2012年3月23日
  • JFEスチール株式会社

大河内賞を3年連続で受賞
~超低スパッタ正極性炭酸ガスアーク溶接技術の開発~

当社の開発した「超低スパッタ正極性炭酸ガスアーク溶接技術」が、(財)大河内記念会(理事長:吉川弘之 科学技術振興機構研究開発戦略センター長)より第58回(平成23年度)大河内記念技術賞を受賞し、本日、日本工業倶楽部会館(東京・千代田区)にて贈賞式が行なわれました。大河内記念技術賞は、生産工学、生産技術の研究により得られた優れた発明または考案に基づく産業上の顕著な業績に与えられるものです。当社の大河内賞受賞は、一昨年の大河内記念生産賞、昨年の大河内記念賞に引き続き3年連続となります。

1.受賞理由
 今回の受賞は、炭酸ガスアーク溶接(*1)において、従来適用されてこなかった正極性溶接(ワイヤがマイナス極)での溶接制御技術を確立することで、溶融ワイヤ(溶滴)の微細化による連続的かつ安定した溶接(微細スプレー移行)を世界で初めて実現したことが高く評価されたものです。

2.開発の経緯
 炭酸ガスアーク溶接法は、これまでアークを比較的安定して維持できることから逆極性溶接(ワイヤがプラス極)が適用されてきました。しかし、溶接時に発生する溶融金属の飛散物(スパッタ)が多いことが最大の課題であり、加えて施工能率のさらなる向上も要望されていました。この要望に対し、アークが著しく不安定であることから適用されてこなかった正極性溶接(ワイヤがマイナス極)の課題を、REM(希土類金属)をワイヤに適量添加する制御技術を確立することにより克服しました。

3.開発内容
 本開発の溶接技術は、既に『J-STAR® Welding』(JFE Spray Transfer Arc Welding)の商品名で展開しております。
 『J-STAR® Welding』の主な特長は以下の通りです。

1. 溶接時の飛散物(スパッタ)低減(従来の約1/10)、および凹凸の少ない安定した溶接ビード形状の実現による溶接精度の向上
2. 溶接部の開先断面積削減による溶接ワイヤの低減および溶接時間の短縮
3. 溶接アーク音の静粛化、および溶接ヒューム(*2)発生量の低減(いずれも従来の約1/2)による溶接作業環境の改善
4. 溶接表面の酸化物(スラグ)の剥離性向上による除去作業の低減

『J-STAR® Welding』はこれらの利点を生かし、橋梁工事での鋼管の円周溶接や大型タンカーの板継ぎ溶接に採用されています。更に、既存のガスシールドアーク溶接機で効果が得られるため、新たな設備投資が不要であり、建築・鉄骨・橋梁・造船・建機と幅広い分野での用途拡大を推進しています。

当社は今後もさらなるお客様のご要望にお応えするとともに、高能率化、CO2削減による地球環境保護に貢献してまいります。

(*1) 炭酸ガス(CO2)アーク溶接: アーク溶接法の主流を占める安価・高能率溶接技術。アークと溶融金属を大気中の窒素から保護(シールド)するため、炭酸ガス(CO2)を使用する。

(*2) 溶接ヒューム: 溶接中のアークにより金属蒸気が発生し、大気によって冷却・酸化され、微細な多数の固体粒子(煙状)となって上昇するものです。





 

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JFEスチール(株)総務部広報室 TEL 03 (3597) 3166