ニュースリリース
JFEスチール株式会社
国内最厚の建築構造用ロール成形角形鋼管を商品化
~板厚25mmの冷間ロール成形角形鋼管『JBCR295』が大臣認定および設計法の評定取得~
当社はこのたび、国内最厚となる板厚25mmの建築構造用冷間ロール成形角形鋼管(ロールコラム)『JBCR295』を開発し、国土交通大臣の認定(*1)を取得しました。また、設計上の利便性を高めるため、一般的なロールコラムである「BCR295」(*2)と同様の設計指標の適用を認める一般財団法人日本建築センターの設計法の評定(*3)を取得しました。
これにより、当社は建築構造用ロールコラムの標準供給サイズを、従来の「BCR295」(製造可能板厚6~22mm)と併せて、全38サイズへと拡充(表1参照)しました。
ロールコラムとして広く普及している「BCR295」に対しては、設計上の自由度を高めるため、より大きい断面サイズへの要請がありました。今回開発した『JBCR295』では、最大板厚を25mmへと厚肉化するとともに、「BCR295」と同等の品質特性を有する鋼材(表2~5参照)です。最適な化学成分と製造方法により、厚肉サイズでありながら強度と靭性の両立を実現し、高い設計基準強度や溶接施工の広い適用性など、「BCR295」の利便性や特長を維持しています。
『JBCR295』の活用により、主要な用途である事務所、倉庫等の中低層建築分野(図2参照)において、大スパン化や高層化など、ロールコラムで設計可能な建物規模が拡大できます。
当社は今後、鉄骨造建築物への『JBCR295』の採用拡大を目指してまいります。また、今後ともお客様のご要望に幅広くお応えすべく、付加価値の高い建築建材商品の開発に努めてまいります。
(*1) | 国土交通大臣認定 |
建築基準法に基づく国土交通大臣認定。建築基準法第37条で指定された材料と異なる材料の使用については、大臣認定の取得が必要となる。今回の認定番号は「MSTL-0401」。 | |
(*2) | 「BCR」は一般社団法人日本鉄鋼連盟の登録商標です。 |
(*3) | 一般財団法人日本建築センターの設計法の評定 |
建築基準法令その他の技術基準等に照らして、第三者の立場から建築物の構法、材料、部品、設備等を評価するもの。設計・施工段階で製品選定時の目安として用いられる。今回の評定番号は「BCJ評定-ST0216」。 |
【表1】「BCR295」・『JBCR295』の製造サイズ表(全38サイズ)
辺長 (mm) |
板厚(mm) | ||||||
6 | 9 | 12 | 16 | 19 | 22 | 25 | |
200 | ○ | ○ | ○ |
|
|
|
|
250 | ○ | ○ | ○ | ○ |
|
|
|
300 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
350 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
400 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | |
450 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | |
500 | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ||
550 | ○ | ○ | ○ | ◎ |
○:BCR295、◎:JBCR295(今回追加サイズ) | |
※ | 小径サイズ(辺長150mm、175mm)はJFE鋼管株式会社より供給しており、 小径を加えたサイズ数は国内最多の44サイズとなります。 |
【表2】『JBCR295』の機械的性質に関する製品規格概要
種類 の 記号 |
板厚 mm |
降伏点
または 耐力 N/mm2 |
引張強さ N/mm2 |
降伏比 % |
伸び | シャルピー吸収 エネルギー |
||
試験片 | 規定値 % |
試験温度 ℃ |
規定値 J |
|||||
JBCR295 | 22超え 25以下 |
295以上 445以下 |
400以上 550以下 |
90以下 | 5号 | 33以上 | 0 | 27以上 |
(参考) BCR295 |
16超え 22以下 |
295以上 445以下 |
400以上 550以下 |
90以下 | 5号 | 27以上 | 0 | 27以上 |
12超え 16以下 |
5号 | 23以上 |
【表3】『JBCR295』の化学成分に関する製品規格概要
種類 の 記号 |
化学成分 % |
炭素当量 % |
溶接割れ 感受性組成 % |
|||||
C | Si | Mn | P | S | N | |||
JBCR295 | 0.20以下 | 0.35以下 | 1.40以下 | 0.030以下 | 0.015以下 | 0.006以下 | 0.36以下 | 0.26以下 |
(参考) BCR295 |
0.20以下 | 0.35以下 | 1.40以下 | 0.030以下 | 0.015以下 | 0.006以下 | 0.36以下 | 0.26以下 |
【表4】『JBCR295』に関する設計指標の比較表
項 目 | JBCR295 | (参考)BCR295 |
許容応力度の基準強度 F | 295N/mm2(※1) 材料強度の基準強度は 上記数値の1.1倍以下 |
同左 |
柱部材強度の低減係数 | 内ダイアフラム形式 :0.80(※2) 通しダイアフラム形式:0.75(※2) |
同左 |
柱としての 幅厚比(辺長/板厚)規定 |
FAランク:![]() JBCR295認定範囲ではFAのみ |
FAランク:![]() FBランク: ![]() FCランク: ![]() |
保有耐力接合係数 α (柱継手・仕口および柱脚) |
1.3(※2) |
同左 |
※1: | MSTL-0401にて国土交通大臣の指定を受けた項目 |
※2: | BCJ評定-ST0216にて評価を取得した項目 |
【表5】『JBCR295』に関する製作要領の比較表
溶接材料の例 | 溶接条件 | JBCR295 | (参考)BCR295 |
YGW11 | 入熱 | 30kJ/cm以下(※3) | 同左 |
パス間温度 | 250℃以下(※3) | 同左 | |
YGW18 | 入熱 | 40kJ/cm以下(※3) | 同左 |
パス間温度 | 350℃以下(※3) | 同左 |
※3:大臣認定MSTL-0401における設定条件
【写真】『JBCR295』の曲げ試験状況 | 【図1】荷重-変形関係 |
![]() |
![]() |
【図2】中低層建築で多く採用される構造形式 (コラム-H 構造) |
![]() |