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ニュースリリース


JFEスチール株式会社
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

フェロコークス製造のための中規模設備の実証試験を開始
~製銑プロセスのCO2排出量とエネルギー消費量約10%削減技術の確立を目指す~

JFEスチール株式会社(以下、JFEスチール)と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)は、株式会社神戸製鋼所(以下、神戸製鋼所)、日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)と共同で実施中の「環境調和型プロセス技術の開発/フェロコークス技術の開発」において、JFEスチール西日本製鉄所(福山地区)に建設していた日産300トンの中規模フェロコークス製造設備を完成させ、10月9日より実証試験を開始しました。

本設備によるフェロコークスの製造技術開発により、2023年頃までに、製銑プロセスにおけるCO2排出量とエネルギー消費量を約10%削減する技術の確立を目指します。

 
図1 フェロコークス製造設備外観

図1 フェロコークス製造設備外観

図2 管制室

図2 管制室

 

図3 成型物コンベア

図3 成型物コンベア

 

1.概要

日本の鉄鋼業は、従来から省エネ技術開発による製鉄プロセスの高効率化・脱炭素化に積極的に取り組み、世界最高レベルのエネルギー効率を誇る製鉄プロセス技術を確立していますが、気候変動の影響が国内外で顕在化する中、さらなる省エネルギーとCO2排出量の削減を求められています。

こうした背景から、JFEスチールとNEDOは、神戸製鋼所、日本製鉄と共同で2017年度に「環境調和型プロセス技術の開発/フェロコークス技術の開発」プロジェクト(※1)を開始し、さらなる省エネルギーとCO2排出量の削減を実現するため、革新的な製鉄プロセス技術の開発を推進しています。

フェロコークス(※2)は、製鉄プロセスの一部である製銑プロセスにおいて、低品位の石炭と低品位の鉄鉱石から製造される革新的な高炉原料です。フェロコークス中に約30%含まれる金属鉄の触媒作用を活用し、高炉内の還元効率を飛躍的に高めることで、高炉内に投入するコークス量の削減を通じて、製銑プロセスのCO2発生量を大幅に削減することができる省エネルギー技術です。

このたび、本事業において、JFEスチールは、西日本製鉄所(福山地区)に建設していた日産300トンの中規模フェロコークス製造設備を完成させ、10月9日より実証試験を開始しました。

本設備は、商用化した際の想定規模である日産1,500トンの5分の1の規模であり、商用化の前段階の実証設備となります。設備は粉砕・乾燥設備、混練・成型設備、乾留設備より構成されます。粉砕された低品位石炭、低品位鉄鉱石、バインダーを練り合わせ、成型します。その後乾留し、金属鉄を含有するフェロコークスとします。

 

図4 フェロコークス製造プロセスフロー

図4 フェロコークス製造プロセスフロー

 

2.今後の予定

2022年度まで、本設備でフェロコークスの製造を行い、実高炉へ長期的に連続装入することで、高炉の還元材比(※3)や操業安定性に及ぼす影響を評価します。本設備での実証研究を経て、高炉使用時のCO2排出量の大幅削減、省エネルギー、および低品位の石炭・鉄鉱石使用による資源対応力強化を目的としたフェロコークス製造技術を開発し、2023年頃までに製銑プロセスにおけるエネルギー消費量とCO2排出量を約10%削減する技術の確立を目指します。

JFEスチールおよびNEDOは、省エネルギー技術開発による製鉄プロセスの高効率化および脱炭素化に積極的に取り組み、革新的な製鉄プロセス技術の開発をさらに推進していくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

(※1)環境調和型プロセス技術の開発/フェロコークス技術の開発プロジェクト
技術開発費総額:201億円(予定)(NEDO助成額+実施者負担分)・助成率1/2
期間:2017~2022年度
助成先:JFEスチール、神戸製鋼所、日本製鉄
共同研究先:国立大学法人東北大学、国立大学法人九州大学

 

(※2)フェロコークス
フェロコークスとは、高炉内で起こっている鉄鉱石還元反応の効率自体を改善し、CO2の発生量を大幅に削減する革新的な高炉用原料です。石炭と鉄鉱石を事前に粉砕・混合・成型し、連続式の乾留炉で加熱することで、内部の鉄鉱石を金属鉄に、石炭をコークスにした複合塊成物です。フェロコークスを使用することにより、従来に比べて、低品位の石炭や鉄鉱石の使用割合を大幅に増加できます。
高炉では、通常のコークスの一部をフェロコークスで置き換えて使用します。操業中の高炉内では、一酸化炭素(CO)による鉄鉱石(焼結鉱)の還元反応の進行により、CO2が発生しています。フェロコークス内部に含まれている超微粒の金属鉄は、CO2がコークス(C)と反応し、還元ガス(CO)を再生成する反応(C+CO2=2CO)の触媒となり、反応速度を大幅に向上させます。その結果、CO濃度が上昇、鉄鉱石(焼結鉱)の還元反応が低温度でも進行するようになり、還元材比の大幅な低減が期待でき、省エネルギーやCO2排出量削減に寄与します。

 

(※3)還元材比
高炉での還元材の使用原単位を表す指標として「還元材比」(RAR)が用いられていますが、還元材比は還元材の種類にかかわらず、溶銑1トンあたりの還元材(コークス、粉炭(PC)など)の重量合計で表されています。還元材は種類によって成分が異なり、重量には還元に寄与しない灰分も含まれています。

 

図5 フェロコークス写真

図5 フェロコークス写真

 

図6 フェロコークス模式図

図6 フェロコークス模式図

 

図7 フェロコークス使用による省エネルギー、CO2排出量削減のメカニズム

図7 フェロコークス使用による省エネルギー、CO2排出量削減のメカニズム

 

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 省エネルギー部 担当: 田村、武田 TEL:044-520-5281
JFEスチール 総務部広報室 TEL:03-3597-3166

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:坂本、鈴木(美) TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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