ニュースリリース
JFEスチール株式会社
鋼管杭の機械式継手『ハイメカネジ®』の大幅リニューアルと審査証明取得
~適用範囲拡大・施工性アップ・コンパクト化を実現~
当社はこのたび、鋼管杭の機械式継手『ハイメカネジ』(※1)を大幅リニューアルしました。従来品と比較して適用範囲拡大・施工性アップ・コンパクト化を実現し、施工現場のニーズにより一層応えられる商品になりました。また、2018年5月に、一般財団法人 土木研究センターによる建設技術審査証明を取得(内容変更)(※2)しています。
施工現場において鋼管杭を継ぎ合わせる作業は、溶接接合によって行われることが一般的です。しかし、溶接接合による場合、①施工時間が比較的長く、鋼管が大径あるいは厚肉になるほどこの傾向が顕著となる、②雨天・強風時などの荒天下での作業が困難であるなど、天候の影響を受けやすい、③品質確保のために入念な管理および技量の高い溶接工を必要とする、などの課題を有しています。 当社ではこれらの課題を解決すべく、1998年に鋼管の接合技術として信頼性が高く実績のある「ねじ」による機械式継手『ハイメカネジ』を開発・実用化しました。がたつきが少なくしっかり締結できる『ハイメカネジ』は、継手部の安定した品質確保に貢献するとともに、現場での溶接作業を不要にして大幅な工期短縮を実現し、販売開始以来、道路・鉄道分野を中心にこれまで100件以上の工事に採用されています。
近年、工期短縮や省力化施工へのニーズの高まりに加え、熟練溶接工の不足など建設業を取り巻く社会情勢の変化を背景に、現場での溶接接合が不要な機械式継手の需要が急増しています。『ハイメカネジ』に対しても、①適用範囲の拡大、②さらなる施工省力化(接合作業の負荷軽減)、③経済性の向上など、より一層の改善への要望が高まっており、これらの新たな要望に応えるべく、今回『ハイメカネジ』を大幅にリニューアルしました。
【新型『ハイメカネジ』の特長】
- ① 大幅な適用範囲拡大
- 大径・厚肉・高強度の鋼管杭および、新たに鋼管矢板にも適用範囲を拡大しました。
最大径2,000mm、最大板厚60mm、SM570材まで対応可能になりました。
また、試験施工に基づき打撃・振動工法にも適用できることを確認しました。 - ② 施工性アップ
- ねじ部の改良(※3)により、接合時の回転量の低減(※4)を実現しました。
これにより従来以上の現場作業の省力化や、建設工期短縮に寄与します。 - ③ 最大で約50%のコンパクト化
- 継手の短尺・軽量化(※5)により、経済性の向上を図りました。
新しく生まれ変わった新型『ハイメカネジ』は、一般財団法人 土木研究センターの審査を受け、2018年5月に建設技術審査証明を取得(内容変更)しています。
当社は今後もお客様のご要望に幅広くお応えすべく、付加価値の高い土木建材商品・工法の開発に努めてまいります。
【図1】新型『ハイメカネジ』のイメージ図
【図2】新型『ハイメカネジ』の構造
【写真1】接合作業の様子
【写真2】施工現場(線路内での急速施工の事例)
【表1】『ハイメカネジ』の適用範囲の比較
従来 | 新型 | ||
対象 | 鋼管杭 | 鋼管杭・鋼管矢板 | |
鋼管 寸法 |
外径 | φ318.5mm~φ1200mm | φ318.5mm~φ2000mm |
板厚 (材質) |
t6mm~t35mm(SKK400) t6mm~t28mm(SKK490) |
t6mm~t60mm(SKK400、SKY400) t6mm~t45mm(SKK490、SKY490) t6mm~t30mm(SM490Y、SM570) |
|
適用工法 | 埋込み杭工法(中掘り杭工法、 鋼管ソイルセメント杭工法など)、 圧入工法、回転杭工法 |
埋込み杭工法(中掘り杭工法、 鋼管ソイルセメント杭工法など)、 圧入工法、回転杭工法、 打込み杭工法(打撃・振動工法) |
(※1)『ハイメカネジ』:
鋼管杭の現場接合に用いるねじ継手。あらかじめ工場で鋼管に溶接取り付けされて現場搬入される。現場での継杭作業は『ハイメカネジ』付鋼管を回転接合させ、逆回転防止ピンを挿入して接合確認をするだけであり、寸法によらず1箇所あたり10分~15分で接合が完了する。また、非破壊検査も不要。
『ハイメカネジ』の材料には靱性・加工性に優れた当社独自の高張力鋼(JFE-HITEN780)を使用しており、適用する鋼管本体と同等以上の圧縮・引張・曲げ・せん断耐力を有する。
(※2)建設技術審査証明:
依頼者の申請に基づき、第三者機関において学識経験者などが新技術の技術内容を審査するもの。『ハイメカネジ』は一般財団法人 土木研究センターの建設技術審査証明事業(土木系材料・製品・技術、道路保全事業)により厳正に審査され、2011年5月に建技審証 第1101号を取得しており、今回は追加・内容変更項目に対し技術審査を受けた。
(※3)ねじ部の改良:
ねじ接合時の回転量は「ねじ山数÷ねじ条数」で決定される。今回のリニューアルでは、ねじを多条化、またねじ山を大きくすることで耐力を確保しつつねじ山数を削減。これにより従来に比べ、ねじ接合時の回転量を低減した。
(※4)接合時の回転量の低減:
寸法や仕様によって回転量は異なるが、例えば外径1000mmの薄肉鋼管用の継手の場合は、従来比半分以下の1/8回転で接合可能。
(※5)短尺・軽量化:
構造実験や数値解析に基づき、継手断面形状の最適化を行った。
※『ハイメカネジ®』はJFEスチール株式会社の登録商標です。