ニュースリリース
JFEスチール株式会社
厚板自走式超音波探傷ロボットを世界初開発
~厚板オフライン超音波検査工程自動化による検査信頼性と作業効率の向上を
実現~
当社はこのたび、厚板自走式超音波探傷ロボット(以下、本ロボット)を世界で初めて開発しました。本ロボットを厚板オフライン探傷プロセスに導入し、手動探傷作業を自動化することで、検査信頼性と作業効率のさらなる向上を実現しました。
鉄鋼製品の品質向上は重要な課題であり、欠陥の無い製品をお客様に提供するため、当社は様々な検査装置の開発・導入に取り組んできました。厚板内部の超音波探傷検査には、従来からオンライン自動探傷が適用されてきました。一方で、板厚等の制約から、熟練者によるオフライン手動探傷も一部で適用されてきましたが、人手では、鋼板上で検査機器を動かす精度、検査結果を記録する正確性、および作業能率などに限界があるため、検査信頼性と作業効率のさらなる向上が課題となっていました。
そこで当社は、自走式ロボットと超音波探傷器を組み合わせた本ロボットを独自に開発しました。本ロボットには、屋内型の高精度自己位置認識システムが採用されており、厚板上においてロボットが、移動するべき目標位置と自己位置の差分を認識することで、目標ルート上を自動で移動しながら超音波探傷することができます。探傷動作から合否判定に至るプロセスを自動化することができるため、検査信頼性をオンライン自動探傷検査と同等まで向上させるだけでなく、作業を自動化・効率化することが可能となりました(図1)。また、検査結果はデジタルデータで自動保存されるため、トレーサビリティの向上、および品質トレンド管理の簡易化にも寄与しています。さらに、ロボット本体を1人で持ち上げ運搬可能なレベルまで小型・軽量化するなど、ユーザビリティも大幅に向上させています(図2)。
既に東日本製鉄所(京浜地区)の厚板工場に3台導入を完了しており、運用を開始しています。今後は、西日本製鉄所(倉敷地区・福山地区)の厚板工場への展開を進めることで、作業の効率化を図りながら、厚板品質のさらなる向上に努めていきます。
当社は、「JFE Digital Transformation Center」(『JDXC™』)を開設し、製造プロセスのCPS(サイバーフィジカルシステム)化を進めるなど、DX(デジタルトランスフォーメーション、以下DX)を積極的に推進することで、革新的な生産性向上および安定操業の実現を目指しています。今後とも、製造現場におけるあらゆる分野の課題を、DXを通じて解決していくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
【図1】 従来技術と開発技術の比較
【図2】 厚板自走式超音波探傷ロボット (後ろは手動探傷)