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JFEスチール株式会社

熊本城天守閣復旧整備事業に高施工性COアーク溶接技術
『超狭開先J-STAR®溶接』を適用

このたび、当社が開発した高施工性COアーク溶接技術『超狭開先(※1)J-STAR®溶接(※2)』が、熊本城天守閣復旧整備事業の内、大天守6階鉄骨造の主要構造物である溶接組立箱形断面柱の角部溶接に採用され、建て方が完了しました。

熊本城天守閣の大天守6階は鉄骨造で、小径角形断面の柱材が用いられています。この柱材には、4枚の鋼板を箱形に組み合わせてその角部を溶接する溶接組立箱形断面柱が使用されています。

溶接組立箱形断面柱の角溶接には、通常、施工効率に優れたサブマージアーク溶接法(※3)が用いられますが、溶接入熱が大きいため、特に小径角形断面の柱材の場合には溶接変形が大きくなるという課題があります。また、溶接入熱の小さいCOアーク溶接法(※4)が用いられる場合もありますが、溶接積層数が多く施工効率が著しく低くなるという課題があり、高施工性と溶接変形抑制を両立できる溶接技術が広く要望されていました。 そこで、当社は、高施工性COアーク溶接技術『超狭開先J-STAR®溶接』を開発しました。本溶接技術は、J-STAR®溶接を活用し、溶接ノズル構造の最適化により、開先の断面積を従来の約半分まで小さくすることができます。この超狭開先化により、溶接変形抑制および溶接施工期間短縮を達成可能としました。

熊本城天守閣復旧整備事業においては、本溶接技術のメリットが高く評価された結果、株式会社永井製作所にて本溶接技術を用いた溶接組立箱形断面柱が製作され、大天守6階鉄骨造に適用されました。

今後とも当社は、オンリーワン技術である『超狭開先J-STAR®溶接技術』を、高機能鋼材を用いた建築構造物の性能向上に貢献できる溶接技術と位置づけ、引き続きお客様のご要望に幅広く応えていきます。

 

(※1)狭開先溶接:従来の開先(溶接を行う母材間に設ける溝のこと)に比べてより狭い開先で行われる溶接施工のこと。

(※2)J-STAR®溶接:J-STARはJFE Spray Transfer Arcの略。アーク安定剤として適量のREM(Rare earth metal:希土類金属)を添加した溶接ワイヤを用い、極性を従来とは逆のワイヤ側をマイナスとした炭酸ガスアーク溶接方法。指向性が強く安定した円錐状アークの形成と、溶融ワイヤ(溶滴)の微細化による連続的かつ安定した溶接(微細スプレー移行)の実現により、スパッタ発生量の大幅な低減と深い溶込みを得ることができるのが特徴。

(※3)サブマージアーク溶接法:溶接箇所にあらかじめ散布した粒状フラックスの中に溶接ワイヤを送り込み、フラックスに覆われた状態でアークを発生させて溶接する方法。

(※4)炭酸ガスアーク溶接法:ガスシールドアーク溶接法の主流を占める安価な溶接方法。シールドガスに100%炭酸ガスを用いて溶接を行う。

 

図1 建て方中の大天守6階鉄骨造(矢印:超狭開先J-STAR®溶接が適用された溶接組立箱形断面柱)

図1 建て方中の大天守6階鉄骨造
(矢印:超狭開先J-STAR®溶接が適用された溶接組立箱形断面柱)

 

図2 大天守6階鉄骨造の外観

図2 大天守6階鉄骨造の外観

 

図3 超狭開先J-STAR®溶接を用いた角溶接部の断面マクロ

図3 超狭開先J-STAR®溶接を用いた角溶接部の断面マクロ

 

【参考】
「熊本城天守閣復旧整備事業」の概要

事業場所 熊本市中央区本丸地内
発注者 熊本市
施工会社 株式会社大林組
事業期間 2016年12月~2021年3月
構造 鉄骨鉄筋コンクリート造、一部鉄筋コンクリート造、鉄骨造
地上6階、地下1階
延床面積 3,068.3m2
 

(熊本市ホームページより引用)

(熊本市ホームページより引用)

 
本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール(株)総務部広報室 TEL 03(3597)3166

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