2013年03月15日
  • 国立大学法人広島大学
    JFEスチール株式会社

福山内港における鉄鋼スラグ製品を利用した硫化物抑制実証試験における
底生生物の生息状況について

国立大学法人広島大学(以下、広島大学)およびJFEスチール株式会社(以下、JFEスチール)は、福山内港湾奥部のヘドロ状底泥から硫化水素臭が発生する問題の解決を目指し、粒度等を調整した砂利状の製鋼スラグ(*1)による硫化物抑制のフィールド実証試験を連携して行っています。このたび、2月26日に開催された第3回「鉄鋼スラグを活用した福山内港地区水域環境改善研究会(委員長:広島大学 土田孝 教授、以下「研究会」)」(*2)において、硫化物抑制効果の継続および底生生物の生息状況が報告されました。

<実証試験の経緯と調査結果>
2010年9月、福山市から、福山内港奥部で発生している悪臭を防止できないかとの質問を受け、「製鋼スラグが臭気の原因となる硫化物を低減する効果を有する」という知見を踏まえ、JFEスチールが悪臭低減方法の検討を開始。
JFEスチールと広島大学が共同で室内実験を行い、製鋼スラグによる硫化物の低減効果を確認。
本効果を実海域において確認するため、2011年8月、福山内港湾奥部にて製鋼スラグによる底質改善試験を開始(図1)。非施工区の硫化物濃度約110~350mg/Lに対し、製鋼スラグ施工区では検出限界(0.5未満)~4mg/Lであったことから、硫化物の発生が著しく抑制されることが確認(図2)。
上記結果を踏まえ、2012年7月にエリアを拡大した実証試験を開始(図1)。
拡大エリアにおいても良好な結果が得られており、底質改善は2013年2月の調査でも効果継続中。

<底生生物の生息の確認>
2013年2月の調査で、製鋼スラグ施工エリアの一部において、多数のホヤやスピオという多毛類の一種などの底生生物(海底を生息場所とする生物)が製鋼スラグ表面に付着していることを確認。またカニなどの甲殻類や稚魚も確認(図3~5)。
冬季に海底近くの酸素濃度が増えたこと、硫化物が抑制された状態に改善されたことにより、幼生が成長したと推定される。
将来、福山内港を豊かな生物の生息空間に変える可能性を示す結果と考えられる。

広島大学およびJFEスチールは、今後も定期的に生物生息の期間や範囲、また水質などについてモニタリング調査を実施し、研究会を通じて評価していく予定です。

(*1) 製鋼スラグ : JFEスチールの鉄鋼スラグ製品の一つで、「マリンストーン®」の名称で販売している。
(*2) 鉄鋼スラグを活用した福山内港地区水域環境改善研究会 : 国立大学法人広島大学とJFEスチール株式会社との間で2011年9月に締結された「鉄鋼スラグを利用した環境改善」の分野での包括的研究協力に基づき、2012年2月に設立された研究会。福山内港地区水域環境改善実験に対する評価や助言を行う。


【図1】製鋼スラグ施工エリアの計画図
製鋼スラグ施工エリアの計画図

【図2】間隙水の溶存硫化物濃度の推移

非施工区の硫化物は110~350mg/L、施工区は検出限界(0.5)~4mg/L

間隙水の溶存硫化物濃度の推移

【図3】製鋼スラグ施工区と非施工区(海側)の生物生息状況比較

製鋼スラグ施工区と非施工区(海側)の生物生息状況比較

【図4】製鋼スラグに付着していたホヤとカニ

製鋼スラグに付着していたホヤとカニ

【図5】製鋼スラグ施工区と非施工区の底生生物の分析結果

種類数
個体数
湿重量

 


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JFEスチール(株)西日本製鉄所福山地区 総務部総務室 TEL 084 (945) 3119