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ニュースリリース


JFEスチール株式会社

製鉄所における燃料・電力運用ガイダンスシステムの導入について
~サイバーフィジカルシステムに基づく運用最適化による省エネルギー実現~

当社は、国内の製鉄所の燃料・電力運用における省エネルギー・CO2削減、コスト最小化を目的に、オペレータによる運用を支援するガイダンスシステムを開発、運用を開始しました。

当社が活用を推進しているサイバーフィジカルシステム(以下、CPS)(※)の概念を体現したシステムであり、これまでに西日本製鉄所(倉敷地区、福山地区)に導入し、その活用による運用効果を確認しています。今後は、他事業所への導入を進め、さらなる省エネルギー・CO2削減を実現していきます。

製鉄プロセスにおいては多くのエネルギーを必要とすることから、省エネルギー・CO2削減やコスト競争力向上の観点から、使用する燃料・電力の運用を最適化することが重要な課題となっています。製鉄所では高炉、コークス炉、転炉といった上工程で発生する副生ガス、並びに発電設備等のエネルギー変換設備や廃熱回収で得られる電力および蒸気が、所内の工場で有効利用されています。そして、所内の燃料、電力需要に対する供給不足分は、外部からの購入で補っています(図1)。燃料・電力の運用にあたっては、オペレータが需給状況、発電設備の稼働状況、電力会社やガス会社との契約情報などのデータに基づき、コストやエネルギー損失が極力少なくなるように、各プロセスへの副生ガス配分、電力購入量、燃料(重油、都市ガスなど)購入量、副生ガス貯蔵量などの様々な要素を決定することが求められます。

今回開発したガイダンスシステム(図2)ではCPSの概念に基づき、リアルタイムに得られる膨大な測定データ(①)および各工場の詳細な生産計画を使用し、予測対象の物理的現象をモデル化して需給予測計算を行うことにより、現時点から将来にわたる需給状況を高精度に予測します(②)。そして、各種の製鉄所内発電設備等の操業制約、特性、契約情報を考慮した上で(③)、外部からの購入量が最小となる最適な運用条件を燃料・電力シミュレーションで求め(④)、その結果をオペレータにガイダンスするものです(⑤)。

これまでは、現在時点のガス需給状況と日毎生産計画を前提に運用していましたが、本システムの導入により、リアルタイムの測定データと生産計画を用いて高精度な燃料・電力需給予測に基づいた副生ガス貯蔵、払出の適切な需給調整が可能となり、都市ガス、電力の購入量の最適化が可能です。従来のオペレータの経験や能力に基づく運用に対して、さらに効率的な運用ができるようになり、省エネルギー・CO2削減、燃料・電力コストの低減を実現しました。

当社は、鉄鋼業におけるグローバルな競争に勝ち抜いていくため、最新のデータサイエンスの活用は不可欠と考えています。第6次中期経営計画においても、重点施策の1つとして先進IT技術の活用を掲げ、2017年10月に立ち上げたデータサイエンスプロジェクト部や、2019年4月に新設したサイバーフィジカルシステム研究開発部を核として、経営主導による統合的・系統的な取り組みを進めています。今後もCPSに基づく開発を積極的に推進していくことで、さらなる省エネルギー・CO2削減や、コスト競争力向上に取り組んで参ります。

※サイバーフィジカルシステム(CPS)
フィジカル空間の莫大なセンサー情報(ビッグデータ)をサイバー空間に集約し、これを各種手法で解析した結果をフィジカル空間にリアルタイムにフィードバックすることで価値を創出するシステム。

 

【図1】製鉄所のエネルギーフロー

【図1】製鉄所のエネルギーフロー

 

【図2】ガイダンスシステムの概要

【図2】ガイダンスシステムの概要

本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール(株) 総務部広報室 TEL 03 (3597) 3166

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