巻頭言

JFE技報 ONLINE ISSN 2185-4327 / PRINT ISSN 1348-0669

No.39 2017年2月 缶用鋼板・棒線特集号

巻頭言

JFE スチール 常務執行役員 缶用鋼板セクター長 野房 喜幸

JFE スチール 常務執行役員
缶用鋼板セクター長

野房 喜幸

缶用鋼板は,飲料缶・食缶・18 リットル缶・ペール缶などに広く使用されている薄鋼板で,耐食性,加工性および接合性に優れています。ぶりき(錫めっき鋼板),ティンフリースチール(電解クロム酸処理鋼板)などの表面処理鋼板がその代表例であり,長年にわたり,安全,安心な容器用素材として市場からの信頼を獲得してきました。しかしながら,近年の国内市場における需要の低迷や,グローバル市場での鉄鋼他社との競合激化,合わせて容器用他素材との競争など,缶用鋼板を取り巻く環境は大きく変化しています。今後も,PET ボトルやアルミニウム缶などの他素材に対する競争力を確保するためには,お客様のニーズを先取りした,たゆまぬ材料開発と基礎研究,そして最先端のプロセス技術開発が不可欠です。

本報では,当社の代表的な缶用鋼板商品と製造プロセスの特徴をレビューするとともに,近年に開発された新たな高速冷間圧延技術,材料設計技術及び新商品について,ご紹介いたします。

缶用鋼板の硬質化・薄ゲージ化のニーズの高まりとともに,高速・高能率な圧延の実現,硬質材から軟質材までの多品種生産への柔軟な対応が求められています。本報でご紹介する「ハイブリット潤滑による高速圧延技術」は,圧延油を循環使用する循環給油方式をベースに,高速圧延においても優れた潤滑性能を発揮しながら,多様なプロダクトミクスに対応可能な画期的なシステムです。

また,当社における缶用鋼板の販売量で大きなウエイトを占める,ぶりき用原板(めっき原板となる冷延鋼板)については,独自の材質設計技術の開発と,その製造条件の最適化により,お客様の広範なご要望にお応えしています。いくつかの例として,大型溶接缶向けNb-B 複合添加極低炭素鋼の熱間延性に関する研究と,缶用極低炭素鋼のフェライト粒径に及ぼすNb 添加に影響についての論文を掲載しています。

環境への取り組みに関しては,熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした鋼板を軸に,多様な商品開発を行っています。本報では,食缶用ラミネート鋼板の内容物取り出し性に関する基礎研究と,お客様との協業にて開発・実用化した18 L 缶用ラミネート鋼板について,ご紹介いたします。

JFE スチールは,今後も新製造プロセス,新商品の研究開発を継続し,お客様のご要求に応える高品質な缶用鋼板の供給を通じて,社会に貢献してまいりますので,なおいっそうのご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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