2013年04月19日
  • JFEスチール株式会社

「フェロコークス」長期製造試験と実高炉における使用試験の実施について

当社はこのたび、革新的な高炉原料である「フェロコークス」の製造プロセス技術開発の一環として、東日本製鉄所(京浜地区)に建設したパイロットプラント(*)で長期製造試験を実施し、安定的に製造できることを確認しました。また、実高炉におけるフェロコークスの使用試験を5日間行い、安定操業を維持しつつ還元材比およびコークス比が低減できることを確認しました。

「フェロコークス」とは、低品位の石炭と鉄鉱石を原料とし、成型、乾留によりコークス中に金属鉄を分散させた高炉原料です。金属鉄が高炉での還元反応の速度を速めるため、従来よりも少ないコークス量(炭素量)で酸化鉄を還元できることから、二酸化炭素排出量の大幅削減と省エネルギーを実現できます。また、劣質石炭・劣質鉱石など幅広い資源を活用することができます。

パイロットプラントは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)(2011年度からは経済産業省)による「資源対応力強化のための革新的製銑プロセス技術開発」プロジェクトとして建設しました。鉄鉱石と石炭の複合成型物を竪型炉で乾留、還元するのは世界でも初めてのプロセスです。成型物の強度確保、竪型炉の温度制御など多くの課題を克服し、長期間(約1ヶ月)安定的に高品質のフェロコークスを製造する技術を実証することができました。
 開発の経緯は以下の通りです。


2011年4月 一部設備が稼働、試験開始
2011年度末~2012年4月 全工程の一貫操業試験
2012年4月~2013年2月 長期製造試験(7段階、約1ヶ月の連続操業を反復)

長期製造試験により製造、備蓄した約2,100トンのフェロコークスを用いて、東日本製鉄所(千葉地区)第6高炉(炉容積5,153m3)にて2013年3月11日から5日間の使用試験を実施しました。高炉でのコークス使用量の約10%をフェロコークスに置き換え、高炉操業に及ぼす影響を評価しました。高炉内のガス流通の悪化や溶銑温度の変動が懸念されましたが、フェロコークスの強度確保、高炉への装入方法の適正化により、高炉操業に悪影響を及ぼすことなく実験を終了することができました。同時に、フェロコークスの使用により、還元材比、コークス比が計画通り低下することを実証しました。これにより、「フェロコークス」製造プロセスのパイロット規模での基盤技術を確立し、今後、実用化にむけてさらに開発を推進していきます。

当社は、資源循環社会の構築により、地球環境に一層寄与していくために、更なる技術開発を進めてまいります。

(*) パイロットプラント(図参照): 石炭、鉄鉱石を乾燥、成型する前工程と循環ガスによりガス加熱する乾留工程から構成され、コークス中に金属鉄(50μm)が分散したフェロコークスを製造する。

建設期間 2009年12月~2011年9月
製造能力 フェロコークス:30トン/日
フェロコークス 鉄含有量: 約30%、大きさ: 6cc
設備概要 ①石炭の粉砕および鉄鉱石との混合・乾燥・加熱を行う原料設備
②バインダー(鉄鉱石と石炭を結び付ける接合材)を添加後混練・成型を行う成型設備
③循環ガスによりガス加熱を行う乾留炉(縦型炉)
④ガス処理設備
⑤製品置場

【図】フェロコークス製造プロセスフロー

フェロコークス製造プロセスフロー

【写真1】パイロットプラント全景

パイロットプラント全景

【写真2】フェロコークス

フェロコークス

 

【補足資料】「フェロコークス」について

高炉では、通常のコークスの一部を「フェロコークス」に置き換えて使用します。操業中の高炉内では、一酸化炭素(CO)による鉄鉱石(焼結鉱)の還元反応の進行により、二酸化炭素(CO2)が発生しています。「フェロコークス」内部に含まれている超微粒の金属鉄は、このCO2がコークス(C)と反応し還元ガス(CO)を再生成する反応(C+CO2=2CO)の触媒(*1)となり反応速度を大幅に向上させます。その結果、CO濃度が上昇し、鉄鉱石(焼結鉱)の還元反応は低温度でも進行するようになり、少ないコークスで酸化鉄の還元ができ、還元材比の大幅な低減が期待でき、CO2排出削減、省エネに寄与します。(図2参照)

我が国鉄鋼業においては、長期的かつ安定的な原料調達が極めて重要な課題のひとつであり同時に、中長期的に大幅なCO2排出抑制が求められています。これらの課題解決のために、2006年11月より2009年3月まで新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「革新的製銑プロセスの先導的研究」が産官学共同で進められました。今回のプロジェクトはこの先導研究の成果を発展させ、実用化技術の開発を目指すものです。

本プロジェクトにおいて、当社はパイロットプラントでの製造技術の開発を担当し、東日本製鉄所(京浜地区)にて日量30トンのパイロットプラントでの製造技術を確立、高炉での評価試験を実施しました。また、鉄鉱石と石炭と結びつけるバインダーの開発を(株)神戸製鋼所が、高炉操業プロセスの開発を新日鐵住金(株)が担当しています。プロジェクト「エネルギーイノベーションプログラム/資源対応力強化のための革新的製銑プロセス技術開発」の助成を受けて、当社を含む高炉3社の他、東北大学など主要な大学との産学連携で2009年度~2012年度の間で開発を行いました。なお、2011、12年度は経済産業省からのエネルギー使用合理化先進的技術開発費補助金事業として開発しました。



(*1) 触媒作用: 金属鉄(Fe)が酸化反応(1)、還元反応(2)を繰り返すことにより、全体として
の反応(3)を促進する。
CO2 + Fe = FeO + CO ・・・(1)
C + FeO = Fe + CO ・・・(2)
C + CO2 = 2CO ・・・(3)

【図2】フェロコークス使用によるCO2削減

フェロコークス使用によるCO2削減

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JFEスチール(株)総務部広報室 TEL 03 (3597) 3166