ニュースリリース
JFEスチール株式会社
建築構造用高性能590N/mm2級TMCP鋼材『HBL®440』の
製造板厚範囲を拡大、国土交通大臣認定取得
当社は、TMCP(*1)技術を活用した、建築構造用高性能590N/mm2級TMCP鋼材『HBL®440』(表1参照)の製造板厚範囲を100mmまで拡大し国土交通大臣の認定(*2)を取得しました。
高層建築物などに広く使用されている建築構造用高性能590N/mm2級鋼材である「SA440」は、高強度と低降伏比を両立させるために従来は多段熱処理工程が必要でした。『HBL®440』は、当社のナンバーワン先端技術であるオンライン加速冷却装置『Super-OLAC®』(*3)を活用することで、多段熱処理工程を省略し納期短縮を実現した商品です。(図1参照) 2012年5月に先行して板厚19~50mmの商品化をしていましたが、今回50~100mmまでの極厚領域の開発を完了し、4面ボックス柱を含む、建築鉄骨のあらゆる部材への対応が可能となりました。
さらに『HBL®440』は、TMCP技術の適用により溶接割れ感受性組成(*4)を低く抑えることで(表1参照)、従来の「SA440」に比較して、予熱条件が緩和されるなど、溶接施工性が向上しています。また、『HBL®440』には、4面ボックス柱の製作に適用される大入熱溶接の継手部品質に優れた鋼材も揃えています。
当社は、今後高層ビルや大規模建築物等への『HBL®440』の採用を目指してまいります。今後ともお客様のご要望に幅広くお応えすべく、付加価値の高い建築建材商品の開発に努めてまいります。
(*1) | TMCP | : | Thermo-Mechanical Control Process(熱加工制御)。 制御圧延、加速冷却を駆使してオンライン製造で鋼材の強度や靱性を向上させる技術。 |
(*2) | 国土交通大臣認定 | : | 建築基準法第37条に基づく国土交通大臣認定。 建築基準法で指定されているJIS材以外の鋼材の使用には国土交通大臣認定取得が必要。 |
(*3) | OLAC® | : | On-Line Accelerated Cooling の略 高冷却速度、高精度冷却機能を有するオンライン加速冷却設備。JFEスチールのナンバーワン先端技術。 |
(*4) | 溶接割れ感受性組成(PCM) | : | 溶接時の低温割れに対する感度の指標で鋼の化学成分を元に計算される。 PCMが高いほど低温割れに対する感度が高くなる傾向がある。 |
【図1】『HBL®440』と従来の「SA440」の製造プロセス
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(a) 従来「SA440」:多段熱処理 | (b)『HBL®440』:TMCP |
【表1】HBL®440(HITEN-BuiLdingの略)の規格概要
化学成分
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 |
機械的特性
種類の記号 | 引張試験 | シャルピー衝撃試験 | ||||||
試験片 | 板厚 t (mm) |
降伏点 又は0.2%耐力 (N/mm2) |
引張強さ (N/mm2) |
降伏比 (%) |
伸び (%) |
試験 温度 (℃) |
吸収 エネルギー (J) |
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HBL440B HBL440C |
1A号 | 19≦t≦32 | 440以上 540以下 |
590以上 740以下 |
80 以下 |
15以上 | 0 | 70以上 |
32<t≦40 | 16以上 | |||||||
4号 | 20<t≦100 | 20以上 | ||||||
SA440B SA440C |
5号 | 19≦t≦50 | 440以上 540以下 |
590以上 740以下 |
80 以下 |
26以上 | 0 | 47以上 |
4号 | 40<t≦100 | 20以上 |