PC版

MENU

ニュースリリース


JFEスチール株式会社

国際稲研究所(IRRI)の主導する水稲直播コンソーシアムへの参画と試験開始について
~鉄コーティング種子を用いた水稲直播技術のアジア地域の普及を目指して~

当社は2019年3月に国際稲研究所(International Rice Research Institute:以下、「IRRI」)が主導する水稲直播コンソーシアムに参画し、5月より鉄コーティング種子を用いた水稲直播技術の普及のための試験をフィリピンで開始しました。本コンソーシアムでの活動を通じた国際版マニュアルの作成等により、鉄コーティング種子を用いた水稲直播技術のアジア地域での更なる普及を目指します。

米はアジア地域の代表的な主食でありながら、アジア地域では稲作に用いる移植機の普及率が低く、人手によるWet seedingという直播法が普及しています。Wet seedingは水分を含んだ水田に種子を直接播く方法であり、苗を植える方法と比べると、苗を育てる作業、苗の結束・運搬が不要となり、植え付け作業自体も短時間かつ少人数で済むことから、高齢化、若年者の都市部流出による労働力不足といった課題を抱える農家では本直播法が普及してきました。

一方で、Wet seedingでは種子が水中で浮かび上がらないように、種を播く前に代かき水を強制落水する必要があります。しかし代かき水の強制落水は水資源の浪費、土地の栄養の喪失、雑草や雑草イネの発生を引き起こします。

こうした課題を踏まえ、IRRIは資源と環境の持続可能性の維持に貢献できる直播の実現と技術開発を図るため、産官共同の国際的な水稲直播コンソーシアムを2018年2月に設立しました。

日本国内における直播技術の内、鉄をコーティングした種子を利用する技術は2004年に農研機構で開発され、その後機械メーカーや全国農業協同組合連合会(全農)が中心となって国内に普及させてきており、国内での普及面積は1.8万ヘクタール程度と、国内で最も普及している直播法です。鉄粉でコーティングすることにより種子の比重を高め、水を張った水田にそのまま播くこと(Water seeding)ができるため、Wet seedingで課題であった代かき水の強制落水が不要になり、雑草や雑草イネの発生を軽減できます。加えて種子を鉄でコーティングすることにより鳥害や種子伝染性の病害の発生を抑制できる利点もあります。当社は、10年前から種子のコーティングに適した鉄粉の研究を開始し、2014年には種子コーティングに適した鉄粉『粉美人®」を世界で初めて開発・製造し、お客様から高い評価を頂いており、この度本コンソーシアムへの参画を決定いたしました。当社は本コンソーシアムを通して、当社の高い鉄粉製造技術と日本国内で開発された鉄コーティング種子の直播技術とを組み合わせ、アジアの米生産事情の改善と環境保全に貢献いたします。

 

写真1 IRRIにおける鉄コーティング種子の作製の様子

写真1 IRRIにおける鉄コーティング種子の作製の様子
(手作業によるコーティング)
写真1 IRRIにおける鉄コーティング種子の作製の様子
(機械作業によるコーティング)
 

写真2 元の種子(左)と鉄コーティング後の種子(右)

写真2 元の種子(左)と鉄コーティング後の種子(右)

 

写真3 圃場試験の様子(Water seeding)

写真3 圃場試験の様子(Water seeding)

 

『粉美人®』は、JFEスチール株式会社の登録商標です。

本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール(株) 総務部広報室 TEL 03 (3597) 3166

ニュースリリース一覧へ戻る