2010年8月5日
  • JFEスチール株式会社

粉末冶金用高強度ニッケルフリー合金鉄粉「FM1300」を開発

当社はこのたび、ニッケル(Ni)を含有せずに高強度かつ切削性に優れる焼結材料となる粉末冶金用合金鉄粉「FMシリーズ」について、従来品よりも強度の高い1300MPaの引張強さを発揮する「FM1300」を開発しました。

従来、自動車用などの高強度の鉄系焼結部品を製造する場合には、合金元素としてニッケル粉が多く利用されてきました。ニッケル粉を添加すると強度が向上する一方、焼結時の拡散不足により高強度と低強度の組織が混在し、切削性が悪く加工費が増加するという問題がありました。また、使用されるニッケル粉末の価格変動や安定調達なども課題となっています。

当社では、ニッケルを含有せずに高強度の焼結部品を実現する「FM600」と「FM1000」を2007年に商品化し、このうち「FM600」については既に自動車用焼結部品に採用されています(写真)。今回、焼入れ性の高いモリブデン(Mo)の合金組成および合金化方法を最適化することにより、1300MPaの引張強さと切削性を両立させることに成功し、「FM1300」としてFMシリーズの製品群に追加しました。

「FM1300」という高強度の製品開発により、従来適用されてきた部品に加え、今後小型化・軽量化が期待される自動車のエンジン・駆動系部品への適用拡大を図るとともに、シリーズ化によってお客様の多様なニーズに応えられる体制を整備してまいります。これにより、現在月間30トン程度のFMシリーズの生産量を、2014年には月間300トン程度にまで拡大することを目指します。また、2010年度中にはFMシリーズの更なるラインナップの拡充も予定しています。

当社は今後も鉄粉の新たな需要分野の開拓、普及を図ると共に、更に高品質、高機能の商品開発に注力し、お客様の利便性の向上に努めてまいります。

 

<FMシリーズの概要>

【FM600】
 低Mo系合金鉄粉に銅粉を配合した混合粉。お客様にて通常の焼結方法にて焼結が可能。1130℃の焼結を行った焼結体は、組織が均一のため、従来ニッケル系合金鉄粉に比べ5倍以上良好な切削性と、600MPa以上の引張強度を有する。
【FM1000】
 低Mo系合金鉄粉に銅粉を配合した混合粉。お客様にて1130℃の焼結を行った焼結体は、従来ニッケル系合金鉄粉に比べ5倍以上良好な切削性を有する。その後浸炭・焼き入れ・焼き戻し(*)したものは、1000MPa以上の引張強度を有する。
【FM1300】
 低Mo系合金鉄粉の粒子表面に再度Moを偏在させたまだら構造を持つ鉄粉。お客様にて1250℃の高温焼結を行った焼結体は、従来ニッケル系合金鉄粉に比べ良好な切削性を有する。その後浸炭・焼き入れ・焼き戻ししたものは、1300MPa以上の引張強度を有する。

(*)浸炭・焼き入れ・焼き戻し : 加工後の部品表面の強度を高めるために行う熱処理方法

【写真】FM600使用例(ミッション部品)
FM600使用例(ミッション部品)
  【図】FMシリーズの特性FMシリーズの特性グラフ

以上

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JFEスチール株式会社 総務部広報室 TEL 03 (3597) 3166