ニュースリリース
JFEスチール株式会社
国内最高強度の冷間ロール成形角形鋼管「JBCR385」の開発と設計法評定取得
~ひっ迫する建築鉄骨市場に新たな選択肢を提供~
このたび当社は、建築構造用に使用される高強度の冷間ロール成形角形鋼管商品(以下、「ロールコラム」)として新たに『JFEコラムJBCR385』(以下、『JBCR385』)を開発し、国土交通大臣認定(*1)を取得しました。この『JBCR385』の基準強度(F値)は、一般的なロールコラムを大幅に超える385N/mm2であり、ロールコラムとしては国内最高強度です。 これにより、ロールコラムをこれまでよりも大スパン化、高層化した建築物に適用することや、室内有効面積の増加等で設計上の自由度を高めることが可能になります。サイズ展開は、最大外径550mm、最大板厚25mmとした全34サイズ(表1参照)を揃えております。
ロールコラムとして広く普及している「BCR295」(*2)に対しては、設計上の自由度をより高めるため、これまでお客様から高強度化の要請がありました。そこで当社は、基準強度(F値)が295N/mm2である「BCR295」に対し、385N/mm2と国内最高強度のロールコラム『JBCR385』を開発しました。一般的に鋼材は、強度を高めると靱性が減少する性質を持っていますが、当社の独自技術で最適な化学成分と製造方法を設計することにより、強度を確保すると同時に高靭性と優れた溶接性を兼ね備えることが可能となり、十分な保有変形性能を確保することができました。
現在、旺盛な需要により、納期が従来よりも長期化している「BCP」(*2)からの置き換えも可能であり、鉄骨製作の工期短縮に貢献します。
なお、『JBCR385』はこの国土交通大臣の認定を取得するとともに、設計上の利便性を高めるため、従来の設計法の準用を認める一般財団法人日本建築センターの評定(*3)も取得しています。
当社は今後、鉄骨造建築物への『JBCR385』の採用拡大を目指してまいります。また、今後ともお客様のご要望に幅広くお応えすべく、付加価値の高い建築建材商品の開発に努めてまいります。
(*1)国土交通大臣認定
建築基準法に基づく国土交通大臣認定。建築基準法第37条で指定された材料と異なる材料の使用については、大臣認定の取得が必要となる。今回の認定番号は「MSTL-0524」。
(*2)「BCR」、「BCP」は一般社団法人日本鉄鋼連盟の登録商標です。
(*3)一般財団法人日本建築センターの設計法の評定
建築基準法令その他の技術基準等に照らして、第三者の立場から建築物の構法、材料、部品、設備等を評価するもの。設計・施工段階で製品選定時の目安として用いられる。今回の評定番号は「BCJ評定-ST0274-01」。
【表1】『JBCR385』の製造サイズ表(全34サイズ)
辺長 (mm) |
板厚(mm) | ||||||
6 | 9 | 12 | 16 | 19 | 22 | 25 | |
250 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
300 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
350 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
400 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
450 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
500 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
550 | ○ | ○ | ○ | ○ |
【表2】『JBCR385』の機械的性質に関する製品規格概要
種類の記号 | 板厚 mm |
降伏点または耐力 N/mm2 |
引張強さ N/mm2 |
降伏比 % |
シャルピー吸収 エネルギー(0℃) J |
JBCR385 | 6以上12未満 | 385以上 | 520以上 670以下 |
- | - |
12以上25以下 | 385以上 535以下 |
90以下 | 70以上 |
※シャルピー吸収エネルギーは厚さ12mmを超えるものについて試験を行う。
【写真】ロールコラムの適用例