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ニュースリリース


JFEスチール株式会社

2012年 JFEスチール社長年頭挨拶

(1月4日CEOは、社内およびグループ各社にあて以下のメッセージを発信致しました)

JFEスチール創設10周年
次なる10年で、世界有数のグローバル鉄鋼サプライヤーを目指す

JFEスチール 取締役社長 林田 英治
取締役社長(CEO)
林田 英治

明けましておめでとうございます。新年に当たり、ご挨拶申し上げます。

昨年は、東日本大震災による未曾有の被害が発生し、大変な年となりました。震災から10ヶ月近くが経過した現在も未だに不自由な生活を強いられている方が多数いらっしゃるように、その影響はまだまだ続いております。改めまして被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
当社および当社グループも、大きな被害を受けました。中でも東北スチール(株)など被災した設備の復旧を断念せざるを得なかったケースもあり、極めて厳しい決断を強いられました。一方で、グループ・協力会社・取引先などあらゆる皆様が総力を結集し、復旧・復興に努めた結果、現在当社グループ全体では、おおむね通常操業に戻ることができております。関係者の皆様のご尽力に敬意を表するとともに深く感謝いたします。

昨年の成果と第四次中期計画に向けて

さて、当社は昨年、第三次中期計画の最終年として、生産体制の構築と真のグローバル化に向けた取り組みを実施しました。
生産体制としては、福山第3高炉の改修・火入れによって「スチール単体粗鋼3,300万トン体制」を構築し、また、過去の生産トラブルの経験を活かし「重大トラブル未然防止活動」を展開し安定操業に努めているところです。
グローバル化に向けた取り組みとしては、海外営業拠点の更なる拡充、アジアを中心としたアライアンスの締結、海外事業の推進に引き続き注力しました。海外事業では、広州JFE鋼板における冷延設備稼働やタイでのCGL建設着手、更にはインドJSWスチール社との戦略的提携に基づく各種活動などを実行し、今後も成長が見込まれるアジアを中心にJFEスチールの成長とプレゼンス拡大を図りました。

本年の経営環境は、第三次補正予算効果など復興需要の拡大が期待されるものの、昨年後半から、欧州の債務問題を起因とした海外景気の下ぶれやタイ洪水影響、継続する超円高による輸出鈍化など極めて厳しい状況に置かれております。
一方鉄鋼業界では、秋には新日本製鉄と住友金属工業および日新製鋼と日本金属工業の統合が予定されるなど私たちのライバルは変化に向けて着実に歩みを続けております。当社グループでも電炉4社の統合を4月に控えるとともに、JFE商事のJFEホールディングス完全子会社化を決定し、その実行に向けて準備を進めております。

そうした中で、2012年は、JFEグループ創設10周年の節目の年として、足下の厳しい環境下でも確実に収益をあげるとともに、次の10年の成長に向けて第四次中期計画をとりまとめ、その実現に取り組んでいかなければなりません。

 第四次中期計画の基本となるJFEスチールが10年後にありたい姿は、「JFEスチールが今後とも世界有数のグローバル鉄鋼サプライヤーとして広く認知され、世の中に誇れる会社」であることと考えています。そのためには、JFEスチールとしての‘ブランド力’を確立・浸透し、確固たる収益基盤を築かなければならないと思っています。そうした第四次中期計画のスタートの年として、以下に本年の重要課題について申し上げます。

本年の重要課題

・グローバル鉄鋼サプライヤーとしての地位を一層高めること

一つ目の課題は、グローバル鉄鋼サプライヤーとしての地位を一層高めることです。
当社が、世界有数のグローバル鉄鋼サプライヤーとしての地位を高めていくには、他社に負けない「強み」が必要です。具体的には、お客様との会話を充実することで、ニーズを的確かつ早期に把握し、販売力の原点として品質とサービスを柱とした販売活動を行なわなくてはなりません。そして何よりも先端的な商品をはじめ、お客様に選んでいただける商品を提供することです。
加えて、常に10年先を見据えて革新的商品、プロセス開発を推進すること、ならびに、当社にとって変わらず重要な内需をしっかりと捉えるとともに、お客様のグローバル化を好機と捉え、アジアにおける収益・プレゼンス拡大に向けて、海外事業戦略を加速する必要があります。

