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ニュースリリース


JFEシビル株式会社
JFEスチール株式会社

第45回市村産業賞貢献賞を受賞
~建築物の耐震安全性を実現するデザイン性に優れた鋼管ブレース~

JFEシビル株式会社およびJFEスチール株式会社はこのたび、「建築物の耐震安全性を実現するデザイン性に優れた鋼管ブレース」で、公益財団法人 新技術開発財団から「第45回(平成25年)市村産業賞貢献賞」(*1)を受賞し、本日ホテルオークラ東京(東京・港区)にて贈呈式が行なわれました。市村産業賞の受賞は、JFEシビルは初、JFEスチールは昨年の貢献賞に続き2年連続となります。

 1.受賞理由:

今回の受賞は、既存建物の耐震改修や新築建物の耐震性付与に際し、デザイン性と施工性を兼ね備えたブレース(筋交い)及び取り付け方法を実用化し、教育施設など多様な建物の耐震改修技術として、また「魅せる建築」の耐震要素として幅広く普及していることが評価されました。

 2.受賞技術の概要:

1995年12月に施行された「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」に基づき、耐震補強として一般的な鉄骨枠付きH形鋼ブレースによる補強工事が進められてきましたが、採光性、美観、工期、工事中の建物使用制限など課題が多く、耐震補強が進まない一因にもなっていました。そこで両社は、デザイン性に優れ、かつ施工性も良好な耐震補強用、制振構造用の3種類の鋼管ブレース(写真1参照)を開発しました。また、これらのブレースを建物に取り付ける工法も実用化しました。

今回受賞したブレース、工法の特徴は以下の通りです。(図1・2参照)
デザイン性向上のためにブレース部材に円形鋼管を採用し、接合部のコンパクト化のためにクレビスによるピン接合を採用しました。また、クレビスと口金の接合にターンバックル機構を採用し、施工性を大幅に向上させています。なお、このクレビスは高強度ピン接合部品としてわが国初の国土交通大臣認定(*2)を取得しています。
耐震性向上のために二重鋼管方式による座屈補剛機構を開発しました。補剛機構には経済的に座屈補剛ができる外管補剛型と、防食性が求められる屋外設置に最適な内管補剛型の2種類があります。また、軸力管に低降伏点鋼管(*3)を用いることで制振ブレースとしても機能します。
耐震改修工事における建物使用制限を削減するために、建物の外側に補強構面を配置する外付け補強工法(写真2参照)を開発しました。当工法は一般財団法人 日本建築総合試験所の建築技術性能証明(*4)を取得しています。

これらの鋼管ブレースは1994年の販売開始以来、累計2,000件の物件に採用され、その90%強が耐震改修です。建物用途も教育施設、官庁施設、病院、事務所ビル、集合住宅など多様で、わが国の既存建物の耐震改修の促進に大いに貢献しています。また、橋梁などの土木構造物や、海外での耐震改修にも使われています。(写真3参照)

両社は今後も耐震性向上のための商品、工法の開発に尽力し、安全・安心な社会の実現に貢献してまいります。


(*1) 市村産業賞:新技術開発財団(市村財団)は、リコー(株)の創始者である故市村清氏の意思のもと、内閣総理大臣により設立許可され、昭和43年に設立された。同財団は故人から私財の寄贈を受け、以来40年以上にわたり新技術開発の助成ならびに市村産業賞・市村学術賞の贈呈などを行っている。

(*2) 国土交通大臣認定:建築基準法37条に基づく国土交通大臣認定。建築基準法で指定されたJIS材と異なる鋼種(高強度鋼等)の使用については、大臣認定の取得が必要となる。JFEシビルはピン接合部品として5件の認定を取得している。

(*3) 低降伏点鋼管:制振ブレース用にJFEスチールが開発した、降伏点が低く伸び性能が大きいシームレス鋼管で、規格降伏点の大きさが異なる2種類があり、それぞれ国土交通大臣認定を取得している。

(*4) 一般財団法人 日本建築総合試験所の建築技術性能証明:新しく開発された建築技術の性能を第三者の立場から評価し、設定した認証基準を満たしていることについて、その技術が保有する性能について性能証明書を発行するもの。


【写真1】鋼管ブレース
鋼管ブレース

【図1】開発した鋼管ブレースの概要

開発商品
用途
KTブレース(単管)
(a)KTブレース(単管)

耐震ブレース
耐震改修に最適
軸力管:普通鋼(STKN400)

二重鋼管座屈補剛ブレース(外管補剛型)
(b)二重鋼管座屈補剛ブレース(外管補剛型)

耐震・制振ブレース
座屈補剛効率が良い

軸力管: 普通鋼(STKN400,STKN490)
低降伏点鋼(JFE-LY100S,JFE-LY225S)
二重鋼管座屈補剛ブレース(内管補剛型)
(c)二重鋼管座屈補剛ブレース(内管補剛型)
耐震・制振ブレース
防食性が求められる屋外設置に最適
軸力管: 普通鋼(STKN400,STKN490)
低降伏点鋼(JFE-LY100S,JFE-LY225S)


【図2】二重鋼管方式による座屈補剛機構(外管補剛型)
二重鋼管方式による座屈補剛機構(外管補剛型)

【写真2】外付け補強工法
外付け補強工法

【写真3】採用事例    
小学校 病院 図書館
集合住宅 事務所 店舗
土木建造物


第45回市村産業賞貢献賞を受賞
本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール(株) 総務部広報室 TEL 03 (3597) 3166

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