

JFE スチール 専務執行役員
棒線セクター長
相川 貢
この数年の特殊鋼棒線事業を取り巻く環境は大きく変化してきた。鉄鋼需要は極めて旺盛で内外の自動車・造船・建設機械産業・機械・電機家電・プラント建設・エネルギー開発関連など,主要需要分野からの強い数量要望になんとかお応えすべく,各鉄鋼メーカーにおいては懸命に増産を行い,特殊鋼棒線の国内生産量も2001年の年間682万トンが2007年には1067万トンまで増産するに至った。しかし,2008年は未曾有の環境変化が生じた。年初からの資源インフレにも関わらず,前半は増産基調が継続したが,夏以降に顕在化した米国の金融危機を境に一転して世界の実体経済に大きな影響がおよび,秋口以降は鉄鋼需要業界の急速な活動水準の低下を招き,鉄鋼メーカーも増産から一転して減産対応を余儀なくさせられた。
このような環境下ではあるが,またこのような環境だからこそ,技術開発力が製造業の競争力の源泉であるとの認識の下に新商品開発とさまざまな産業分野からの厳しい品質要求に対応する製造・品質保証技術の向上に努めることが肝要と考える。
JFE スチールの発足により特殊鋼棒線事業はグループ内に高炉製造と電気炉製造の両方を持つ体制となり,製造可能な商品群は拡大した。この数年間,JFE グループとして次の観点で開発を進めてきた。(1)CO2排出削減に寄与する材料,(2)鉛などの環境負荷物質を排除した材料,(3)加工・熱処理工程を省略可能な材料,(4)耐震強度を高める材料の観点である。本特集号ではこのような観点で開発された特徴ある商品と最近の設備増強内容を紹介する。また,ソリューション技術として鍛造性評価および耐震設計についても記載し,JFE スチールグループ特殊鋼棒線技術の広がりも紹介する。
技術開発を核とするJFE スチールの企業理念に基づく活動の一端をご理解いただければ幸いである。