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JFEスチール株式会社

全国発明表彰を5年連続で受賞~コンテナ船用「高アレスト鋼」~

この度、当社の開発したコンテナ船用「高アレスト鋼(※1)」が、平成30年度全国発明表彰(※2) 発明賞を受賞しました。 当社の全国発明表彰受賞は5 年連続で、JFEスチール発足以来9 回目となります。表彰式は6 月12 日(火)にホテルオークラ東京(東京・港区)にて行われます。

 

1.受賞件名:
「脆性き裂伝播抵抗に優れる造船用厚鋼板の発明」

 

2.受賞者:

竹内 佳子 スチール研究所 鋼材研究部 主任研究員
長谷 和邦 技術企画部 企画グループリーダー(理事)
三田尾 眞司 株式会社豊田中央研究所 安全・調達・インフラ部 部長
村上 善明 スチール研究所 接合・強度研究部 部長
 

3.発明の概要:
コンテナ船は、コンテナを数多く積載するため、船体上部に大きな開口部を有する特徴的な構造をしています。海上を航行する際、船体に大きな波の荷重を受けるため、船側上弦部には、肉厚かつ高強度の鋼板を使用する必要があります。一方で、鋼板は板厚が大きくなるほど、また強度が高くなるほど脆くなる傾向があります。そのため、国際船級協会連合(※3)の統一規則において、2014年1月1日以降、新規に建造契約を締結するコンテナ船に対し、上部構造への高アレスト鋼の適用を義務付けられました。 一般的に、鋼板のアレスト性能を向上するためには、圧延による組織中の結晶粒の微細化が有効とされています。しかし、板厚が大きくなると十分に組織を微細化することが出来ず、アレスト性能の向上は困難になります。そのために当社は、結晶粒の微細化に加え、加熱温度や圧延温度を精緻に制御するTMCP技術(※4)を活用し、鋼板の板厚中央部にき裂の伝播に抵抗する向きの結晶比率を高める独自の技術を確立しました。この技術の適用により、極厚・高強度の鋼材においても高いアレスト性を確保することが可能となりました。

本開発鋼は世界各国の船級協会の承認を取得しており、世界中で建造されている大型コンテナ船の建造プロジェクトで採用されています。

なお、本開発鋼は、平成27年度「中国地方発明表彰 岡山県知事賞」、平成29年度「日本金属学会表彰 技術開発賞」を受賞しております。

今後とも当社は、高機能・高品位な鋼材の供給を通じ、船舶のさらなる経済性、安全性と信頼性向上に努めるとともに、地球環境の保全に貢献するなど、多様化するお客様のニーズに応えてまいります。

 

(※1)高アレスト鋼:
溶接部に発生した疲労き裂が伝播を止め、船体の損傷被害を最小限にとどめる性能に優れた鋼板。

(※2)全国発明表彰:
公益社団法人発明協会(会長:野間口 有)が主催。我が国の科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に、独創性に富む優れた発明を完成した者、発明の実施化及び指導、奨励、育成に貢献した者を表彰。

(※3)国際船級協会連合:
船舶の検査機関である船級協会の集まりで、1968年に創設された。日本海事協会を含む、世界の主要12船級協会で構成されている。 

(※4)TMCP技術:
Thermo-mechanical Control Process(熱加工制御)のこと。制御圧延、加速冷却を駆使して、オンライン製造で鋼材の強度や靭性を向上させる技術。

 
本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール(株)総務部広報室 TEL 03(3597)3166

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