラグ資材では天然石とは異なる種類の微生物で構成されていることに起因すると推定されました。

第2期では、スラグを基盤材として、高い生態系サービス(人々にとって有益な生態系の機能)が期待できる海中林を形成させるための技術開発を行います。スラグのアルカリ成分による二酸化炭素固定と海洋酸性化防止機能、および海藻などによるブルーカーボンおよび生物生産性向上に着目した研究を行います。

 

〇大型褐藻類

〇大型褐藻類

 

〇小型海藻類

〇小型海藻類

写真2 瀬戸内海沿岸域に設置したスラグ資材に着底・繁殖した海藻類

写真2 瀬戸内海沿岸域に設置したスラグ資材に着底・繁殖した海藻類

 

【関連URL、引用文献】

*1 広島大学の共同研究講座とは:広島大学が企業などと共同で学内に研究講座を設置する制度。
https://www.hiroshima-u.ac.jp/iagcc/kouza/collaborativeresearchlaboratory

*2 「第12回エコプロダクツ大賞」の農林水産大臣賞(大賞)を受賞
https://www.jfe-steel.co.jp/release/2015/12/151210_2.html

*3 「2016年(第26回)日経地球環境技術賞」の「優秀賞」を受賞
https://www.jfe-steel.co.jp/release/2016/11/161114_1.html

*4 「CaO-FeOx-P2O5系酸化物のリン濃化、分離」、日本鉄鋼協会第179回春季講演大会(2020年3月)

*5 「トピード・転炉型溶銑脱りん能力向上」、JFE技報(2016年8月)
https://www.jfe-steel.co.jp/research/giho/038/pdf/038-03.pdf

 
本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール(株)総務部広報室 TEL 03(3597)3845
広島大学産学連携推進部 産学連携部門 TEL 082(424)4482

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