2008年8月25日
  • JFEスチール株式会社

鉄系焼結材の切削加工具の磨耗低減材「JFM4」を開発

当社はこのたび、鉄系焼結材*1を切削加工する際の工具磨耗を大幅に低減する添加材「JFM4*2」を開発いたしました。

鉄系焼結材は鉄粉末を焼き固めた材料であるため、材料内部に多数の細かい気孔が分散した構造が特徴です。気孔は熱を伝えにくいため、材料と切削工具の摩擦で発生する摩擦熱が放散されず、鋼板や鋳造・鍛造で製造された鉄系材料を切削する場合に比べて工具が酸化しやすく、磨耗が激しくなります。鉄系焼結材を使った機械部品の製造コスト低減を実現する上で、切削加工費の低減が重要な課題となっています。

「JFM4」は、酸化珪素(SiO2)および酸化マグネシウム(MgO)を主成分とした複数の酸化物からなるミクロンサイズの粉末で、低融点の成分を含むことが特徴です。
 切削加工時、工具は、高速で回転しつつ焼結材表面と接触するため、摩擦熱が発生します。焼結材製造過程で添加された、少量の「JFM4」粉末は、この摩擦熱によって一部の低融点相が融解し、工具表面に付着します。更に工具の回転とともに工具表面に拡がり「JFM4」の被膜を形成します。この被膜は潤滑膜として機能し、工具と焼結材の摩擦を下げ、接触面での工具の磨耗を抑えます。また、微細な「JFM4」が分散した切屑は、微細化が進み、加工面から容易に排除されるため、滑らかな加工面となります。「JFM4」の添加による焼結材自体の強度低下もなく、焼結材を切削加工した切削工具の磨耗量は、無添加材切削時の約4分の1となり、切削工具費の大幅な低減が可能となりました。

当社は引き続き、本開発技術の一層の普及を進めるとともに、更なる研究開発を通じ、鉄系焼結材を使った機械部品の製造コスト削減と鉄系焼結機械部品の品質向上に貢献してまいります。

(*1)鉄系焼結材 鉄粉に黒鉛粉、銅粉等の非鉄金属粉末を混合した後、金型中で加圧成形し、更に焼結・熱処理を施すことによって鋳造材や鍛造材と同等の強度を実現する機械部品用材料で、エンジン部品などの自動車部品を中心に実用化されている。
(*2)JFM4 JFE Free Machiningの意に加えて、当社はこれまでに3種の切削改善剤を開発しており、本製品が第4弾。


【ご参考】

写真1 Fe-2%Cu-0.8%C焼結材を切削し終えた工具の刃先
  (1a)切削改善材を添加しない焼結材を切削した工具刃先
  (1b)JFM4を添加した焼結材を切削した工具刃先
矢印部 磨耗による縦縞キズ発生領域、点線より上 摩擦熱による変色領域
  写真1 Fe-2%Cu-0.8%C焼結材を切削し終えた工具の刃先
   
  「JFM4」を添加した焼結材を切削した工具の刃先(1b)の磨耗(写真矢印内の縦じま傷)領域の幅は、切削改善剤を添加しない焼結材を切削した後の工具の刃先(1a)における磨耗域に比べ、4分の1程度まで減少。また、写真点線より上の変色部は、(1b)では、(1a)の半分程度であり、発熱が抑制。
   
写真2 Fe-2%Cu-0.8%C焼結材を旋盤切削した後の刃先(写真1b枠内)のSi分布(EPMA*3)像
  写真2  Fe-2%Cu-0.8%C焼結材を旋盤切削した後の刃先(写真1b枠内)のSi分布(EPMA*3)像
   
  写真1(1b)の枠内のエッジ表面におけるEPMA(*3)によるSi分布像。「JFM4」の主成分で、かつ工具材質には含まれないSiの広い分布が見られ、「JFM4」が被膜を形成
    (*3)EPMA(Electron Probe Microanalyser電子線マイクロアナライザ):電子線を対象物に照射する事により発生する蛍光X線の波長から構成元素を分析する装置。写真2は、検出器の波長をSiの特性X線に固定して電子線を試料に走査しながら照射し、発生したX線強度を画像化したもの。


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