・技術において常にトップを走ること

二つ目の課題は、製造業の基本として技術において常にトップを走ることです。
商品開発については前段で述べましたが、世界トップの操業技術を常に意識し、目標を立て、製造、研究開発が一体となって達成を目指してください。そうすることによって生産性が高まり、結果としてコスト競争力が強化されるのです。
そして、日々外部環境が激しく変化する状況の中で収益を上げていくためには、需要動向をタイムリーに把握し、フレキシブルかつ最も効率的な生産を徹底する必要があります。販売・生産動向を注視し、一歩先の動きを予想し先手を打つことを一人ひとりが心がけてください。

・グループ総合力の一層の発揮

三つ目の課題は、グループ総合力の一層の発揮です。
中長期的には、国内の需要は縮減していくことは避けられません。その中で当社および当社グループが成長していくためには、従来以上にグループ総合力を発揮する必要があります。
JFEホールディングス傘下のグループ会社がより連携強化し、効率的な体制で課題に取り組み、総合力を発揮してグローバル展開を進めていただきたいと思います。

・徹底した業務の見直し

四つ目の課題は、徹底した業務の見直しです。
自分の行なっている業務が価値を生み出しているのかを考え、捨てるべきは捨て、充実すべきは充実するというメリハリの効いた仕事の仕方を追求して下さい。当社グループにとって人材の確保・育成、技能の伝承は喫緊の課題です。多様な活動による人材確保や柔軟な制度見直しなどには取り組んでおりますが、人材育成が成果を挙げるためには一人ひとりの社員が与えられた仕事をこなすのではなく、明確な目標と目的意識を持って日々の業務に取り組めるようにすることが必要です。特に管理者は常にこの視点を持ち続けて業務に取り組んでください。

現在は世界的な経済的構造変化の過渡期であり、鉄鋼業を取り巻く環境は非常に厳しく、危機が迫っていると言っても過言ではありません。しかしいつも申し上げている通り、危機こそ平常心で臨まねばなりません。営業・技術開発・製造の原点に立ち帰り、腰を据えてこの危機に挑戦していただくことを強く期待しています。

安全について

次に「安全」について申し上げます。安全成績は2007年以降、年々改善しておりましたが、昨年は夏に重大災害が連続して発生し、社員1名と協力会社従業員1名の方が亡くなられました。あってはならないことであり、心から残念に思います。我々は大いに反省し、再発防止のために更に一層の対策を進めなければなりません。
私は、昨年10月に各地区で開催した緊急安全集会でも申し上げましたが、「安全最優先」の理念を、日々の生産活動において、具現化して進めることが大切であると考えます。すなわち、既に掲げた「コミュニケーションを大切にすること」、「安全が確保できない時は作業を中止させること」、そして「安全のためには速やかに必要な人と資金を投入すること」の三つの基本方針に沿って、各職場において効果的な活動を展開して欲しいと思います。
これに加えて、現場の最前線で働く管理監督者の皆さんは、自ら率先して規律を正し、組織全体にルールを守らせることを徹底するようお願いします。そして、補修・工事などの仕事を協力会社へお願いする場合には、確実に、安全な作業環境を提供するようにしてください。一方、協力会社の皆さんは、安全な状態であることを自らの目で確認し、二重にチェックすることにより、納得した上で作業を始めるようにしてください。
今年はこのような取り組みを含め、皆さんそれぞれの職場の課題や危険を一つひとつ改善し、重大災害の根絶はもちろん、災害のない活力ある職場づくりを目指したいと思います。

最後になりましたが、労働組合の皆さんに一言申し上げます。
現在の厳しい環境下で、先程申し上げた経営課題に対応していくためには、全社一丸となった取り組みが不可欠です。労働組合のご理解とご協力をいただき、課題に対して迅速かつ果敢に取り組んでまいりたいと思います。本年もよろしくお願いいたします。

以上、年頭にあたり、所信を申し述べましたが、本年が皆さんとご家族にとって実り多く、健康で幸せな一年となりますよう心から祈念し、新年の挨拶といたします。