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ニュースリリース


JFEスチール株式会社

2019年 JFEスチール社長年頭挨拶

代表取締役社長(CEO)柿木 厚司
代表取締役社長(CEO)
柿木 厚司

明けましておめでとうございます。新年にあたり、ご挨拶を申し上げます。

最初に、安全について一言申し上げます。昨年は重大事故が2件発生し、尊い命が失われました。誠に残念でなりません。ご冥福をお祈りするとともに、「安全はすべてに優先する」の原点に立ち戻り、対話を心がけ、安全に全ての作業を行ってください。

さて、昨年を振り返りますと、米朝首脳会談や一連の通商問題の多発等、変化を感じさせる1年でした。一方、鉄鋼業を取り巻く環境は、全般的に好調に推移しました。中国の過剰生産能力問題は、依然として課題を残すものの、一定程度の削減効果もあり輸出量も減少したことから、鉄鋼市況は適正な水準を維持しました。このような底堅い環境では機会損失を出してはならないのですが、西日本豪雨等の未曾有の自然災害に加え、設備老朽や人的要因による設備トラブルが多発し、生産・出荷が未達となったことは残念と言わざるを得ません。

そのような中、本年は昨年に引き続き堅調に推移するものと期待してはおりますが、トランプ政権による通商拡大法232条発動に伴う鉄鋼製品の輸入制限、さらに米中貿易摩擦等の通商問題、副原料価格・物流費の上昇に伴うコストアップ等、取り巻く環境を一変させる不確定要素も多く、不透明感は強くなっていると感じています。例えば自動車のEV化を更に加速化させる政策が打ち出されたり、IoTやAIの技術革新が想定以上に進展する等、予想をはるかに超えるスピードで世の中が変わる可能性があるという意識を常に持って考えていく必要があります。

不透明感のある2019年ですが、長期ビジョンにある「常に新たな価値を創造し、お客様とともに成長するグローバル鉄鋼サプライヤー」という目指すべき方向を忘れることなく、様々な変化に対しフレキシビリティーとスピード感をもって、第6次中期経営計画を着実に実行していくことが重要です。6次中期2年目となる本年度は、次の4点の課題に特に取り組んで欲しいと思います。 第一に、製造実力の強靭化です。トラブル防止・老朽更新等、定常状態に戻すことはもちろん重要ですが、将来にわたり成長し続ける会社であるためには、それ以上に生産能力の向上や高級製品の製造可能範囲の拡大等、能力をさらに高めていくことが不可欠です。そういう意味からも、6次中期では戦略的設備投資に経営資源を振り向けていく予定です。一方、足下は設備トラブルがあとを絶ちません。機会損失を出さないよう設備の安定化を図り、生産・出荷の最大化を常に意識し業務に取り組んでください。また、その検討にあたっても、能力を少しでも高める新しい機能や技術はないかを常に考え取り組んで欲しいと思います。

第二に、世界最先端の技術開発力を活かしたコスト優位性の徹底追及です。最先端技術を生み出し続けることは、会社の持続的な成長に不可欠です。フェロコークス等の環境調和型生産プロセス、IoTやAIなどのデータサイエンスやロボティクスといった先端IT技術の積極的な活用等、世の中の様々な変化や動きに柔軟に対応することができる技術を継続的に開発・活用し、当社の存在感を高めていかなければなりません。さらに、その技術を活用しコスト優位性を徹底追及してくことが重要であり、高付加価値品はもとより、ボリュームゾーンの汎用品においても、その優位性を担保する技術開発を徹底して進めて欲しいと思います。

第三に、お客様のニーズに対応した販売戦略・品種戦略の実行です。販技一体となって総合的な提案力を高め、お客様の抱える課題に対しソリューションを提供し、JFEのプレゼンスを高めていくことが重要です。その上で、国内は販売数量を極限まで追求し、輸出は海外の戦略投資拠点やFHSオフテイクの活用等により、重点分野を中心に販売拡大を図ってください。

第四は、人的資源の最大活用です。技術伝承・人材育成を前中期に引き続き継続していくことは言うまでもありませんが、それに加え、中長期的に人手不足となることが想定される中、業務そのものを減らす取り組みも行ってください。匠の技を若手に伝承することももちろん重要ですが、誰もが同じように業務遂行できるよう最新技術を活用した標準化も、同様に重要と考えています。

