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ニュースリリース


JFEスチール株式会社

2015年 JFEスチール社長年頭挨拶

JFEスチール 取締役社長 林田 英治
取締役社長(CEO)
林田 英治

明けましておめでとうございます。
新年にあたり、ご挨拶申し上げます。

昨年の国内経済は、消費増税の影響もあり低水準の経済成長に留まりましたが、鋼材内需は全般的に引き続き堅調に推移しました。このような中、当社グループは第4次中期経営計画の最終年として、計画に掲げた諸課題に地道に取り組むとともに、製造実力を取り戻すための活動に注力しました。その結果、2014年度の収益は2年連続の増益が見込まれています。これもひとえに当社およびグループ会社・協力会社の皆さんのこれまでの真摯な努力のおかげであり、改めて心より感謝申し上げます。
しかし、残念ながら第4次中期経営計画の収益目標としている売上高経常利益率(ROS)10%の達成は難しい状況です。当社を取り巻く環境についても、中国の鋼材需要の低迷などから、世界の鋼材市場における供給過剰問題は深刻化しています。また、堅調な国内需要も、労働力・資材不足による建設工事の遅れに伴う鋼材需要への影響懸念や電力をはじめとするコストアップのリスクなどもあり、依然として楽観視できない状況であると認識しています。
そのような状況だからこそ、現在策定中の第5次中期経営計画で掲げる目標の達成を目指して、より一層の収益力強化に向けた活動を加速させ、緒戦となる本年を全社一丸となって成功裡に導かなければなりません。

本年の重要課題

第5次中期経営計画においても、私たちが長期的に目指していく方向性は今までと変わりません。私たちは中長期のビジョンとして『常に新たな価値を創造し、お客様とともに成長するグローバル鉄鋼サプライヤー』を目指していきます。また、そのビジョンの実現に向けては、以下に述べる三つの基本方針を掲げて進めていきます。

①「お客様志向」でJFEブランドの価値を高め、グローバルに展開する
② 地球環境との共存を図るとともに、地域社会との共生・共栄を実現する
③ 先達から引き継いだ「知」・「技術」を確実に未来の世代につないでいく

皆さんにはこの三つの基本方針を常に念頭において、それぞれの持ち場で高い意識と情熱を持って自立的に諸課題に取り組んでいただきたいと思います。
特に、第5次中期経営計画の大事な初年となる本年に、当社およびグループ会社が一体となって取り組んでいかなければならない重点課題を四点申し上げます。

一つ目の課題は、製造実力を徹底強化し、世界で勝負するためのコスト競争力を確保していくことです。競争の場がグローバル化していく中で、競合他社と伍していくためには、当社グループの全ての製造拠点において競争力の源泉となる強い製造基盤の確立が必須です。特に国内の製鉄所・製造所については、今まで経営資源を投入してきた製造基盤整備の効果を確実に発現させて生産安定化を早期に実現し、必要な老朽更新投資を着実に実行してその効果を継続させていかなければなりません。同時にそのような確固とした基盤のもと、コスト競争力の強化につながるアイデアを絶えず生み出し具体的な活動に展開し続けることで、グローバル競争を勝ち抜いていかなければなりません。

二つ目の課題は、お客様ニーズを捉えた商品、新たな需要を喚起する商品の開発・拡販を推進していくことです。新興国のライバルたちの技術力はこれからますます私たちを追い上げてくることが想定されます。また鉄以外の素材商品との競争も一段と激化しつつあります。そのような状況で勝ち続けていくには、営業・研究・製造など全ての部門が十分に連携してお客様ニーズに応えていくことが必要です。お客様とのコミュニケーションを更に充実させ、多様化するニーズにきめ細やかに対応した商品を適切なタイミングで開発し、サービスも含め、お客様とともに成長を分かち合えるような価値を提案・提供し続けなければなりません。

三つ目の課題は、JFEブランドの浸透・拡大に向けた活動を地道に推進していくことです。「お客様志向」の活動を継続・向上させ、コスト競争力・商品力を含めた総合力としての「JFEの良さ」を最大化していくことが、お客様の利益につながるとともに、ひいては私たちに返ってきます。全ての部門の皆さん一人ひとりが「お客様志向」の意識を高め、それぞれの活動の中で具現化していただきたいと思います。
また、JFEブランドの拡大には、国内外のグループ会社が一体となって戦略連携を強化していく取り組みが必要です。海外展開については、一昨年に稼動し順調に生産を伸ばしているタイのJSGT社や建設中のインドネシアのJSGI社において、計画通りに高品質な商品を製造しお客様に満足いただけるようになることが大きな成果の一つとなります。第5次中期経営計画で立案する海外事業戦略を着実に推進し、一つひとつ成果を積み重ねて、国内外ともにJFEブランドを当社グループの成長の確かな原動力にしていかなければなりません。

四つ目の課題は、前述の三つの課題に対応するための必要な基盤として、技能伝承と人材育成に引き続き真摯に取り組んでいくことです。会社が成長していくために必要な要素の中で最も大切なものは「人材」であると考えます。「人材」なくして会社の成長はあり得ません。今後数年の年齢構成の急激な変化を考えると、今や「待ったなし」の喫緊の課題です。自ら研鑽する心を忘れず、部門間・会社間といった横のつながりだけでなく、過去から未来に、上司から部下に、先輩から後輩に「知」・「技術」のバトンをつないでいく縦のつながりも意識しながら、日々の業務に取り組んでいただきたいと思います。会社としても最重要課題と認識し、技能伝承・人材教育の施策に引き続き注力してまいります。加えて、女性社員や外国人社員が活躍しやすい環境作りといったダイバーシティーの推進にも今まで以上に取り組んでまいります。

結びに

「安全」について申し上げます。昨年は重大災害が発生し、尊い命が失われてしまいました。あってはならないことであり、誠に残念でなりません。大いに反省し再発防止のために一層の対策を進めてまいります。
私たちの全ての活動の大前提として、まず、「安全最優先」の理念が、現場で働く全員に浸透し、日々の活動において具現化していることが必要です。この理念にしたがって自立的に行動し「安全の意識が高く、行動でも示せる人」になってください。更に現場で働く全ての仲間とのコミュニケーションのPDCAを回してください。「ご安全に」の声掛けに加えて、安全の留意事項、依頼の内容など相手の理解度の確認や、相手の気づきを促し行動を起こさせる会話ができれば、更に仲間への思いやりも深まり、よりしなやかで強い現場になると思います。

最後になりましたが、労働組合の皆さんに一言申し上げます。
先ほど申し上げたとおり、本年は将来の成長に向けた基盤作りをおこなう重要な年であり、個々の経営課題を着実に対処していくためには、労働組合の皆さんの協力が不可欠です。
取り巻く経営環境は引き続き不透明ですが、人材育成を着実に推進し、より安全で強靭な現場作りに取り組んでまいりますので、ご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。

以上、年頭にあたり、所信を申し述べました。
本年が皆さんとご家族にとって実り多く、健康で幸せな一年となりますよう心から祈念し、新年の挨拶といたします。