鉄粉は大きさが約２０～２００ミクロンの鉄粒子の集合体です。粒度分布や見掛密度等を指標として粉体として扱われ、その特性は製造方法・履歴により異なります。

市販されている鉄粉は、その製造方法にて分類され、還元鉄粉、アトマイズ鉄粉、電解鉄粉の３種類があり、それぞれ用途により使い分けられます。

代表的な還元鉄粉およびアトマイズ鉄粉の１個の粒子の外観および断面写真を示します。還元鉄粉およびアトマイズ鉄粉とも外観はそれほど変りありませんが、断面では大きく異なります。

鉄粉粒子形状

還元鉄粉		アトマイズ鉄粉

鉄粉粒子断面

還元鉄粉		アトマイズ鉄粉

JIP鉄粉の種類

還元鉄粉		純鉄粉				ミルスケール（酸化鉄）をコークス等（炭化材）で還元し、次に水素雰囲気で熱処理して製造された鉄粉。粒子内に空孔を有します。
アトマイズ鉄粉		純鉄粉				溶鋼を高圧水で粉化・冷却し、その後水素雰囲気で熱処理して製造された鉄粉。粒子内に空孔はなく、かつ還元鉄粉より高純度です。
		合金鋼粉		完全合金粉		合金化した溶鋼をアトマイズした鉄粉であり、粒子内の合金成分が均一な鉄粉です。
				部分合金化粉		純鉄粉の周りに、合金粉を部分合金化し付着させた合金粉です。粒子内は軟らかい純鉄粉なので高い圧縮性を示します。

●完全合金化粉 　完全合金化粉の合金成分（Ｃｒ）の分布		●部分合金化粉 　部分合金化粉の合金成分（Ｎｉ）の分布

偏析防止粉

純鉄粉あるいは合金鋼粉に添加剤を混合したプレミックス粉。 このままで、成形できる鉄粉

黒鉛粉や銅粉を鉄粉の周りに付着させ、ハンドリング時の添加剤の飛散を防止し、作業環境をクリーンにすると共に、添加剤の偏析に伴う成分ばらつきの少ない焼結部品が得られる鉄粉