2009年3月11日
  • JFEスチール株式会社

建築構造向け大入熱溶接用高HAZ靭性鋼板 出荷累計10,000トン達成

この度、当社が開発しました建築構造向け大入熱(だいにゅうねつ)溶接用高HAZ(こうはず)靭性(じんせい)(注1)鋼板の出荷量が、JFEスチール発足の2003年4月からの累計で10,000トンを突破しました。本鋼材は、設計基準強度325~440N/mm2まで対応可能の高強度厚鋼板で、建築物の高層化、大スパン化、複合化が進み、耐震性の要求も高まる中でお客様から高い評価を頂き、実績を重ねて参りました。新丸の内ビルディング(設計:株式会社 三菱地所設計殿)(注A)、ミッドランド スクエア(設計:株式会社 日建設計殿)(注B)等の、超高層建築物の柱材(溶接組立四面ボックス柱)にも採用されました。

近年、建築物の高層化・大スパン化・複合化に伴い、鉄骨構造はより強度が求められるようになり、四面ボックス柱も厚肉・高強度の鋼材が使用されるようになっております。また、兵庫県南部地震以降、耐震性向上のため、鉄骨構造溶接部の高靭性化が強く求められています。しかしながら、四面ボックス柱においては溶接組立の際にエレクトロスラグ溶接やサブマージアーク溶接(注2)等の大入熱溶接が必要となり、溶接部が長時間高温にさらされるため、溶接部の高靭性化に限界がありました。

当社では、この問題を解決するために、独自のHAZ組織制御技術、「JFE EWEL®」(注3)を開発し、建築、造船等の各分野に応じた大入熱溶接用高HAZ靭性鋼板を開発・実用化しました。
 JFE EWEL®の特長は以下の通りです。

世界最高速の冷却速度を有する高精度水冷装置Super-OLAC®(注4)を活用した鋼板製造時の加速冷却温度制御により、「鋼板組成の最適設計」を実現
鋼中微細粒子(注5)の最適利用により、「HAZ組織の微細化」を実現
マイクロアロイング技術(元素微量添加技術)(注6)による「HAZミクロ組織制御」を実現

なお、JFE EWEL®は第27回日本金属学界技術開発賞(2004年)を受賞しております。

JFEスチールは今後とも建築構造用鋼板の性能向上と施工合理化に貢献する鋼板を開発・供給してまいります。

(注1)高HAZ靭性鋼板(こうはずじんせいこうはん):
大入熱(だいにゅうねつ)溶接時のHAZ靭性が一般鋼よりも優れた鋼板。靭性とは粘り強くて衝撃によく耐える性質のこと。HAZ(Heat Affected Zone)は溶接熱影響部。
(注2)エレクトロスラグ溶接やサブマージアーク溶接:
溶接組立四面ボックス柱を製造する際に使用される溶接方法で、大きな開先を1パスで自動かつ高能率でできる溶接方法。特に、エレクトロスラグ溶接は最も入熱が高くなる超大入熱溶接方法。
(注3)JFE EWEL®(じぇいえふいー・いーうぇる):
鋼構造物の溶接組立を効率的に行うために施す大入熱溶接の、継手熱影響部の靭性劣化を抑制する技術。第27回日本金属学界技術開発賞(2004年)を受賞。
(注4)Super-OLAC®:
理論限界相当の高冷却速度、高精度冷却機能を有するオンライン加速冷却設備。
JFEスチールのオンリーワン先端技術であり、三厚板工場全てに導入済み。
平成14年度 大河内記念技術賞、岩谷直治記念賞を受賞。
(注5)鋼中微細粒子:
窒化物、酸化物、硫化物など、HAZ組織の高靭性化に寄与するもの。鋼板のグレード、要求仕様に応じて使用。
(注6)マイクロアロイング技術:
重量比で数ppm~0.1%程度といったごく微量の添加で効果を有する元素(マイクロアロイ)を用いた材料設計技術。

新丸の内ビルディング
(注A)新丸の内ビルディング:
所在地 東京都千代田区丸の内一丁目5-1
階数 地上38階、塔屋1階、地下4階
建物高さ 最高部197.600m、軒高176.650m
敷地面積 10,021.31m2
建築面積 7,613.99m2
延床面積 195,489.67m2
構造 S造(地上)、SRC造(地下)
用途 オフィス、店舗
建築主 三菱地所(株)
設計者 (株)三菱地所設計
監理者 (株)三菱地所設計
施工者 (株)竹中工務店
着工 2005年03月15日
竣工 2007年04月19日

ミッドランド スクエア(豊田・毎日ビルディング)
(注B)ミッドランド スクエア(豊田・毎日ビルディング):
所在地 名古屋市中村区名駅四丁目7番1号
階数 地上47階、塔屋2階、地下6階
建物高さ 最高部247.000m、軒高237.000m
敷地面積 11,643.15m2
建築面積 8,093.73m2
延床面積 193,450.74m2
構造 S造、一部(SRC造、RC造)
用途 オフィス、店舗、シネコン、ホール・会議室
建築主 東和不動産(株)、トヨタ自動車(株)、(株)毎日新聞社
設計者 (株)日建設計
施工者 (株)竹中工務店、(株)大林組、鹿島建設(株)、清水建設(株)JV
着工 2003年01月26日
竣工 2006年09月29日 オフィス棟

表1 JFEスチールの建築構造向け大入熱溶接用高HAZ靭性鋼板

鋼板 設計基準強度
(N/mm2
引張強度
(N/mm2
SN490C -E 325 490級
HBL325C -E 325 490級
HBL355C -E 355 520級
HBL385C -E 385 550級
SA440C -E 440 590級

【補足資料】

溶接組立四面ボックス柱の模式図

溶接組立四面ボックス柱の模式図

溶接熱影響部組織の模式図

溶接熱影響部組織の模式図

本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール株式会社 総務部広報室 TEL 03 (3597) 3166