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ニュースリリース


JFEスチール株式会社

2014年 JFEスチール社長年頭挨拶

JFEスチール 取締役社長 林田 英治
取締役社長(CEO)
林田 英治

明けましておめでとうございます。
新年にあたり、ご挨拶申し上げます。

昨年の国内経済環境は、超円高の是正に加え緊急経済対策効果や消費増税前の駆込み需要により好転し、鋼材内需も景気の回復を背景に、建設や自動車分野を中心に高い水準で推移しました。一方、海外に目を向けると、欧州債務危機の長期化や新興国経済の減速傾向が続きました。経済の停滞による需要の伸び悩みに加え、アジアで新規設備の稼動が予定されていることもあり、世界市場における鋼材の供給過剰傾向は当面続くことが想定されます。また、足元では好調な内需ですが、消費増税後の反動が予想されることもあり、鉄鋼業を取り巻く環境は依然として厳しい状況であると認識しています。


昨年の取り組み

昨年は、第4次中期経営計画2年目として、引き続きコスト競争力の向上による国内収益基盤の強化に取り組みました。当社およびグループ会社・協力会社の皆さんの一丸となった努力のおかげで、昨年度に引き続き1000億円規模のコスト削減に目処をつけ、今年度の収益は大きく回復することが見込まれています。しかしながら、まだまだ満足できる収益レベルとはいいがたく、更なる収益力向上を図っていくことが必要です。そのためには、昨年から一層力を入れて取り組んでいる国内の製造基盤強化の成果を確実に発現させなければなりません。

海外の活動については、タイJSGTの自動車用CGLを計画通り立上げたほか、インドネシアの自動車用CGL建設を開始するなど、グローバル化に向けた取り組みを着々と実行しています。

本年の重要課題

冒頭で申し上げたとおり本年の経営環境は決して楽観視できる状況ではなく、第4次中期経営計画の最終年度として、設定した諸課題の達成を目指して取り組みを強化していかなければなりません。加えて、次の第5次中期経営計画の策定に向けて、経営統合という最初の大きな「挑戦」以来の「第2の挑戦」として次の10年の成長・発展のための礎を築かなければなりません。

以下、将来の成長・発展のために、本年、当社および国内外のグループ会社が一丸となって取り組むべき三つの重点課題について申し上げます。

一つ目の課題は、国内や世界のライバルとの競争を勝ち抜くための大前提として、国内製鉄所・製造所強靭化のための製造基盤整備を徹底的に行うことです。製造実力の世界トップを目指すためには、現場、設備、品質それぞれについて徹底して強化していかなければならず、安定操業を確立し生産性を向上させることが基本中の基本です。必要な経営資源を投入していきますので、製造基盤の足腰を徹底的に鍛えて下さい。また、現場力の強化には技能伝承と人材育成が欠かせません。会社としても最重要課題のひとつとして捉えており、テクニカルエキスパートの配置や研修制度の見直しなどに取り組んでいます。技能を伝える側も受け取る側もその重要性を認識して真摯に取り組んでいただきたいと思います。

二つ目の課題は、JFEブランドに徹底的に磨きをかけることです。私たちが厳しい競争環境の中で生き残っていくためには、国内外のお客様に愛され続けなければなりません。そのためにはお客様機軸を徹底し、今まで以上にお客様とのつながりを大切にしていく必要があります。お客様ニーズを踏まえて、先々を見据えた商品開発に取り組み、商談・商品設計から製造・デリバリー・品質保証までの一貫したサービス・サポート体制を強化し、コスト競争力のある魅力的な商品を提供し続けなければなりません。営業部門、研究部門、製造部門など全ての部門のみなさん一人ひとりがお客様機軸を常に忘れずに一丸となって業務に取り組んで下さい。

三つ目の課題は将来を見据えて、海外戦略を着実に実行していくことです。 それにはまず、今まで当社グループが取り組んできた海外事業の成果を目に見える形で実現していかなければなりません。その上で、常に新たな成長の機会を求め、拡大する世界の鋼材需要を捕捉するための戦略を着実に実行していく必要があります。私たちの将来の主戦場は国内市場だけでなく海外市場でもあることを念頭に置いて取り組んでいくことが重要です。

心がけて欲しいこと

以上の課題に取り組む際に心がけて欲しいことを二点申し上げます。

一つ目は、私が社長就任以来何度も申し上げていることですが、高い志と情熱を持って、一人ひとりがより高い目標を設定し取り組んでいただきたいということです。経営資源には限りがありますが、創造力は無限です。しかしその創造力は志と情熱がなければ十分に発揮されません。是非、みなさんには高い志と情熱をもって新しいことに挑戦していただきたいと思います。

二つ目は、自分に関連する業務・制度などについて徹底して変革するという意識を持って取り組んでいただきたいということです。当社も設立以来10年以上が経過し、社内風土や制度・業務などさまざま面でほころびや硬直化した部分が見られてきているのではないかと思います。私自身もそうですが、みなさん一人ひとりにおいても常にそのような意識を持ち、活動につなげていただきたいと思います。

結びに

安全について申し上げます。私たちのすべての活動の大前提として、まず、「安全最優先」の理念を、現場で働く全員が理解し、日々の活動において具現化することが必要です。たとえ誰も見ていなくとも「安全最優先」にしたがって自律的に行動し、お互いに共感しあい信頼感を醸成できる職場にして下さい。さらに当社の社員のみならず、現場で一緒に働くすべての仲間とのコミュニケーションのPDCAを実行して指示・依頼・要請が確実に伝わっていることを確認し、不備・不足があれば納得いくまで話し合い、着実に課題を解決して下さい。

最後になりましたが、労働組合の皆さんに一言申し上げます。 引き続き厳しい経営環境が続きますが、この状況を乗り越え、足元の経営課題に対応していくためには、労働組合の皆さんの協力が不可欠です。労使で十分に意思疎通を図り、真に安全で強い製造現場の確立に向け、これまで以上のご協力をいただきたく、本年もよろしくお願い致します。

以上、年頭にあたり、所信を申し述べました。 本年が皆さんとご家族にとって実り多く、健康で幸せな一年となりますよう心から祈念し、新年のあいさつといたします。