巻頭言

JFE技報 ONLINE ISSN 2185-4327 / PRINT ISSN 1348-0669

No.38 2016年8月 製鋼特集号

巻頭言

JFEスチール 常務執行役員 渡辺  敦

JFEスチール 常務執行役員

渡辺  敦

2003年のJFEスチール発足以降,鉄鋼業界及びその周辺の環境は大きく変動してきました。発足当初は,統合効果に加えて,世界的な鉄鋼需要の拡大といった追い風もあり,大きな成果を上げてまいりましたが,その後は,リーマンショック,東日本大震災といった未曾有の規模の危機や,最近では,鉄鋼需要の減速による需給ギャップの拡大や鋼材価格の下落により,厳しい市場環境下に置かれております。

また,鉄鋼業界における国内外での競合他社の統合や500社とも言われる中国鉄鋼メーカーの乱立などにより,激しい競争にも晒されています。

製鋼工程では,そのような厳しい環境の中でも,お客様へ良質な商品を提供すべく,低コストで,高品質な鋼の製造に関して開発を行ってきました。また,社会的要請でもあります地球環境との共存を図るべく,省エネルギー,廃棄物削減といった環境調和型プロセスの開発も推進してきました。

今回,JFEスチール発足以来初の発行となる“製鋼特集号”では,その開発技術の一端をご紹介いたします。低コスト化を担う生産性向上に関しては,各プロセスでの取り組みを紹介いたします。溶銑予備処理工程でのDRP®に代表される新技術導入などによる高効率脱りん,脱硫技術,転炉での安定操業のための反応,攪拌制御技術,二次精錬での高速処理のための送酸技術,連続鋳造での高速鋳造のための二次冷却技術について述べるとともに,福山地区に新規に導入された転炉,連続鋳造機といった設備の概要についても紹介いたします。高品質鋼の製造については,二次精錬での攪拌制御や,連続鋳造時の鋳型内溶鋼流動制御などによる,製品での欠陥の要因となる鋼中への残留介在物や,スラブの中心偏析を低減する技術を紹介いたします。環境調和型の技術としては,省エネルギー型のプロセス,耐火物技術とともに,CO2削減につながるスクラップ利用や,副生成物であるスラグの発生量低減,無害化,再資源化についても紹介いたします。また,これら技術を支えております計測・シミュレーション技術についても併せて紹介しております。

これらの技術は長年の継続的な技術開発への取り組みが結実したものであります。今後も,製鋼技術の開発を積極的に推し進めることでJFEスチールの企業理念である「常に世界最高の技術をもって社会に貢献する。」を体現できるよう努力してゆく所存でございます。皆様のより一層のご指導,ご鞭撻をお願い申し上げます。

PDF

上記資料の閲覧にはAdobe社のAcrobat Reader 5以上が必要です。
Acrobat Reader は下記アイコンをクリックしてダウンロードしてください。
Get Adobe Reader