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JFEスチール株式会社

平成25年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞
~施工性に優れたスプレー移行型炭酸ガスアーク溶接技術の開発~

このたび、当社が大阪大学と共同開発した「施工性に優れたスプレー移行型炭酸ガスアーク溶接技術」が、平成25年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰(*1)科学技術賞(開発部門)を受賞し、本日、文部科学省(東京・千代田区)にて表彰式が行なわれました。当社の文部科学大臣表彰受賞は、2年ぶりとなります。受賞案件、受賞者は以下の通りです。

受賞案件: 「施工性に優れたスプレー移行型炭酸ガスアーク溶接技術の開発」  
受賞者: JFEスチール(株) スチール研究所 接合・強度研究部 主任研究員 片岡時彦
  JFEスチール(株) スチール研究所 接合・強度研究部 主任研究員 池田倫正
  JFEスチール(株) スチール研究所 主席研究員 安田功一
  大阪大学大学院工学研究科 マテリアル生産科学専攻 教授 平田好則

炭酸ガスアーク溶接法(*2)は、これまでアークを比較的安定して維持できることから逆極性溶接(ワイヤがプラス極)が適用されてきました。しかし、溶接時に発生する溶融金属の飛散物(スパッタ)が多いことが最大の課題であり、加えて施工能率のさらなる向上も要望されていました。この要望に対し、アークが著しく不安定であることから適用されてこなかった正極性溶接(ワイヤがマイナス極)の課題を、REM(希土類金属)をワイヤに適量添加する制御技術を確立することにより克服しました。

本開発の溶接技術は、既に『J-STAR® Welding』(JFE Spray Transfer Arc Welding)の商品名で展開しております。

『J-STAR® Welding』の主な特長は以下の通りです。
溶接時の飛散物(スパッタ)低減(従来の約1/10)、および凹凸の少ない安定した溶接ビード形状の実現による溶接精度の向上
溶接部の開先断面積削減による溶接ワイヤの低減および溶接時間の短縮
溶接アーク音の静粛化、および溶接ヒューム(*3)発生量の低減(いずれも従来の約1/2)による溶接作業環境の改善
溶接表面の酸化物(スラグ)の剥離性向上による除去作業の低減

『J-STAR® Welding』はこれらの利点を生かし、橋梁工事での鋼管の円周溶接や大型タンカーの板継ぎ溶接に採用されています。更に、既存のガスシールドアーク溶接機で効果が得られるため、新たな設備投資が不要であり、建築・鉄骨・橋梁・造船・建機と幅広い分野での用途拡大を推進しています。

今回の受賞は、炭酸ガスアーク溶接において、従来適用されてこなかった正極性溶接(ワイヤがマイナス極)での溶接制御技術を確立することで、溶融ワイヤ(溶滴)の微細化による連続的かつ安定した溶接(微細スプレー移行)を世界で初めて実現したことが高く評価されたものです。

当社は今後もさらなるお客様のご要望にお応えするとともに、高能率化、CO2削減による地球環境保護に貢献してまいります。

(*1) 科学技術分野の文部科学大臣表彰:
   科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的としている。

(*2) 炭酸ガス(CO2)アーク溶接法:
   アーク溶接法の主流を占める安価・高能率溶接技術。アークと溶融金属を大気中の窒素から保護(シールド)するため、炭酸ガス(CO2)を使用する。

(*3) 溶接ヒューム:
   溶接中のアークにより金属蒸気が発生し、大気によって冷却・酸化され、微細な多数の固体粒子(煙状)となって上昇するものです。

平成25年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞
本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール(株) 総務部広報室 TEL 03 (3597) 3166

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