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ニュースリリース


JFEスチール株式会社

2016年 JFEスチール社長年頭挨拶

JFEスチール 取締役社長 柿木 厚司
取締役社長(CEO)
柿木 厚司

明けましておめでとうございます。
新年にあたり、ご挨拶を申し上げます。

私はJFEスチール発足後13年目の第5次中期の幕開けと共に社長に就任し、初めての新年を迎えました。JFEスチールの13年間の歩みを振り返ってみますと、前半は統合効果と中国という超大国の成長により拡大していく鉄鋼需要を捕捉することで順調な成果を挙げることができました。また、後半はリーマンショックや東日本大震災等の厳しい環境を乗り越えてきました。更に4次中期からは老朽化・弱体化した設備の更新による製造基盤の整備・充実とコスト競争力の確保や大幅な世代交代に対応した技能継承など企業基盤の再生を推進してきています。

但し、足元では歴史的な経済成長を遂げた中国の成長が減速に転じ、2000年以降初めて経験する鋼材需要の減退局面は、世界の鉄鋼業界に未だ経験したことのないレベルの供給過剰をもたらし国際市況低迷の大きな圧力となっています。直近では中国ミルの大幅赤字転落により、行き過ぎた価格の低迷は徐々に是正されると想定されますが、欧米・日本など先進国がそうであったように、需給ギャップの構造調整には一過性にとどまらず痛みを伴うある程度の時間が必要となるでしょう。特に我々の主戦場であるアジアでは、今後消耗戦の様相が益々深刻化し、コスト競争力・商品開発力を含めてお客様に満足して頂けない企業は明確に淘汰されていく時代となっています。

JFEの目指す姿と2016年の重点課題

私は2016年を、このような消耗戦から脱却し持続的な成長を遂げ飛躍できるかどうかの要の年と位置づけています。我々がグローバルな鉄鋼サプライヤーとして、常に新たな価値を創造しお客様とともに成長し続けるためには、短期的な収益のみにとらわれずに第5次中期計画で掲げた重要施策を推進する必要があります。お客様に寄り添い市場のニーズを捉え、そのニーズを世界最先端の技術力によって実現させることが持続的な成長の源泉であります。今後とも技術力の向上に注力していきたいと思います。

この要の年となる2016年に当社及びグループ会社が一体となって取り組んでいかなければならない重点課題は、以下の4点です。

① 製造実力の回復と向上を果たすこと、
② コスト優位性と世界最先端の技術力を維持・向上すること、
③ 広い意味でのJFEブランドの拡大に努めること、
④ 永続的な成長の源泉である人材の確保・育成と技能伝承を推進することです。

一つ目は、昨年もコークス炉の老朽更新などを着々と推進してきましたが、本年も製造基盤整備には必要な経営資源を積極的に投入していくつもりです。ここでいう経営資源とは資金だけではなく人材も含まれています。特に若手エンジニアの活用を進め、基盤整備と共に未来に活かせる経験を積んで頂きたいと考えています。

二つ目は、将来を見据えた新商品開発・プロセス開発を加速化させるためのあらゆる施策を実行し、最先端の技術的優位性を継続・向上させていきます。足元の課題のみならず中長期的な開発テーマを積極的に推進する風土を築くと共に、その実現に関してはできる限りの経営資源を投入してでもスピード感を持って推進していきたいと思います。

三つ目は、JFEブランドの拡大のために、常にお客様志向・マーケット志向で物事を考え、中長期的な視野で他社に先行した販売戦略を立案・実行し、販技一体でお客様に選ばれる活動を推進します。また、海外の新地域や新分野での事業拡大を促進します。

四つ目は、大幅な世代交代の中で、人材確保・育成、更には生産ノウハウを引き継ぐ技能継承は製造業の命ですので、ここには全精力を注いでいきます。皆さんには先人からの知恵を確実に受け継ぐと共に自らの知恵を積み重ねて未来を創っていって欲しいと思います。

これら4つの重要課題に取り組むことで、JFEスチールはどんな環境下でも持続的に成長し続けていけるものと確信しています。

2016年の行動指針

この重点課題に取り組むにあたり、冒頭に述べたように構造的な需給ギャップが継続する中でコスト競争力や商品開発力を含めてお客様に満足して頂けない企業は淘汰されるという現状の難局の本質を全社員が共有化し、全社員が一丸となってベクトルを合わせ、知恵・知識を結集して、この難局を打破する必要があります。その際に、3点を心がけて欲しいと思います。

一つ目は、社員一人ひとりがプロフェッショナルであるという自覚と誇りを持って自分の業務に取り組むことです。

二つ目は、今までの仕事のやり方を継続するだけでなくワークスタイルを変革し、より創造的な仕事に取り組む時間を創出することです。

三つ目は、年齢・世代・立場・部門を超えた双方向のコミュニケーションの活性化により、誰もが自分の役割を理解し責任感を持ってその役割を果たすことです。更に各部門長はそのコミュニケーションの活性化を率先して実践してください。 一人ひとりが働き甲斐を感じて、自分の設備、自分の商品、自分の組織に誇りを持つことが、JFEスチールを誰もが誇れる会社とすることの原点であると考えています。

JFEスチールを誇れる会社にするためには、安全で事故のない職場作りは最重要課題です。昨年も重大災害が3件発生し2名の方の尊い命が失われました。誠に残念でなりません。職場内の対話と意思疎通を心掛け、自ら職場の課題を見つけ出し、安全な作業・設備に改善していくことのできる、自立した職場を目指してください。更に防災事故も残念ながら昨年も発生しております。事故を防止することにも注力してください。また、昨年世間を騒がせたコンプライアンス違反を他社のことと思わず、自ら発生させないことも重要です。安全、防災、コンプライアンスについて事故や違反を起こさないよう、今一度、原点に立ち戻って決意を新たに気を引き締めて頂きたいと思います。

最後になりましたが、労働組合の皆さんに一言申し上げます。先ほど申し上げたとおりの厳しい経営環境下で個々の経営課題に対応していくためには、労働組合の皆さんの協力が不可欠です。労使で十分に意思疎通を図り、全社一丸となってこの難局を乗り切るべく、ご協力をよろしくお願い致します。

以上、年頭にあたり、所信を申し述べました。本年が皆さんとご家族にとって実り多く、健康で幸せな一年となりますよう心から祈念し、新年の挨拶といたします。