ニュースリリース
JFEスチール株式会社
「表面処理鋼板の非接触通板制御装置」が
第14回新機械振興賞 機械振興協会会長賞を受賞
このたび当社が開発した「表面処理鋼板の非接触通板制御装置」が、一般財団法人機械振興協会(会長:庄山 悦彦)から第14回新機械振興賞会長賞を受賞し、2月21日に新機械振興会館(東京都港区)において表彰式が執り行われました。 新機械振興賞は、我が国機械工業における技術開発の一層の促進を図るため、優秀な研究開発およびその成果の実用化によって、機械工業技術の進歩・発展に著しく寄与したと認められる企業・大学・研究機関および研究開発担当者に対して毎年与えられるものです。当社の新機械振興賞の受賞は4年連続6回目となります。
1.受賞技術名
「表面処理鋼板の非接触通板制御装置」
2.受賞者
西名 慶晃 | スチール研究所 機械研究部 | 主任研究員 |
石田 匡平 | スチール研究所 機械研究部 | 主任研究員 |
石垣 雄亮 | スチール研究所 機械研究部 | 主任研究員 |
永井 肇 | 東日本製鉄所(千葉地区) | 商品技術部 部長 |
小澤 悠一 | 西日本製鉄所(倉敷地区) | 薄板商品技術部 自動車室 主任部員 |
3.開発の概要
連続溶融亜鉛めっき鋼板製造ラインでは、高温で溶融した亜鉛のポットに連続的に鋼板を浸漬して引き上げ、過剰に付着した亜鉛をワイピングノズルによって掻き落として目標のめっき付着量に制御しています。めっき付着量の均一化のためには、ワイピングノズルと鋼板の間隔を一定に保つことが重要であるため、ノズル上方に設置した電磁石(非接触式)及びサポートロール(接触式)により、鋼板の反り形状矯正と、振動防止を行っています。但し、この時点で鋼板表面の亜鉛は半溶融状態であるため、サポートロールと接触する際に発生した亜鉛粉が鋼板に付着し、表面欠陥の原因となっていました。
この問題を解決するためには、サポートロールを使用せずに非接触での通板制御が必要となりますが、従来の電磁石では制御能力が不足していました。そこで当社は、巻数の多いコイルと巻数の少ないコイルの2系統で形成する、世界初となる「デュアルコイル電磁石」を開発しました。コイルを2系統とすることにより、鋼板の反り形状を矯正するために一定の吸引力を発生させる機能と、鋼板の振動にあわせて電流を制御する機能が分離されました。これにより電磁石に要求される吸引力と応答性の両立を実現し、サポートロールを用いない非接触での通板制御が可能となりました。反り制御用の回路にコイルを直列に接続した相互誘導防止回路を設置することで、コイル間で生じる誘導電流の影響で制御性が低下する問題を解決しました(下図参照)。
今回開発した、デュアルコイル電磁石を用いた表面処理鋼板の非接触通板制御装置は、既に当社の国内外の製造ラインに設置されており、鋼板の品質向上に大きく貢献しています。
当社は今後とも、積極的な技術開発と設備投資を積み重ね、高品質な溶融亜鉛めっき鋼板の安定供給を可能とする製造プロセスの確立に努めてまいります。
【図】表面処理鋼板の非接触通板制御装置
【図】デュアルコイル電磁石の構成
(a)断面図 | (b)鳥瞰図 |
【表彰式写真】
(左から)石田 主任研究員、西名 主任研究員、曽谷スチール研究所長、石垣主任研究員、小澤 主任部員、永井 部長