2010年3月12日
  • JFEスチール株式会社

高耐震性高強度鋼の開発で第42回市村産業賞貢献賞を受賞~建築構造用550N/mm2TMCP鋼材 『HBL®385』

当社はこの度、建築構造用550N/mm2TMCP鋼材 『HBL®385』で、財団法人新技術開発財団(総裁:寬仁親王殿下)から「第42回(平成22年)市村産業賞(注1)貢献賞」を受賞しました。贈呈式は、4月28日にホテルオークラ東京にて行なわれます。

1.受賞内容:

件名 超高層ビルの安心・安全・省資源設計施工に対応した高耐震性高強度鋼の開発
第42回 市村産業賞 貢献賞

2.受賞理由:

今回受賞した建築構造用550N/mm2TMCP鋼材 『HBL®385』は、引張強さ550N/mm2級(降伏耐力385N/mm2)の高強度鋼でありながら優れた耐震性と溶接性を有しています。耐震安全性とコストダウンの両立を実現し、超高層建築を中心に幅広く普及していることが評価されました。

3.受賞技術の概要:

建築物に使用される鋼材は、引張強さ490N/mm2級(降伏耐力325N/mm2)の鋼材が一般的ですが、超高層建築では、板厚が厚くなるため鋼材重量の増加や溶接施工時の負荷増加の問題がありました。
 このため高張力であり、かつ優れた耐震性と溶接性を有する鋼材の開発が望まれていました。このニーズに対応して当社が開発した550N/mm2TMCP鋼材が『HBL®385』です。

『HBL®385』は以下の特徴を持っています。

(1) 高張力、耐震性、溶接性の実現
  製造過程でオンライン加速冷却装置Super-OLAC®(注2)を活用することにより、降伏耐力385N/mm2と高強度でありながら低降伏比(80%以下)、母材のシャルピー衝撃試験値70J(0℃)以上を実現しており、耐震性に優れた鋼材です。また溶接性も良好であり、組立溶接、付属金物の溶接、スタッド溶接などの硬く脆くなり易い急熱急冷の溶接や溶接時の予熱管理も降伏耐力325N/mm2級鋼材(SN490など)と同じレベルで行うことができ、幅広いファブリケーターにおいて鉄骨加工が可能です。さらに、大入熱溶接が適用される溶接組立箱型断面柱の角部でも高い靭性を確保することが出来ます。

(2) コストダウンの実現
  鋼材強度あたりの経済性に優れており、490N/mm2TMCP鋼と比較した場合、高強度化のメリットにより鋼材の重量を約15%低減することが可能です。また、溶接工数、輸送重量等の低減にも寄与します。

(3) 幅広いサイズ
  製造可能な鋼板厚さが19mmから100mmと幅広いため、広いサイズ範囲の柱や梁への適用が可能です。

(4) 幅広い用途
  『HBL®385』は豊富な商品ラインナップを有し、厚鋼板の他に、円形鋼管(P‐385)や冷間成形角形鋼管『PコラムG385』(株式会社セイケイとの共同開発)にも加工されています。これらは鉄骨鉄筋コンクリートやコンクリート充填鋼管にも使用されています。

『HBL®385』の需要は急速に増大しており、超高層建築物や大スパン構造物などの大型建築物を中心に柱(溶接組立四面ボックス柱)や、梁(組立溶接H形梁)に数多く採用されています。

『HBL®385』は東日本製鉄所京浜地区と西日本製鉄所福山地区の厚板工場を対象に、国土交通大臣認定(注3)を取得しております。また、『PコラムG385』は株式会社セイケイにて国土交通大臣認定を取得しています。

 

(注1) 市村産業賞: 新技術開発財団(市村財団)は、リコー(株)の創始者である故市村清氏の意思のもと、内閣総理大臣により設立許可され、昭和43年に設立されました。同財団は故人から私財の寄贈を受け、以来30年以上にわたり新技術開発の助成ならびに市村産業賞・市村学術賞の贈呈などを行っています。

(注2) Super-OLAC®:理論限界相当の高冷却速度、高精度冷却機能を有するオンライン加速冷却設備。JFEスチールのオンリーワン先端技術であり、東日本製鉄所京浜地区、西日本製鉄所倉敷地区・福山地区の厚板工場に導入済み。平成14年度 大河内記念技術賞、岩谷直治記念賞を受賞。

(注3) 国土交通大臣認定:建築基準法第37条に基づく国土交通大臣認定。

JFEスチールは、今後も、より環境にやさしく、より使いやすい建築構造用高張力鋼の開発に尽力し、社会に貢献してまいります。

【補足資料】

『HBL®385』による鉄骨製造コスト・環境負荷の低減効果

『HBL®385』による鉄骨製造コスト・環境負荷の低減効果
HBL®385(引張強さ550N/mm2)は、引張強さ490N/mm2TMCP鋼を使用した場合に比べ、鉄骨重量の削減、溶接工数、輸送重量の低減等により鉄骨コストと環境負荷を低減できます。

以上

本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール株式会社 総務部広報室 TEL 03 (3597) 3166