この4点の重点課題に取り組むにあたっては、労働時間も限られ、変化のスピードがこれまで以上に早くなっている中、より創造的な仕事に集中できる環境づくりが必要です。製鉄所利益計画の討論内容の見直し・全社で行う会議の削減・経営会議の審議を必要とする設備投資の金額基準の引き上げ等、意思決定のスピードアップ、会議や決裁のための過度な準備資料の削減が図れるよう権限委譲を進めており、今後も必要に応じて随時見直していこうと考えています。その上で、先ほど述べた重点課題に取り組むにあたり、皆さんに心がけて欲しいことは次の3点です。

一つ目は、各人がスピード感と責任感をもって業務遂行して欲しいということです。権限委譲には、意思決定のスピードアップに加え、意思決定者と業務遂行の責任者を同一にすることで責任の所在を明確にする狙いがあります。変化の激しい足下の環境下では、スピード感が非常に重要になります。先ほど、新しい機能や技術を付加し能力を少しでも高めるようお願いしました。能力を高めることは重要ですが、必要以上に時間をかけてしまってはビジネスチャンスを逃しかねません。取り巻く環境と仕事の優先度を常に意識し、スピード感をもって業務に取り組んでください。 また、各人が責任感を持って仕事を実行していくことで、自信もつき、やりがいも感じることができると思います。上司に何から何まで相談し判断をあおいでいたら、「この仕事は自分で行った」という達成感は得にくくなってしまいます。自身の責任範囲をしっかり認識した上で、その範囲内においては、自由にかつ責任をもって業務に取り組んで欲しいと思います。

二つ目は、新しいものを生み出そうとする気概を常に持って欲しいということです。現状維持ではなく成長していくために挑戦は不可欠ですが、当社の行動規範にもある「挑戦」に対する意識が、JFE発足当時より希薄になっているように感じています。平均年齢が40才を下回り非常に若返っている中、若手社員ならではの視点や感性で、各人の業務改善にチャレンジしてください。若手社員が失敗を恐れずチャレンジし成長できる職場こそ、理想の職場と考えています。また、そのためには、技能やノウハウを持つベテラン社員によるアドバイスや活発なコミュニケーションが不可欠であることも忘れないでください。

三つ目は、より創造的な仕事にシフトするよう心がけて欲しいということです。ロボティックス等を活用した自動化・機械化により、業務そのものを削減し生産性を向上させることも、限られた労働時間を有効に活用していく手段のひとつです。より創造的な仕事にシフトし、生み出す付加価値を最大化していくために何ができるかを常に考え業務改善に繋げて下さい。そして何より、内向きにならず外に目を向けることのできる社員になって欲しいと思います。

また、家族や社会に誇れる会社になるためには、社員全員が健康で、いきいきと働ける安全な職場づくりが不可欠です。今年はデュポン社のコンサルティング仕上げの年です。第2者監査を操業部門から保全部門に拡大するとともに、これまでに修得した対話型パトロール・災害調査・第1者監査を一層深め実践してください。また、職制・産業保健スタッフ・健康保険組合が緊密に連携しながら、社員一人ひとりの心と身体の健康を高めるよう努めてください。その際、IoTやAI等を活用した新たな安全健康の手法を取り入れることも必要です。これらの活動により、課題の発掘と解決を図り真に『自主自立』した職場づくりに注力してください。防災事故も残念ながら撲滅できませんでした。事故の防止にも引き続き注力してください。

昨年も日本では多くのコンプライアンス違反が発生し、もの作りに対する信頼の根幹を揺るがしかねない状況が続いています。安全・防災・コンプライアンス等、会社として最低限遵守すべき事項を疎かにすると、企業そのものの存続を脅かす事態になりかねないということを強く意識して行動してください。

最後に、労働組合の皆さんに一言申し上げます。不確定要素の多い中ではありますが、様々な変化に柔軟かつスピーディに対応できる、将来にわたり持続的な成長が図れる会社になっていかなければなりません。そのためには労働組合の皆さんのこれまで以上の協力が不可欠です。労使で十分に意思疎通を図り、実現に向けてのご協力をお願い致します。

以上、年頭にあたり所信を申し述べました。本年が皆さんとご家族にとって実り多く健康で幸せな一年となりますよう心から祈念し、新年の挨拶と致します。